解決は西ドイツ警察に任されることになったが、ミュンヘン空港でのテロリストとの銃撃戦の結果、ヘリコプターに乗ったイスラエル選手団9名が殺害され、人質11人全員が死亡という最悪の結果に終わってしまう。
この事件に対し、イスラエル政府は報復を決意。テロの首謀者とされる11名のパレスチナ人の暗殺を計画する。首相ゴルダ・メイア臨席のもと、アヴナーは実行部隊のリーダーとして、モサド上官エフライムから「神の怒り作戦」の説明を受ける。実行部隊のメンバーは、南アフリカ出身の自動車のスペシャリスト・スティーヴ、爆弾製造を担当するロバート、現場の「掃除」係である年長者のカール、文書偽造の専門家のハンスである。暗殺のターゲットの多くは、ヨーロッパで活動するパレスチナ解放機構(PLO)の幹部や協力者であり、イスラエル政府とは関係ないがごとき行動が強く要求された。彼らはフランス人のルイという情報屋に接触、情報を得て作戦を進めてゆく。
第一の作戦の標的は、アラファト議長のいとこで、ローマで翻訳家として活動しているワエル・ズワイテルだった。待ち伏せし小口径の拳銃で射殺する。第二の作戦の標的は、PLOパリ代表部幹部のハムシャリで、電話に仕掛けた爆弾での殺害を計画、ハムシャリの娘を誤爆しそうになるものの、殺害に成功する。第三の作戦の舞台は、キプロスのホテルで実行され、滞在しているPLO幹部フセイン・アル=シールの部屋のベッドに爆弾を仕掛けるが、爆薬の量が多過ぎ、無関係の宿泊客も巻き込んでしまう。第四の作戦は、レバノンのベイルートで行われ、PLOと黒い九月のメンバーが宿泊していたアパートをイスラエル軍の部隊とともに襲撃。PLOのスポークスマンであったカマル・ナセルも含め標的3人は殺害される。
第五の作戦は、ギリシャのアテネで行われた。あらかじめ手配されていた宿の一室で、アヴナーのチームはPLOメンバーと名乗る男と出くわし、ETAのテロリストを装うものの、パレスチナ人としての立場、すなわちイスラエル勢力に母国を奪われてきた境遇を直に聞くこととなる。アテネでの作戦では、標的抹殺には成功するものの、現場にいたソ連のKGBエージェントも銃撃してしまう。
次の標的は、ミュンヘン・オリンピック事件の最大の黒幕とされる「サラメ」であった。彼をロンドンで発見するものの、作戦着手寸前で酔っ払いに妨害される。ルイの情報では、アメリカのCIAの関係者が、サラメと裏取引をしており、作戦を妨害している可能性があった。そんな中、アヴナー達のチームもカールとロバートが暗殺されるなど一人、また一人と暗殺されてゆき、ルイからも作戦の中断を働きかけられるなど、彼らは次第に追いつめられていく。 ※括弧内は日本語吹替
キャスト
アヴナー - エリック・バナ(森川智之)
スティーヴ - ダニエル・クレイグ(土田大)
ロバート - マチュー・カソヴィッツ(村治学)
カール - キアラン・ハインズ(水野龍司)
ハンス - ハンス・ツィッシュラー(坂口芳貞)
エフライム - ジェフリー・ラッシュ(佐々木梅治)
トニー - イヴァン・アタル(大川透)
アヴナーの母 - ギラ・アルマゴール(玉井碧)
ダフナ - アイェレット・ゾラー(岡寛恵)
パパ - マイケル・ロンズデール(仲野裕)
ルイ - マチュー・アマルリック(藤原啓治)
アンドレアス - モーリッツ・ブライプトロイ(高瀬右光)
シルヴィー - ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
ジャネット - マリ=ジョゼ・クローズ(田中敦子)