ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ
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プロデューサーの山本又一朗が岡田に「国際映画祭は右翼に屈服してはいけない」と反論したが結局上映されなかった[14]
評価・解釈

『Mishima』の評価は賛否両論を巻き起こし、映画界で話題を呼んだ作品である[2]。三島の文学研究の立場で観賞すれば、三島の小説の中の都合のいい断片部分を寄せ集めた観のあるものとして批判的な要素もありながらも、小説家の思想と小説の作中人物の関係性を一本の映画の中で表現させようとした試みの大胆さは評価に値すると垣井道弘は解説し[2]、日本の作家・三島由紀夫の存在を広く世界の映画ファンに浸透させたと評している[2]

カンヌ国際映画祭翌日の新聞各紙の報道は、「三島をはじめ、楯の会の軍服に身を包んだ人たちの姿が美しい。この作品には、三島というもののすべてが凝縮されている」(ニース・マタン紙)や、「めったに見られない一つのスタイルを発見している。今回の全作品中で最も野心的な作品だ」(フランス・ソワール紙)をはじめ、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙などが讃辞の記事を載せた。その一方、リベラシオン紙は「シュレイダー監督はMISHIMAと自決した」と皮肉をこめて酷評した[2]。これについて垣井道弘は、三島文学にまったく関心のない記者が酷評したのだろうと述べている[2]

ジョディ・フォスターは、映画雑誌『ロードショー』の「もっと評価したい映画」を一本だけ挙げて自分の好きな映画を語るという企画特集で、『Mishima』を取り上げている[15]。また、ジョディは来日した際のインタビューで、「三島文学をかなり読んでいたので、映画にも興味を惹かれて見ました。三島の文学作品を撮った部分と、三島由紀夫の生涯を対比して描いたところが素晴らしかった。作品部分は凝った構成で、生涯の部分はドキュメンタリー・タッチになっている。その対比が絶妙だと思った」と述べている[2]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 米国ではビデオ化されていたため(英語字幕版)、輸入したものを視聴することは可能であった。2010年(平成22年)11月25日に鹿砦社から刊行の『三島由紀夫と一九七〇年』に本作のDVDが著作権者の承諾を得ないまま付録として封入されている[6]。事実上、日本での公開はこれが初めてとなる。また現在は、フランス盤のDVD(リージョンコードは欧州と日本で同じ為再生可能)が入手可能で、ブルーレイでは2018年5月22日にThe Criterion Collectionから米国盤がリリースされる(ブルーレイのリージョンコードは北米と日本で同じ為再生可能)。
^ 三島はその序文で、「細江氏のカメラの前では、私は自分の精神心理が少しも必要とされてゐないことを知つた。それは心の躍るやうな経験であり、私がいつも待ちこがれてゐた状況であつた」と語っている[12]

出典^ 垣井 1986, p. 36


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