ミュージカル
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これらのミュージカル映画には舞台作品を映画化したものと、映画のためにオリジナルの作品を新たに作るものとの2種類がある。逆に有名な映画作品を舞台ミュージカル化する例も多く見られる。代表的な作品に『フェーム』『ヘアスプレー』『スクール・オブ・ロック』や、『カビリアの夜』のミュージカル化『スイート・チャリティー』などが挙げられる。

また最近では、既存のヒット曲をつないでミュージカル化した、いわゆるジュークボックス・ミュージカルという形式も流行しており、『マンマ・ミーア!』(ABBA)や『ウィ・ウィル・ロック・ユー』(クイーン)、『ジャージー・ボーイズ』(フランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズ)、『ムーヴィン・アウト』Movin' Out(ビリー・ジョエル)、『Beautiful: The Carole King Musical』(キャロル・キング)、80'sロックのヒット曲で構成した『ロック・オブ・エイジズ』などが代表的である。

そのほか、コンピューターゲームの分野においても『マール王国の人形姫』シリーズのように、ミュージカルの要素を取り入れた作品が試みられている[2][3]
歴史

ミュージカルの形成は、以下のような流れを経ている。パリで演じられていたオペラ・コミックを発端に、『地獄のオルフェ』(天国と地獄)を作曲したジャック・オッフェンバックに影響を受けたヨハン・シュトラウス2世ウィーンオペレッタ(ウィンナ・オペレッタ)を近代化し、さらにハーバート、フリムル、ロンバーグらがアメリカ合衆国に持ち込んでニューオーリンズで行われていたショーとなり、ミュージカルが誕生したと言われる。第1次世界大戦後のオペレッタ作品とミュージカルを厳密に峻別することは困難だが、前者の、オペラ発声の歌手、クラシック編成の管弦楽団、バレエダンサーによる舞踊、ドイツ語歌詞といった要素が、後者の、地声による自由な歌唱と一体化したダンス(歌手とダンスを分担しない)、打楽器を多用した自由なバンド編成、英語歌詞といった形へと置き換えられていった。ベルリンオペレッタやロンバーグのミュージカルなど、過渡的な形態のものも少なくないし、現代でもドイツ語ミュージカルの制作は盛んであり、両者の区分は常に流動的である。また、ブダペスト・オペレッタ劇場のように、地声発声でクラシックのオペレッタを上演する団体も存在する。オペラとミュージカルの両方を書いているレナード・バーンスタインは、歌によってドラマが進行するのがオペラで、ドラマの中で高まった感情を歌に託するのがミュージカルと定義しているが、これもひとつの説にすぎない。音楽の比重が高いのがオペラ、オペレッタという区分も微妙である。さすがにオペラやオペレッタでセリフが過半というものは存在せず多くて3割程度の比率であるが、ミュージカルは数曲程度しか歌がないものから全編が歌でセリフなしというものまでかなり幅広い。
構成

ミュージカルは通常、15分程度の休息を挟んだ2幕構成であり、上演時間は2時間から3時間ほどである。まれに1幕構成の作品も存在する。

出演者は小規模な作品では1人から4人程度だが、大規模な作品になると40人から50人にもなる。コストを圧縮するために、1人で何役も演じるアンサンブルもしくはノーボディーと呼ばれる俳優がいる場合が多い。たとえば『レ・ミゼラブル』海外公演では27人のキャストが100以上の役を演じた[4]

音楽は基本的にオーケストラやバンドによって生演奏されるが、日本では興行的な問題などで劇団四季のようにしばしば録音による演奏が行われる。通常は舞台下または舞台手前に設けられたオーケストラピットで演奏されるが、演出によっては舞台上に設定されたり、俳優に混じって演技の一部として演奏したりする。
興行形態
アメリカ、イギリス

ブロードウェイウエスト・エンドでは、上演が始まると客足が落ちて収益が見込めなくなるまで興行が続けられる。そのため、ヒットした作品は何年でも上演を続けられ、数年、数十年に及ぶロングランとなる作品も少なくない(最長連続上演記録については「ロングラン公演」を参照)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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