ミシガン州
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ランサム・E・オールズ、ジョン・ドッジとホレス・ドッジの兄弟、ヘンリー・リーランド、デイビッド・ダンバー・ビュイック、ヘンリー・ジョイ、チャールズ・キング、ヘンリー・フォードなど多くの人物が自動車産業の立ち上がりに工学的なノウハウや技術を集中して投入した[9]。フォード社のハイランドパーク工場で採用された移動式組み立てラインの開発が輸送の新しい時代の始まりだった。蒸気船や鉄道と同様自動車は遠距離を走ることのできる手段となった。公共交通の形態以上に個人の生活を変革させた。自動車産業はデトロイトとミシガン州の主要産業となり、アメリカ合衆国のみならず、世界の大半で生活の社会経済的な側面を変えた。

自動車産業はその成長と共にデトロイトでの雇用機会を生みだし、ヨーロッパからの移民およびアメリカ合衆国の南部などから移住者を呼んだ。1920年にはデトロイト市が国内第4位の都市になっていた[10]。住宅が不足し、人口増に対応するために長い年月を要した。1930年代、多くの移民が入ってきていたので、公立学校では30以上の言語が話され、少数民族の社会はその歴史遺産を祝う祭が毎年開催されるようになった。長い間に移民と移住者はデトロイトの多様な都市文化に貢献し、1960年代に多様な歌手やグループが主導したモータウン・サウンドなどポピュラー音楽の流れを作った。デトロイト中心街の高層ビル

州内第2の都市グランドラピッズも製造業の重要な中心である。1838年以降家具産業でも注目され、世界の主要家具製造会社5社の事務所がある。市内にはスチールケースアムウェイ、マイアーなど大会社が入っている。またGEアビエーション・システムズのセンターもある。

1910年、ミシガン州は最初の大統領予備選挙を行った。工業の急速な発展と共に全米自動車労働組合の興隆など産業労働組合の重要な中心地になった。

1920年、デトロイトのラジオ放送局 WWJ が国内で初めて定時番組を流す放送局になった。この1920年代には国内でも最大級で華美な高層ビルが市内に建設された。特にフィッシャー・ビル、キャディラック・プレース、ガーディアン・ビルは国定歴史建造物に指定されている。

デトロイトは1950年に人口1,849,568人を数えた[11]第二次世界大戦後、市の中核部より外側の郊外地域に住宅が開発された。新しく建設された州間高速道路によって通勤が容易になった。自動車産業の近代の進歩は自動化、ハイテク産業を増加させ、1960年代以降の郊外部成長に拍車を掛けた。ホワイト・フライトも原因の一つだった。しかしその一方で、デトロイト市の人口は減少に転じるようになった。

ミシガン州は国内で自動車産業をリードしており、他にも中西部諸州、カナダのオンタリオ州、南部諸州に自動車産業がある[12]。州の人口は1千万人以上となり、国内第10位の人口で影響力を持つ州となった。デトロイト市は五大湖メガロポリスの中央に位置し、シカゴ都市圏に次ぐ中西部第2位の大都市圏を形成している。ミシガン大学医学校のバイオケミカル科学研究ビル、ミシガン生命科学コリダーの中心である

デトロイト大都市圏は州南東部にあり、州内最大の都市圏である(州人口の半分以上がフリントやアナーバーなども含めた広域都市圏に住んでいる)。また国内では第12位の広域都市圏である。州西部のグランドラピッズ都市圏は州内でも成長速度の高いものであり、2020年ではその広域都市圏の人口は140万人以上に達していた[13]。2019年にデトロイト大都市圏には年間1,900万人以上の観光客が訪れている[14]。州内には北部のグランドトラバース湾にあるトラバースシティなど人気のある観光地が多い。2017年に観光収入は年間247億ドルに上り、224,476人の雇用を支えている[15]。2009年の170億ドル年間観光収入と193,000人の雇用を支えていると比べたら成長が達成した[16]

研究開発費では国内第3位ないし第4位になっている[17]。主要な研究開発機関としては、ミシガン大学、ミシガン州立大学、ウェイン州立大学があり、これらは州経済の重要なパートナーであり、また州大学研究コリダーを支えている。公立大学は毎年15億ドルを超える研究開発費を得ている[18]。農業の分野でも、ブルーベリー、サクランボ、リンゴ、ブドウ、モモなど果樹の栽培で指導的な役割を果たしている。
地理 マキノー島のマルケット公園参照:ミシガン州の郡一覧 en:Islands of Michigan en:List of Michigan rivers

ミシガン州は西経82度7分から西経90度25分の間に位置し、マキナック海峡によって隔てられた2つの半島(アッパー半島ロウアー半島)からなる。北緯45度線が州内を通り、ハイウェイやポーラー・イクエーター・トレイルにはその表示がある[19]。45度線は、ロウアー半島ではトラバースシティ近くのミッションポイント灯台、ゲイロードとアルピーナの町、アッパー半島ではメノミニーの町を通っている。アッパー半島でウィスコンシン川を経由してミシシッピ川に水が流れる地域があり、またロウアー半島ではカンカキー川とイリノイ川を介してやはりミシシッピ川に注ぐ小さな地域があるが、この2か所を例外として、州内の水は五大湖に流れ込み、セントローレンス川に至る。この様に州内の水の大半が五大湖セントローレンス水路に流れているのはミシガン州のみである。スリーピングベア砂丘

ミシガン州の総面積(湖水などの水域を含む)は250,493km2で、ミシシッピ川より東の州の中では最大、全米でも第11位である。しかし、水域が総面積の4割以上を占め、陸地面積は147,122km2で、全米で第22位にとどまる。

ミシガン州は南部でインディアナ州オハイオ州、およびアッパー半島の南西部でウィスコンシン州(メノミニー川とモントリオール川)と陸地で接している。また、ミネソタ州イリノイ州カナダオンタリオ州、およびカナダのen:Walpole Islandのファースト・ネーションインディアン)自治区とも接しているが、五大湖内の湖上の境界で接しているに過ぎない。

五大湖は東からエリー湖ヒューロン湖ミシガン湖スペリオル湖が接している。周囲を湖に囲まれているため150か所の灯台は全米最多である。最初の灯台は1818年から1822年の間に建設された。海岸線(湖岸線)の全長は3,288マイル (5,292 km) あり、全米50州の中で2番目に長い[20]。島の湖岸線だけで1,056マイル(1,699 km) ある[21]。清水の湖岸線では世界のどの州・県よりも長い[22]。内陸部に位置しながらアメリカ沿岸警備隊が設置されているのも、その地理的特徴をよく表している。アッパー半島のターカメノン滝

森林の深いアッパー半島は西部で比較的山が多い。世界最古の山脈の1つに属するポーキュパイン山地が[23]、標高2,000フィート (610 m) 近くにまで盛り上がっており、スペリオル湖とミシガン湖に注ぐ水流を作っている。この山地の両側は岩がちである。州内最高地点はアッパー半島マーケット市の北西、ヒューロン山地にある1,979 フィート (603 m) のアーヴォン山である。アッパー半島はコネチカット州デラウェア州マサチューセッツ州およびロードアイランド州を合わせた広さがあるが、人口は33万人足らずである。住民は「ユーピーア」と呼ばれることがある(アッパー半島は頭文字で「UP」と呼ばれることが多い)。その使用する「ユーピーア方言」は19世紀後半の木材や鉱業ブームの間に地域に入ってきた多くのスカンディナヴィア系やカナダ人移民に強く影響されてきた。ポイント・ムイリー州立狩猟地域

ロウアー半島はミトンのような形状をしており、住民にどこから来たかを問うと片手を挙げて表す者が多い[24]。南北の長さは277マイル (446 km)、東西の幅は195マイル (314 km) あり、州地区地面積の3分の2近くに相当している。地表は概して平坦であり、所々円錐状の丘や氷河によるモレーンがあるが標高は数百フィート程度である。北から南に走る低い分水界で2つに分けられる。その西側が大きく、なだらかにミシガン湖に向かう斜面になっている。ロウアー半島内の最高地点は明確に確定していないが、標高1,705 フィート (520 m)であるブライアーヒルか、キャディラック市に近い幾つかの地点のどこかである。なお、最も標高が低いのはエリー湖畔で、その標高は571フィート (174 m) である。

アッパー半島西部のアイアンウッド市から、州南東部のランバートビル市まで高速道路の路程で630マイル (1,015 km) と長距離である。政治の中心で人口の多いロウアー半島とは隔絶しているアッパー半島は文化的、また経済的に独自のものを持っている。アッパー半島の住人はミシガン州からの分離を要求したこともあり、「スペリオル州」と呼ぶ新州を設立したこともあった。

ロウアー半島のミトンの形で親指にあたる半島がザ・サムと呼ばれ、ヒューロン湖とサギノー湾に突き出している。その地形はほとんど平坦で、幾らかうねりのある丘陵がある。もう1つの半島はキーウィーノー半島であり、銅生産地域である。北部にはリーラノー半島がある。リトルセイブルポイント灯台、ペントウォーターの南にある


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