ミョルニル
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その威力は凄まじく、一撃で死亡しなかった生物は世界蛇ヨルムンガンドぐらいであり(『ヒュミルの歌』[5])、スカルド詩の『トール讃歌』では、巨人のゲイルロズがトールにミョルニルを持たずに自分の屋敷に来るようにと告げたという話が詠われている。

ミョルニルは相手を打つためだけに使われるものではなく、トールの戦車を引く2頭の牡山羊(タングリスニとタングニョースト)を食べても、骨さえ無事ならミョルニルを振るえば生き返らせることができた[6][注釈 1][注釈 2]。また、バルドル葬儀の際、火葬するための火を浄化するためにも用いられた[7]。『スリュムの歌』ではスリュムという巨人がミョルニルを盗み、フレイヤとの交換を要求するが、フレイヤに変装した花嫁姿のトールを聖別するために、隠していたミョルニルを花嫁(トール)の膝に乗せたため、ミョルニルを取り返されて頭を砕かれるという顛末が描かれている[8]
文化

トールは、ローマ神話の雷神ユピテルと同一視されており、ゲルマン人はユピテルが司る木曜日をトールの日とした。木曜日は最も神聖な日とされており、オーディンが司る水曜日よりも格の高い日とされていた。

雷鳴の轟はトールの乗った戦車が天空を駆け巡る音、雷はミョルニルを投げつけた閃光と信じられ、空を支配する最強の神として崇拝されていた。また、雷雨は植物を成長させることから「農耕の神」としても崇められていた。

ミョルニルを象ったレプリカはスカンディナヴィアの広い地域でポピュラーで[9]、結婚式をはじめとする祭式で使われる[10]

1925年頃のゴットランドでは新婚家庭において、新婚夫婦が子宝に恵まれるように、ベッドにこのレプリカが置かれたという[要出典]。キリスト教の伝来期においても、十字架に匹敵するほど人気があり、よく身につけられていた。そのため、トールはキリスト教におけるイエス・キリストのような役割を持つといえる[要出典]。それ以後も、宝石店などで北欧神話に関心を持つ人々のためにアクセサリーとしてミョルニルのレプリカが売られている。これは、キリスト教の宣教師が首から下げていた十字架をまねた物といわれる[要出典]。

ミョルニルは男性器を象徴しているともいわれる。

ボルボ・カーズでは2010年代からLEDヘッドライトにハンマーを横倒しにした意匠『トールハンマー』を取り入れている。

ミョルニルの描かれたルーン石碑スウェーデンセーデルマンランド地方

ミョルニルを象った現代のペンダント

ボルボ・V90の『トールハンマー』ヘッドライト

脚注[脚注の使い方]
注釈^ しかし骨の髄を傷つけてしまうとその骨は傷んだままとなり、完全に生き返らせることは不可能となる。
^ この能力はケルト神話に登場する巨神ダグザの持っていた棍棒と同じ能力である。

出典^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』51頁。
^ a bスノッリのエッダ』の「詩語法」より(『「詩語法」訳注』41-43頁。
^ 『少年少女世界の名作文学 第39巻 北欧編2』、1967年、小学館、ASIN B000JBPPIW、371頁(篠原雅之「北欧神話」(トールの失敗))。


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