ミュージック・ビデオ
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また、必ずしも曲のライブパフォーマンスを撮影したビデオである必要はない[2]プロダクトプレイスメントは、ミュージック・ビデオでは一般的な技巧であり、多くのヒップホップのビデオにはビーツピル(英語版)が登場する。
歴史

ミュージック・ビデオの概念は1970年代以前から存在しており、ポップミュージック以前ではディズニー制作の『ファンタジア』などが音楽と映像を融合させた作品として著名である。

1894年楽譜出版社であるエドワード・B・マークスとジョー・スターンが電気技師のジョージ・トーマスと様々な演奏家を雇い、曲「ザ・リトル・ロスト・チルド(英語版)」の販売を促進した[3]幻灯機を使用して、トーマスはライブパフォーマンスと同時にスクリーンに一連の静止画を投影した。これは、ミュージック・ビデオに向けた最初のステップとして知られるイラストレイテッド・ソングとして人気になった[3]

トニー・ベネットは自伝で、1956年ロンドンハイド・パークにあるサーペンタイン・レイクに沿って歩いて撮影された「最初のミュージック・ビデオ」を制作したと主張している。それは、「ストレンジャー・イン・パラダイス」のビデオである[4]。ビデオは、イギリスアメリカ合衆国テレビ局に送られ、ディック・クラークの「アメリカン・バンドスタンド(英語版)」などの番組で放送された[5]。より抽象的な現代的なビデオと似ているプロモーション・ミュージック・ビデオの最も古い例は、1958年に制作され、ラディスラフ・リュヒマン(英語版)によって監督された「Dame si do bytu」である[6][7]

イギリスロックバンドザ・ビートルズは1966年以降にツアーを行わず、ロンドン周辺で創作活動を続けていた。そのため、新曲リリースのたびに、さまざまなテレビ番組に依頼され、出演しなければならない事を疎ましく思い、演奏シーンとイメージ映像を組み合わせた映像作品を予め作成し、テレビ局へ提供したのが始まりという説が一般的に浸透している。実際、ビートルズのメンバーでギタリストのジョージ・ハリスンは「MTVは僕たちの発明品だよ(笑)」と、冗談半分、本気半分で語っている他、ビートルズの主演映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』『ヘルプ!4人はアイドル』の監督を務めたリチャード・レスターは、MTVから「あなたはMTVの父だ」と賞状を贈られている[8]アメリカ合衆国1980年代にMTVの登場によって急速に一般化した。特にマイケル・ジャクソンマドンナはミュージックビデオを駆使した例である(マイケル・ジャクソンの「スリラー」や「今夜はビート・イット」、「バッド」などは当時非常に話題を呼んだ)。
2000年以降

一般にシングル曲のプロモーションのために制作されることが多いが、2000年代に入るとシングルCD市場の衰退などの要因によりアルバム収録曲のミュージック・ビデオが制作されるケースが多くなった。50セント2005年のアルバム『The Massacre』のスペシャルエディション(再発盤)やベックの2006年のアルバム『The Information』には収録曲全曲のビデオを収録したDVDが付属された。日本でも海外の手法を取り入れる形で、アルバム発売に際してそのリードトラックをシングルCDとしては発売しないままビデオのみ制作するケースも増えてきている。

ミュージック・ビデオにストーリー性を加味する物も多く、最も有名なものにマイケル・ジャクソンの「Thriller」(1983年)がある。ユニークな例では、同じ曲で違う歌詞の全12曲(12章、約40分)でストーリーを展開したR・ケリーの「トラップト・イン・ザ・クローゼット」(DVDとして纏められている)がある。

ミュージック・ビデオは、日本国内ではスカパー!ケーブルテレビ局などを介したCS音楽専門チャンネルMUSIC ON! TVスペースシャワーTVなど)で視聴できる。また2000年代後半以降は、YouTubeGYAO!などのインターネットの動画配信ウェブサイトiTunes Storeなどでも視聴できるようになった。他にも、テレビ神奈川(tvk)が『ミュージックトマトJAPAN』などの番組で古くからミュージック・ビデオを多数放送している。また邦楽のミュージック・ビデオについては、1990年代中頃からバラエティ番組などのエンディング時のスタッフロールのバックにタイアップ曲のミュージック・ビデオを流す手法が見られはじめ、2000年代以降には同様の手法を取る番組が数多く見られるようになった。ただしこの場合、サビ部分のみの30秒前後だけ流されることが大半である。

また、ハイビジョン撮影される作品も増えている。ミュージック・ビデオが収録されたBlu-ray Discが付録に付いたCDがリリース[注釈 1]されることは稀で、放送技術上の問題から公開される際に標準画質に落とされて放送されたり、DVD収録時にレターボックスで収録される形がほとんどである。近年では主に2010年代から16:9で収録される作品も増えているが、アルバム付属DVDやプロモーション・ビデオ(PV)集で以前の作品と同時に収録されると、それらとの兼ね合いからレターボックスに落とされて収録される事が多い。

替え歌に合わせてミュージック・ビデオもパロディ化しているアル・ヤンコビックは、必ず元の歌い手やレコード会社などの版権者から許可を得て製作・公開している。
日本

日本におけるミュージック・ビデオの発展は、生放送音楽番組が衰退した1980年代後半から1990年代初頭以降、アーティストの音楽番組出演に代わるプロモーション手段の一つとして、また洋楽シーンの影響も受け増えていくようになる。この頃ミュージック・ビデオを積極的に使ったアーティストにはオフコースTM NETWORK小泉今日子サザンオールスターズCHAGE and ASKAなどがいる。EPICソニー(現エピックレコードジャパン)は所属するアーティストのミュージック・ビデオやライブ映像をメインにした音楽番組『eZ』を放送するなど、レーベル独自の展開も見られるようになった。

従来はカセットCDなどの販促(プロモーション)のみが目的であったので、PV(プロモーション・ビデオ)とよばれ、店頭での視聴や音楽番組(洋楽では『ベストヒットUSA』や『SONY MUSIC TV』が有名)での放映に限定されていたが、1990年代中頃からは、アーティストが映像作家と共に作品の世界観を表現し、一般に伝える手段のひとつとして重視されるようになっていった。ミュージック・ビデオから切り出された映像が、CMや出演しない音楽番組でのスポットで使用されることも多くなっていった。また、関東・中部・関西地区の独立県域テレビ局の一部(千葉テレビ放送テレビ神奈川KBS京都ほか)が日中の休止枠にて流す埋め草(うめくさ)や、TBSテレビなどの一部系列で行われた天気予報(歌う天気予報と呼ばれる)で、これらのビデオクリップを使った放送が実施されたことがある。


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