マンチェスター
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最も大規模であったのは、1940年12月に22日から24日にかけて行われた2回に渡る夜間空襲で、376人の死者を出し、30000の家屋が破壊された。これらの空襲で、マンチェスター大聖堂は大きな損害を被り、復旧に20年を要した。

戦後に復興を果たしたが、主力産業が衰退したため最盛期と比較して人口は半分強ほどになっている。代わってメディアや研究施設、金融機関などが集中し町は徐々に勢いを取り戻しつつある。約44万人の総人口のうちおよそ9%がインド人をはじめとする東南アジア人で、5%が黒人、1.5%が中国人である。バーミンガムと並んでイギリスの地方都市としては有色人種の割合が比較的高い。
地理

アーウェル川、メドロック川、アーク川の合流点に位置する工業都市である。産業革命以降、綿織物工業の中心都市として発展した。近隣の都市としては、約50キロ西のリヴァプール、約60キロ北東のリーズ、約55キロ東のシェフィールドなどが挙げられる。なお、英国第2の規模の国際空港であるマンチェスター空港は、同市のみならず上記の都市へのアクセスにも広く使われている。

市域は東西約9km、南北19kmで面積は115.65平方キロメートルあり、大半が可住地・市街地となっている。南部は学生街・公園地帯として発展し、中心部はオフィス街や商業地、移民による居住地などが展開されている。マンチェスターの人口の約1.5%は中国系住民であり、市中心部にはイギリス有数の規模のチャイナタウンがある。
気候

マンチェスターの緯度はおよそ北緯53度で樺太よりも更に北である。更に内陸部に位置していることもあって、冬季は気温差がやや大きく冷え込みも厳しい。しかしイギリス・アイルランド周辺を流れるメキシコ湾流の影響で基本的には温暖であり、一年を通じて平均的な降水量がある。

マンチェスター(マンチェスター空港(標高69m)、1981?2010年(極値1958?2004年))の気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
最高気温記録 °C (°F)14.3
(57.7)16.5
(61.7)21.7
(71.1)25.1
(77.2)26.7
(80.1)31.3
(88.3)32.2
(90)33.7
(92.7)28.4
(83.1)25.6
(78.1)17.7
(63.9)15.1
(59.2)33.7
(92.7)
平均最高気温 °C (°F)7.3
(45.1)7.6
(45.7)10.0
(50)12.6
(54.7)16.1
(61)18.6
(65.5)20.6
(69.1)20.3
(68.5)17.6
(63.7)13.9
(57)10.0
(50)7.4
(45.3)13.5
(56.3)
日平均気温 °C (°F)4.5
(40.1)4.6
(40.3)6.7
(44.1)8.8
(47.8)11.9
(53.4)14.6
(58.3)16.6
(61.9)16.4
(61.5)14.0
(57.2)10.7
(51.3)7.1
(44.8)4.6
(40.3)10.0
(50)
平均最低気温 °C (°F)1.7
(35.1)1.6
(34.9)3.3
(37.9)4.9
(40.8)7.7
(45.9)10.5
(50.9)12.6
(54.7)12.4
(54.3)10.3
(50.5)7.4
(45.3)4.2
(39.6)1.8
(35.2)6.6
(43.9)
最低気温記録 °C (°F)?12.0
(10.4)?13.1
(8.4)?9.7
(14.5)?4.9
(23.2)?1.7
(28.9)0.8
(33.4)5.4
(41.7)3.6
(38.5)0.8
(33.4)?4.7
(23.5)?7.5
(18.5)?13.5
(7.7)?13.5
(7.7)
降水量 mm (inch)72.3
(2.846)51.4
(2.024)61.2
(2.409)54.0
(2.126)56.8
(2.236)66.1
(2.602)63.9
(2.516)77.0
(3.031)71.5
(2.815)92.5
(3.642)81.5
(3.209)80.7
(3.177)828.8
(32.63)
平均降水日数 (?1.0 mm)13.19.712.311.210.411.110.912.011.113.614.113.5142.9
平均降雪日数65320000001320
湿度87868585858788898989888788
平均月間日照時間52.573.999.0146.9188.3172.5179.7166.3131.299.359.547.11,416.2
出典1:Met Office[3] NOAA (relative humidity and snow days 1961?1990)[4]
出典2:KNMI[5][6] Current Results - Weather and Science [7] WeatherAtlas[8]

人口南から望むManchester city centre. マンチェスターの中心業務地区及びグレーター・マンチェスター

マンチェスターは産業革命の進展と共に急成長し、1851年には30万人以上の人口を擁していた。更にその後も順調に発展を続け1930年代には市域人口がおよそ75万人に到達し、ロンドンリバプールバーミンガムに次ぐ大都市として英国経済を支えた。

しかしその後イギリスは『英国病』と呼ばれる長期不況に突入。マンチェスターは主力の繊維産業や日用品製造などの軽工業が衰退し、人口は急激に減少していった。それと共に中心部には放置された空き工場や無人住居、空き地、倉庫などが目立つようになっていく。

1980年代、地方自治推進政策や産業構造転換により街は徐々に息を吹き返し、金融機関や新聞社・テレビ局などのメディア企業、学術機関、研究所などが立地するようになり人口は2000年前後にようやく下げ止まり、増加に転じた。

現在では市域内人口こそ全国第6位(ロンドンバーミンガムリーズグラスゴーシェフィールドに次ぐ)であるものの、国全体の都市の位置づけとしてはバーミンガムなどと並んで2位、3位あたりを争うと言われている。市域人口は2018年現在547,627人で徐々に回復している。移民の流入が多く、中でも市中心部を中心としてインド人や中国人、黒人の増加が目立っている。非白人の全住民に占める割合は20%近くに達し、ロンドンやバーミンガム、リーズなどと並んで多民族都市の色彩が濃い。

なお市の年齢構成は2007年時点で0?14歳が17.0%、15?24歳が20.7%、25?64歳が51.0%、65歳以上が11.2%となっている。大学が多いことなどもあり、若年人口が多いことが特徴である。[9]

マンチェスターの人口の推移年1881191119311961198120052018
人口516,868711,941751,292612,537437,660441,200547,627

経済マンチェスターシティセンターにあるディーン・ゲート・スクエア(2021年

近年新都心として、「ディーン・ゲート・スクエア」が都市開発され、オフィス機能の集積が進められている。
生活水準

Index of Multiple Deprivation 2004 によれば、マンチェスター市の1世帯当たり平均年収は16,500ポンド(約358万円)で英国平均21,300ポンド(約462万円)より2割あまり少ない。なお都市圏(グレーター・マンチェスター)全体では19,400ポンド(約421万円)となり、市単体よりもやや多くなる。生活保護を受けている世帯は割合にして英国平均の約2倍に上り、全体には中・低所得者が多い。→ ⇒[3]
交通メトロリンク
鉄道

マンチェスター・ピカデリー駅 - イングランド北部最大のターミナル駅のひとつ、長距離列車の多くが発着。

マンチェスター・ヴィクトリア駅 - イングランド北部地方内の近郊路線が主。


マンチェスター・メトロリンク - マンチェスターの路面電車は1949年に廃止されたが、1992年に全く新しいライトレールシステムとして復活した。

空港

マンチェスター空港 - イングランド北部の拠点空港で、国際線も充実している。

文化
音楽

ハレ管弦楽団およびBBCフィルハーモニックが本拠をマンチェスターに置き、1996年以降は音楽ホールとして新たに建設されたブリッジウォーターホールを中心に活動している。それ以前は19世紀産業革命絶頂期に建てられたフリー・トレード・ホールがマンチェスターの主要なコンサート会場であった。フリー・トレード・ホールはクラシック以外にもロックなどのコンサートの舞台となってきた。

マンチェスターは1960年代以来、ポップス・ロック・テクノなどの分野の著名なミュージシャンやバンドを多く輩出している。英国を代表するロックバンドのニュー・オーダー808ステイトザ・スミスハッピー・マンデーズザ・ストーン・ローゼズオアシス が結成された地である。特に1980年代後半にはファクトリー・レコードを中心にマッドチェスターというジャンルが生み出された。
グループ


ザ・ホリーズ


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