ミス・マープル
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劇場作品では1961年から1964年にかけてマーガレット・ラザフォード演じるMGMの映画が以下の4本製作された。これが初のミス・マープルの映像化になる。

日本ではいずれも劇場未公開で、2006年にDVD商品としてリリースされた。クリスティ自身はラザフォードのマープルを気に入ってはいなかった。

なお、同じクリスティ作品ということで、ラザフォードのマープルは1966年公開のポワロもの映画『The Alphabet Murders』にもカメオ出演している。

映画タイトル原作公開年備考
『ミス・マープル / 夜行特急の殺人』『パディントン発4時50分』
『ミス・マープル / 寄宿舎の殺人』ポアロもの『葬儀を終えて
『ミス・マープル / 最も卑劣な殺人』ポアロもの『マギンティ夫人は死んだ
『ミス・マープル / 船上の殺人』オリジナル脚本
『The Alphabet Murders』ポアロもの『ABC殺人事件』1966年カメオ出演

アンジェラ・ランズベリー版「クリスタル殺人事件」も参照

大作映画として『鏡は横にひび割れて』が『クリスタル殺人事件 The Mirror Crack'd』(1980) として公開された。同作ではアンジェラ・ランズベリーがマープルを演じた他、エリザベス・テイラーキム・ノヴァクロック・ハドソンジェラルディン・チャップリンが出演した。
テレビドラマ
ジョーン・ヒクソン版「ミス・マープル (1980年代のテレビシリーズ)」も参照

1984年から1992年にかけてイギリスBBCにより製作された『ミス・マープル』は、長編12編すべてをテレビドラマ化している。番組は、生前クリスティ本人から「年を経た暁には、ミス・マープルを演じて欲しい」と言われたという逸話のある主演ジョーン・ヒクソン(英語版)の上品な演技も相まって、人気を博した。日本でもNHKテレビ東京で放送され、山岡久乃の声とともに大変な人気を得ている[注 2]。設定年代は原作では戦前発表の『牧師館の殺人』や戦時中の『動く指』なども含めて第二次世界大戦後、というよりむしろテレビが普及して生活様式が一変する以前の「最後の古きよき時代」である1950年代前半に統一されている。また、登場人物の年齢も大幅に引き上げられた「大人の物語」となっている。
ジェラルディン・マキューアン版・ジュリア・マッケンジー版「アガサ・クリスティー ミス・マープル」も参照

2004年、ジョーン・ヒクソン版に次ぐ2度目のTVドラマシリーズ『アガサ・クリスティー ミス・マープル』が、独立系のITVにおいて製作された。マープル役にはジェラルディン・マクイーワン(英語版)[注 3]を起用。日本では2006年12月NHK-BS2にて放送され、ミス・マープルの吹き替え岸田今日子が担当した[注 4]2008年6月に放送された第2シーズンではマープルの吹き替えは草笛光子に交代した。シーズン4以降、マープル役がジュリア・マッケンジー(英語版)に交代、日本語吹替えも藤田弓子に変更された。LaLa TVでシーズン1が放映。第2シーズン以降は『親指のうずき』(トミーとタペンスシリーズ)、『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』、『ゼロ時間へ』、『殺人は容易だ』、『蒼ざめた馬』など別シリーズやノンシリーズ作品の事件をミス・マープルが解決する設定に脚色し、製作している。なお、時代設定は1950年代で統一されているが、イラク戦争後の世相を反映し、第二次世界大戦の痕跡が強調されている。
ヘレン・ヘイズ版

米国製作の単発テレビムービーの連作として、1983年の『アガサ・クリスティ / カリブ海殺人事件』および1985年の『アガサ・クリスティ / 魔術の殺人』もオンエアされた。主演はどちらもヘレン・ヘイズ
岸恵子版「ミス・マープルシリーズ (日本テレビのドラマ)」も参照

2006年から2007年まで、日本テレビ系列の「ドラマ・コンプレックス」、「火曜ドラマゴールド」の枠内でミス・マープルのキャラクターを日本人女性・馬淵淳子に翻案したテレビドラマ「ミス・マープルシリーズ」が3作、製作放映された。原作は『パディントン発4時50分』、『鏡は横にひび割れて』、『予告殺人』。主演は岸恵子
アニメ

日本製作のアニメ作品として、NHKで2004年に『アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル』が放送された。ミス・マープル役は八千草薫。マープルの甥レイモンドの娘メイベル[注 5]がポワロの助手になるという設定だが、マープルとポワロは直接の面識はない。『スリーピング・マーダー』『パディントン発4時50分』などが番組内で映像化されている。

この作品には、『アガサ・クリスティー ミス・マープル』でマープルを吹き替えた草笛光子が「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」の登場人物の一人、オパルセン夫人役で声をあてている。
演劇

1949年に、当時35歳の米国女優バーバラ・マレン主演の『The Murder at the Vicarage』が上演された。メディアを別にすれば、彼女がラザフォードに先立つ最初期のミス・マープル役の女優ということになる。

また1977年には、英国の女優ダルシー・グレイが主演の『A Murder is Announced』も上演されている。
他作品との関係

ポアロものと人気を二分し、クリスティファンの中にはポアロとマープルを一緒に登場させて欲しいというファンレターが多く寄せられたが、クリスティ自身はポアロの性格とマープルの性格が合わないとしてこれを拒否した。結果としてポアロとマープルが同一作品に登場することはなかった。なお、セント・メアリ・ミード村自体は架空の村であるが、当時の英国の価値観としてどこにでもあるのどかな村のイメージで作られている(ファンの間ではデヴォンにあるウィディコム・イン・ザ・ムーアがモデルだとされる)。村の名前はポアロもの長編『青列車の秘密』にも登場している。

また以下のキャラクターがシリーズを越えて登場する。

鳩のなかの猫』『バートラム・ホテルにて』『フランクフルトへの乗客』『運命の裏木戸』に現れるロビンソン氏。

動く指』で初登場して『蒼ざめた馬』でもオリヴァ夫人[注 6]と共演するデイン・カルスロップ牧師夫妻[注 7]

別人の可能性があるが『ポケットにライ麦を』『第三の女』のニール(主任)警部など。

その他

同名の「Jane Marple」という婦人服ブランドがある。

フランスの作家パスカル・レネの長編ミステリ『三回殺して、さようなら』(1985年、日本語訳は創元推理文庫)の主人公レスター警部は、ミス・ジェーン・マープルの甥という設定で、キャラクター設定のみを原典から導入している。

アガサ・クリスティ本人が
ドロシー・セイヤーズジョン・ディクスン・カーとならんで「劇中人物にファンがいる探偵小説作家」として物語世界に存在していることが発言されている。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 『スリーピング・マーダー』でのプライマー警部の談[2]


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