ミッドナイト競輪(ミッドナイトけいりん)とは、2011年1月14日から、深夜の時間帯に開催されている競輪の競走である。
特徴ミッドナイト競輪が開催されている最中の静岡競輪場。バンクを照らすライトはついているが、無観客であるため、観客席の照明は消されている。2023年10月7日23時撮影。
ミッドナイト競輪は、ナイター競輪が20時台までに競走を終了するのに対し、その直後となる20時40分から23時30分の間に競走を実施する。開催時間が深夜となるため、近隣住民に配慮して観客を入れずに競走を実施する[1][2]。
競艇やオートレースでもミッドナイト開催が行われているが、ミッドナイト競輪の開催頻度は高く、毎日2場(3場となることもある)が開催されている(なお、システムメンテナンスの日を中心に年間で数日の休催日がある)。
現在はその他の時間帯のFI・FII開催と同じ条件であるが、ミッドナイト競輪では開始当初から7車立て、A級及びL級(ガールズケイリン)の周回数は2,000mより1周回少ない距離にて実施しており、400m走路では4周(1,600m)、333mないし335m走路では5周(1,670m程度)、500m走路では3周(1,500m)としている。但し、S級戦では日中やナイター開催と同様に2,000m(400m走路では5周)で実施している。
出走人数についても、通常のFI・FII開催でも9車立てで行われていた当時の初回開催から7車立てで行われている[注釈 1]。ただ、初期には試験的にS級戦・A級戦ともに9車立てで行ったこともあった[3]。
1日のレース数は基本的に1場あたり9レースとし、20分間隔で発走する。原則として2場同時開催とし、タイムスケジュールを事前に調整した上で各場交互にレースを実施し、合わせると10分間隔でレースが行われることになる。開催日によっては、3場同時開催・1場当たり7レース制[注釈 2]となるが、この場合でも同時発走が起こらないよう調整されている。
車券は電話投票・インターネット投票のみによる購入となる。ただし、場外車券売場であるラ・ピスタ新橋、サテライト横浜、サテライト大阪では前売のみ窓口発売を実施しているほか、一部の『GambooBET』および『チャリロト・プラザ』でも前売購入が可能な施設もある。
競走の模様は、テレビ中継またはインターネットによるストリーミング配信で行っている。 2024年5月時点で、全国43の競輪場のうち、小倉競輪場(北九州メディアドーム)、前橋競輪場(日本トーターグリーンドーム前橋)、青森競輪場、高知競輪場、佐世保競輪場、玉野競輪場、奈良競輪場、武雄競輪場、西武園競輪場、大垣競輪場、弥彦競輪場、別府競輪場、宇都宮競輪場、松阪競輪場、豊橋競輪場、松戸競輪場、川崎競輪場、伊東温泉競輪場、松山競輪場、函館競輪場、四日市競輪場、名古屋競輪場、京都向日町競輪場、平塚競輪場、久留米競輪場、小松島競輪場、岸和田競輪場、高松競輪場、静岡競輪場、京王閣競輪場、いわき平競輪場、岐阜競輪場(開始日順)の計32場で開催されている。 今後は、7月から本場開催を再開予定である熊本競輪場にて同年9月より、新たにミッドナイト競輪を開催予定である[5]。 一方で、中には照明設備の設置が難しい競輪場[注釈 4]や、近隣住民への配慮からミッドナイト競輪の開催が難しい競輪場もあるため、全ての競輪場でミッドナイト競輪が開催できるわけではない。ただ、ミッドナイト競輪を開催していない競輪場の施行者の中には、上記の、既に開催実績のある競輪場のいずれかを借り上げてミッドナイト競輪を開催している施行者もいる[注釈 5](借り上げについてはこちらを参照)。それらも含めると、殆どの競輪場がミッドナイト競輪を開催していることになるが、開催が集中するといわゆる『共倒れ』となってしまうことが懸念されるため、ミッドナイト競輪を開催するには施行者間の『ミッドナイト競輪連絡協議会』の承認を得ることが必要となっており、開催日程は調整された上で原則として1日2開催までとしている[7]。但し、止むを得ない事情で開催が延期となった場合は例外的に1日3開催となるケースがある[8][注釈 6]ほか、以下の通り2022年以降は計画的に1日3場開催を試行している。 ミッドナイト競輪を開始してから暫くの間は、各レースとも最大7車立て・7レース制で、第1競走の選手紹介は20時50分(青森と奈良は20時47分、玉野(2016年6月の開催まで)と高知は20時42分[注釈 9])、発走は21時07分とし、以降22分間隔でレースが進行、最終第7競走は23時19分発走としていた(2014年10月以降。ただし一部6レース制となる場合があり、その場合は発走時刻も変更となる)。2018年下半期以降に、現行の原則9レース制・20分間隔の体制となった。 賞金体系については日中の開催やナイター開催などと同一であるが、特に最終レースとなると日付が変わる直前となるほど遅い時間の出走となるため、出走する選手に対しては、男女ともに出走するレース毎に支給される通常の日当(正選手手当・競走参加手当)41,000円に加えて「ミッドナイト競輪手当」14,000円も併せて支給され、1開催3日間とも出走すれば手当の支給総額は17万1000円(前検日の日当6000円も含む)となる(2024年4月時点)。なお、ほかにレース中に降雨・降雪があった場合や年末年始の出走であれば、更に別の手当も併せて支給される[注釈 10]。 以下の『歴史』の項目にもある通り、反響は良く売り上げも好調で、2017年度のミッドナイト競輪の売り上げ額は対前年度比130.3%と高い伸びを示した[9]。伊東温泉競輪場では通常の日中開催でのFII3日間の売り上げは採算ラインに届かず赤字であるが、ミッドナイト競輪を初めて開催した2019年2月13日からの3日間の売り上げは採算ラインを上回った[10]。2018年度も、競輪の売り上げ額は対前年度比で102.2%と5年連続で増加となったが、内訳を見ると本場開催や場外開催の売り上げ額は減少している[11]一方でミッドナイト競輪は対前年度比124.6%[12]であったことから、このミッドナイト競輪(とモーニング競輪)が競輪の売り上げを牽引していることが窺える。
テレビ中継では、毎週月曜日から金曜日の22:00 - 23:00の間でBSよしもと「競輪LIVE!チャリロトよしもと」にて当日の開催場のうちのいずれかが中継されている[注釈 3]ほか、有料放送であるCS放送「SPEEDチャンネル」では全ての開催場が中継されている。過去には2011年1月15日から8月13日まで決勝日に当たる土曜日に限り、BS日テレ『ミッドナイト、なう。』内でも中継が行われていた。
インターネットによるストリーミング配信では、競輪公式ホームページ「KEIRIN.JP」(開始当初はKEIRIN.JPストリーム)、ニコニコ生放送、ABEMA 競輪・オートレースチャンネル「WinTicket ミッドナイト競輪」、また各場のYouTube公式チャンネルなどで中継が行われている。
概要
2023年11月時点で、自場または他場借り上げいずれもミッドナイト競輪の開催実績がない競輪場は、取手競輪場、大宮競輪場[注釈 7]、TIPSTAR DOME CHIBA[注釈 8]の3場である。