ミニディスク
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MD DATA2

MD DATA2

MMD-650A
メディアの種類光磁気ディスク (カートリッジ:あり)
記録容量650 MB(データ)
読み込み速度4.7 Mbps(580 KiB/s)最大2倍速
回転速度2.0 m/s
読み取り方法655 nm赤外線レーザー
書き込み方法レーザーストローブ磁界変調方式
回転制御方式CLV
策定ソニー
主な用途データ
ディスクの直径64 mm
大きさD 68 * W 72 * H 5 mm
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Sony DCM-M1

MD DATA発表以降、急速に普及していくパソコンによって、より高速・大容量のメディアの要求が高まり、それに応えるため開発され[75]、1996年12月16日、容量を650 MBに大容量化し転送速度を9.4 Mbpsに高速化したMD DATA2として発表された[76]

ディスクの厚みは音楽用MD、MD DATAと同様に1.2 mmが採用された。高密度化するには薄いほうが有利であるが、既存のMDとの互換性を優先した[75]。一方で開口数は既存のMDが0.45であるのに対して0.52の対物レンズを採用した[75]。このためスポットサイズを小さくでき[注 21]、またエラー訂正方式も既存MDのACIRCからリード・ソロモン積符号方式に変更したことで冗長度を20%削減させ[78]、容量を増大させた。

規格発表後、製品化には時間を要し、1999年8月28日に開催された国際コンシューマ・エレクトロニクス展に参考出品[79]、その後『MD VIEW(MMD-650A)』として同年12月3日に発売された。

そして同年11月1日に発売日が発表されていた[80][81]ソニーのMDビデオカメラ『MD DISCAM(DCM-M1)』で初採用された[82][83]。MD DISCAMはMDに動画を記録する初の製品であり[84]、映像記録にMPEG-2、音声にATRACを利用し動画は最大20分、静止画約4,500枚、音声最大260分が記録でき、音楽用MDの再生もできる(録音は不可)[85]。MDのランダムアクセス性を活かしたカメラ単体でのノンリニア編集10BASE-TによるPCとの連携に対応する。

なおMD DISCAMは試作機の段階では映像のデジタル入力端子も備えていたが、市販の映像ソフトからMD DISCAMに映像を取り込んで編集しMDに保存するなど、著作権に関する懸念があるため、製品版では削除された[84]
Hi-MD

Hi-MD


HMD1GAの表面と裏面
メディアの種類光磁気ディスク (カートリッジ:あり)
記録容量1 GB(データ)、94分(リニアPCM
フォーマットFAT32(データ)
コーデックリニアPCM、ATRAC
読み込み速度9.83 Mbps(1.228 MiB/s)
書き込み速度9.83 Mbps(1.228 MiB/s)
回転速度1.98 m/s
読み取り方法780 nm赤外線レーザー
策定ソニー
主な用途音声、データ
ディスクの直径64 mm
大きさD 68 * W 72 * H 5 mm
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Hi-MD(ハイエムディー)は高音質化や長時間録音、PCとの親和性向上など多岐に渡る拡張がなされた規格。2004年(平成16年)1月8日、ソニーによって発表された[86]

以前の音楽MD・MDLP・Net MDからの主な変更点や特徴は次の通り。

新たに発表されたHi-MDフォーマット専用の大容量ディスク『HMD1G』[87]を使い、最大45時間の長時間録音ができる

従来のディスクはHi-MD用に初期化することで、以前の約2倍の容量で利用できる

48 kbpsから352 kbpsまでの、幅広い用途に使える圧縮録音モードが追加された

MDでは初となる、44.1 kHz、16ビットリニアPCMによる非圧縮録音モードに対応した

録音したトラックをPCに吸い出せるようになった

PCからミニディスクをストレージメディアとして利用でき、USBメモリと同じように文書・音楽・写真ファイルを保存可能(ポータブルHi-MDドライブ『DS-HMD1』[88][89][90]などを使用)

別売りのHi-MD専用カードリーダー『MCMD-R1』[91][92][93][94]を使用して、Hi-MDモードのディスク(従来MDを初期化したものを含む)へ画像データの転送ができる

また、2005年(平成17年)3月2日には規格拡張が発表された[95]

DCFExifをベースにした写真管理用規格Hi-MD PHOTOを追加

これにあわせ、音楽用規格の名称はHi-MD AUDIOに変更

Hi-MD AUDIOの対応コーデックにオプション扱いでMP3を追加

以上、Hi-MDは従来のMD機器をベースに、音楽以外のコンテンツも記録できる汎用メディアとして利用できる[86]
ディスク左:音楽用MDディスク
右:Hi-MD専用ディスク

Hi-MDフォーマット専用ディスクは『HMD1G』のほか、2005年に『HMD1GA』[96]が発売された。発売当初の価格は1枚700円前後。
仕様

Hi-MDフォーマットでは信号処理技術が変更されたことで高密度化され、従来に比べ大容量化を実現した。具体的には従来型MDの80分ディスクの容量は177 MBだが、Hi-MDフォーマット専用ディスクは従来型MDと同サイズで964 MB(約1 GiB)の容量を持つ。また従来型MDもHi-MDフォーマットで初期化することで容量を拡張できる。例えば80分ディスクはHi-MDフォーマットで初期化すると291 MB(約305 MiB)の容量になる[86]

記録方式の比較1 GBディスク80分ディスク(Hi-MDフォーマット)80分ディスク(MDフォーマット)
データ変調方式1-7RLL1-7RLLEFM
ビット長0.16 μm0.44 μm0.59 μm
トラックピッチ1.25 μm1.6 μm1.6 μm
線速度1.98 m/s2.4 m/s1.2 m/s
転送レート9.83 Mbps4.37 Mbps1.25 Mbps

ディスク容量フォーマット1 GBディスク80分ディスク74分ディスク60分ディスク
MDN/A177 MB140 MB? MB
Hi-MD[97]964 MB(1,011,613,696バイト)291 MB(305,856,512バイト)270 MB(283,312,128バイト)219 MB(229,965,824バイト)

ファイルシステムにはFATを採用した。そのためHi-MDプレーヤーをUSB経由でパソコンと接続することでMODVD-RAMUSBメモリのように、大容量の外部記憶メディアとして利用できる。なおHi-MD AUDIO機器から利用される音楽トラックもFAT領域に格納されているが、PCからは不可視の「Proprietary Area」に記録された情報により暗号化されているため、『SonicStage』などの対応ソフトウェア以外ではPC上での再生・コピーを行うことはできない。
Hi-MD AUDIO
録音モード

Hi-MD AUDIOでは多くの録音モードがサポートされ、幅広い用途に対応できるようになった。しかし録音操作の複雑化を避けるためか録音モードの多くはPCからの転送のみの扱いであり、Hi-MD機器本体のみで録音できるモードは3モードに絞られている。

また、MD創生期から利用されていたATRACの両モードである292 kbps、146 kbpsは廃止となった。このため、Hi-MD機器でこれらのモードを利用したい場合には従来フォーマットでディスクを使う必要がある。

Hi-MD AUDIOが対応する録音モード[98] は以下のとおり。
リニアPCM
1.4 Mbpsの無圧縮モード。従来のMDはどの録音モードでも必ず非可逆圧縮がかかっていたため、高音質を求める層には敬遠されていたが、これが追加されたことでそれらの層にもアピールできるようになった。また、これにあわせてソニーはHi-MDの音声トラックをPC上で汎用のWAV形式に変換するWindows用のソフトウェア『WAV Conversion Tool』を無償公開した。これは後に『SonicStage』に統合された。なお変換元トラックの録音モードはPCMに限らずどれであっても問題ないが、いずれの場合でもディスクがHi-MDフォーマットのみに限定されている。
ATRAC3plus
ATRAC3plusでは352 kbps, 256 kbps, 192 kbps, 64 kbps, 48 kbpsに対応する。256 kbpsはHi-SPモード、64 kbpsはHi-LPモードと呼ばれHi-MD機器単体で録音ができる。一方で352 bps, 192 kbps, 48 kbpsにはモード名が無く、録音手段はPCからの転送のみである。最低音質である48 kbpsでは1 GBのディスクに約45時間の録音ができる。ソニーは45時間の音楽を録音できる点を謳っている[99]が、48 kbpsは音楽としては実用的なビットレートではない。音楽の場合最低64 kbpsほどは必要とされるため、48 kbpsはラジオ録音などの用途向けといえる。
ATRAC3
ATRAC3では132 kbps, 105 kbps, 66 kbpsに対応する。いずれもPCからの転送のみ対応。132 kbps, 66 kbpsはMDLPで導入済みだが、105 kbpsはHi-MD AUDIOで新たに追加された。このビットレートは従来からネットワークウォークマンなどで利用されていたがMDには導入されていなかったため、使いまわしに難があった。132 kbps, 66 kbpsの呼称として従来使われていたLP2、LP4というモード名は廃止され、ビットレートで呼ばれる。


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