ミサイルサイロは頑丈ではあるものの、固定基地であり秘匿が困難であることから奇襲核攻撃を受けた際の脆弱性は議論されてきていた。それへの対処法として、ミサイル発射基地を移動式にし、その所在を発見されにくくすることが検討された[4]。1959年10月12日に「移動式ミニットマン(Mobile Minuteman)」計画が公表されている。鉄道にミサイルおよびその発射装置を搭載し、移動する方式である。1960年6月20日から8月27日にかけて、ビッグスター作戦(Operation Big Star)の名称で、ヒル空軍基地において試験が行われた。1960年12月1日には、3個ミサイル鉄道中隊からなる第4062機動ミサイル航空団(4062nd Mobile Missile Wing)が活性化された。各ミサイル鉄道中隊は、3基ずつのミサイルを搭載した10個の鉄道車列(各中隊のミサイルは30基)を有する予定であった。しかし、ケネディ大統領の支持を得られず、固定サイロ方式にのみ配備することとした。1961年には予算請求を取りやめ、実用化は中止された。1962年2月20日に航空団は非活性化されている。 配備後も信頼性などを確認するため、定期的に発射試験が行われている。報道される例はあまりないが、2018年7月31日、バンデンバーグ空軍基地(現・宇宙軍基地)から太平洋上の目標に発射された試験において、ミサイルが異常を起こし自爆処分されたことが報道されている[5]。 2022年8月16日午前12時49分にヴァンデンバーグ宇宙軍基地から約6800km離れたマーシャル諸島クェゼリン環礁近海への発射試験が行われた[6]。
発射試験
主要諸元ミニットマンIIIの弾頭部分。左側の台上に置かれている物体は核弾頭を搭載するMk.12A再突入体を三基搭載したバス。バスは独自のエンジンを持つ実質的な最終段で、搭載する弾頭をそれぞれ別の目標へ投射するMIRVに固有の装備である。写真右に置かれている円錐形の物体は弾頭を大気の衝突から守るシュラウドと呼ばれる部品。
全長: 59.9 ft (18 m)
直径: 5.5 ft (1.67 m)
発射重量: 79,432 lb (36,030 kg)
エンジン: 三段式固体燃料ロケットエンジン
第一段: サイオコール社 (Thiokol)
第二段: エアロジェット・ジェネラル社 (Aerojet-General)
第三段: ユナイテッド・テクノロジーズ・化学システム部門 (United Technologies Chemical Systems Division)
速度: 約15,000 mph(M 23、24,000 km/h、7 km/s
射程: 6,000 mi以上(5,200 nm, 10,000 km)
飛行高度: 700 mi (1,120 km)
搭載弾頭:1基(I型、II型)、3基(III型)[7]
W56(ミニットマンI,II Mk11再突入体、1963年-1993年)
W59(ミニットマンI Mk5再突入体、1962年-1969年)
W62(ミニットマンIII Mk12再突入体、1970年-2010年)
W78(ミニットマンIII Mk12A再突入体、1979年-)
W87(ミニットマンIII Mk21再突入体、2006年-)
誘導装置: 慣性誘導装置
配備方式: 地下ミサイルサイロ配備
単価: 7,000,000 USドル
脚注^ ⇒http://www.globalsecurity.org/wmd/systems/lgm-30_3-mod.htm
^ “米空軍、ICBM発射実験に成功