ミステリー
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中でも『そして誰もいなくなった』や『ねずみとり』は自ら戯曲化し、前者は何度も映画化され、後者はその後長く舞台上演が続くことになった[2]

クリスティに戯曲作家としての側面があったように、推理小説からはじまったミステリはやがて舞台化、映画化、テレビドラマ化がなされていくことになる。既に1893年にホームズが登場する舞台として「時計の下に」が上演され、1903年には米国で『シャーロックホームズの当惑』が映画化されていた。やがて諸媒体独自のミステリも生まれ、今では漫画やゲームにいたるまで幅広いメディアにおいてミステリというジャンルの作品が存在する。
特性

犯罪の発生における犯人や犯行方法、動機その他の真相は、一部または全部が物語終盤まで隠されていることが多い。かつては真相は犯人が誰かということに関心が集中する傾向もあったが(いわゆる、"Who done it?"。欧米では、この形式のミステリ自体をもじって"Whodunit"と呼ぶ)、動機や犯行手段(それぞれ、"Who done it?"をもじって、"Why done it?"、"How done it?"と呼ばれたりもする)などのその他の面に関心を持たせる作品も増えている。意図的にその効果を狙う方法として『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』にみられるように倒叙と呼ばれる技法が用いられることもある。

また、小説から始まったミステリにも、媒体による特性の違いが見られるようになってきた。例えば漫画におけるミステリにおいては、『金田一少年の事件簿』にみられるように台詞や説明文によらずコマ絵中に視覚的に手がかりを忍ばせる手法が用いられている。またゲームにおけるミステリには、プレイヤーが物語の進行に参加するメディアとしての特徴をふまえた特徴的な作品が見られる[3]。プレイヤーの選択によってミステリ・サスペンス・ホラーといった物語の展開自体が変化するもの、映像や音楽といったサウンドノベルならではの要素によって真相を見えにくくするというトリックが用いられているものもある。
トリック

推理の楽しみを増す単純な方法は、簡単には真相を見抜けなくすることである。こうして真相を隠すためには様々なトリックが用いられる。読者(視聴者、ユーザー)が推理を楽しむために、製作者側との間である程度の暗黙の約束が存在するとされる(詳細はトリックにまつわる暗黙の了解ノックスの十戒ヴァン・ダインの二十則を参照のこと)。ただし全ての作家が同意した約束が存在するわけではなく、この通りに厳密に守られることも必ずしも多くはない。ある程度原則を崩すことによって意外な真相を提示することも広く行われている。
密室

密室とは、一般に内外での人の出入りが不可能な空間を指す。古典的な例としては中に死体がある部屋で、犯人がそこにどうやって入り、どうやって出たのか方法が見あたらないケースを指す。ミステリにおいては様々な活用が可能な状況である。詳細は密室殺人を参照。

この節の加筆が望まれています。

クローズド・サークル

登場可能な容疑者が何らかの理由で内部にいる一定人数以下に限られる状況を指す。詳細はクローズド・サークルを参照。
アリバイ

ミステリにおけるアリバイとは、ある容疑者に犯行の機会が存在しないことと定義できる。この意味で先述の密室は全員にアリバイを証明可能な状況と言い直すことも出来る。現実の刑事訴訟法同様にミステリにおいても探偵役は容疑者に犯行の機会があることを証明しない限り真犯人とすることはできない。ゆえに犯人の側は様々なトリックを用いてアリバイを偽装することになる。このようなアリバイを巡る攻防を中心としたミステリはアリバイ崩しものと呼ばれる。
翻案・流用

モンテ・クリスト伯』のように何度も翻案されている作品もある。郷原宏は日本の探偵小説黒岩涙香翻案小説から始まり、その第一作は明治21年(1888年)に新聞に連載された『法廷美人』であると述べている[4]。先行作品の探偵や怪盗などの登場人物を流用して物語を構成するパスティーシュ作品も定着した[注 1]

日本は明治32年(1899年)にベルヌ条約に加盟しているが、それ以降も翻案権を取得していない国内の作品も多い。翻案や流用は何らかの注釈を入れたり、先行作品の作者に許可を得ている作品もある[注 2]。ただし、現在でもトリックなどのアイディアの流用・拝借・類似に関しては許可を取らなくても著作権法では問題がない(アイディア・表現二分論)。
ジャンルに対する著名人の言及

ロルフ・ドベリ - 自著(シンク・クリアリー 300ページ)で、本は音楽のように繰り返して読むほうが良いとしているが、ミステリに関しては「二回読むのは不可能なジャンルだからだ。すでに結末のわかっている殺人事件について読みたいと思う人はいないだろう。」としている。

メディア別の代表的な作品一覧

以下は50音順
小説詳細は「推理小説」を参照
漫画詳細は「推理漫画」を参照
ドラマ

相棒

怪奇大作戦

刑事コロンボ

ケイゾク

新・赤かぶ検事奮戦記

TRICK

牟田刑事官事件ファイル

森村誠一の終着駅シリーズ

ゲーム

EVEシリーズ

かまいたちの夜

かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相


ゴースト トリック

逆転裁判

さんまの名探偵

ファミコン探偵倶楽部

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ

ポートピア連続殺人事件

探偵 神宮寺三郎シリーズ

TRICK×LOGIC

脚注[脚注の使い方]
注釈^奇巌城』『ルパン対ホームズ』『黄金仮面』『名探偵なんか怖くない』『金田一少年の事件簿』などの作品がある
^ 一例を挙げると江戸川乱歩は許可を得ていなかったものの『江戸川乱歩全集』の自作解説で幾つかのトリックは他作品からの流用だと説明しており、『少年探偵団シリーズ』では流用したトリックの内の一つは『ルパン』と同じものだと作中で示唆する台詞はある。乱歩は他にも初期の頃から『目羅博士』のように海外作品を下敷きにしている作品もあったが、『探偵小説四十年』によると後の『三角館の恐怖』は翻案権を取得している(『白髪鬼』『幽霊塔』も涙香の遺族に了承を得てリライトしている)。海外では著作権が厳しくない時代でも注釈をしている作品もある(ジュール・ヴェルヌの『アドリア海の復讐』等)。漫画作品の『パタリロ!』の「マリネラの吸血鬼」、『金田一少年の事件簿』の「異人館村殺人事件」は事後承諾で許可を得ている。

出典^ a b c 広辞苑「ミステリー」
^ a b c d 仁賀克雄『読書案内決定版 海外ミステリ・ゼミナール』朝日ソノラマ刊、1994年9月30日発行


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