マンション
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マンション大衆化期は、マンションの普及が促されるにともない徐々に住宅ローン制度が広まる、その一方で後述する建設時などのトラブルが表面化し出した時期でもある。

マンション質向上期は、建築技術の進歩、バブル景気などの好景気を受けて、高層化の進展、居住性の向上も進んだ時期である一方で、マンション草創期などに作られたマンションの大規模修繕、建て替えの必要性の問題が表面化してきた。当時は都心での地価高騰の影響により、戸建住宅が中心であった郊外ベッドタウンへのマンション進出が相次いだ。スポーツクラブジムプール)やラウンジの設置、温泉をパイプラインで浴室に引き込んだ物件や、山間部のリゾートマンションなど多種多様なマンションが供給された。しかし、それらは区分所有者が維持管理しなくてはならず、修繕積立金高騰の一因となることがわかり、現在では人気は衰えている。

その後の時期は、単身世帯の増加、高齢化の進展などを背景に、想定される利用者層などがさまざまなタイプのマンションが市場に登場している。また、マンションにIoTを搭載した「スマートホーム」も話題になっており、マンションの先進化が進んでいる。21世紀には地価下落による土地仕入れコストの低下、超高層建築技術の発展にともない、全国的に大都市の都心部にタワーマンション建設が続いている。
旧ソビエト連邦・ロシア連邦

1960年代、ソビエト連邦(ソ連)政府はフルシチョフカロシア語: хрущёвка; IPA: [xr?????fk?])という集合住宅をソ連邦内に数多く建設した。低コストで、パネル工法あるいはレンガで作られており、3階から5階建てである。建設はその名前にある通り、ニキータ・フルシチョフ政権が推進した。

もともとこれらの建物は、成熟した共産主義によって住宅不足が軽減されるまでの一時的な住宅であると考えられていた。フルシチョフは20年以内に社会主義から共産主義に移行できると予測した。その後、レオニード・ブレジネフ政権は各家族に「1人1部屋の確保と1部屋分の追加」を約束したが、ソ連崩壊を経たロシア連邦では今日も多くの人がフルシチョフカに住み続けている。
イギリス「イギリスのタワー・ブロック」も参照

インナーシティの高密度開発のために住宅助成金制度を改正(1946年)。1967年まで高層住宅ブームだった[7]。しかしタワーは育児・防犯に問題が大きいとの一連の調査結果、そして上位7社で7?8割という建設会社の寡占から批判を集め、ローナン・ポイント高層住宅のガス爆発・崩落事故(1968年)を機に高層の公営住宅の建設は中止された[8]
フランス

フランスでは産業振興や人口増加に対応して1960年代に大規模再開発事業が盛んになり、中高層住宅も数多く建設された。その後、石油危機を契機に「人間規模の都市計画」に都市法も転換する。社会住宅建設や小工業・手工業の首都パリへの維持による「均衡のとれた都市づくり」が追求され、60年代よりもはるかに厳しい建物の高度制限や容積率制限が導入された[9]
オランダ

オランダでは、ル・コルビュジエアントウェルペン計画(1933年)を踏まえて、1960年代にアムステルダムに一辺80?400mもの巨大高層住棟から構成されるバイミール・ニュータウンが建設された。低所得オランダ人向けの計画だったが高層はまったくの不人気で、結果的に移民労働者世帯が居住し、40種類以上の言語が話される「コミュニケーションなきコミュニティ」となる。これとすぐ外の環境を「わがもの意識」で見守れない空間性と相まって、犯罪や破壊、空家の急増をもたらした。こうした高層団地の悲惨な現状を受け、1970年代以降にはオランダの各都市圏の集合住宅建設は、幼児のいる家族向けにはタウンハウス・クラスターとして建設されることになった[7]
アメリカ

アメリカ合衆国では、マンハッタンに1930年代から超高層マンションが林立するようになっていた。第二次世界大戦後はモータリゼーションと並行し、持家所有と郊外開発が進む。その一方、中心市街地ではスラムクリアランスを目的とする公共住宅法(1937年)以来、マイノリティのコミュニティを全面的に破壊しながら中高層の公共住宅が建設された。しかし大規模な高層住宅ほど、エレベーター、廊下、空地などお互いの監視の目の届かないスペースが生まれるために、強盗、窃盗、脅迫、強姦、殺人といった凶悪犯罪の温床(13階建以上で1,000人あたり年間20件)となって退去者も急増して荒廃する。こうした治安問題を背景に、プルーイット・アイゴー団地の全面爆破(1974年)と中低層団地への建て替えに代表されるように、公共住宅の高層化は下火になった[7]
住戸形態

マンションは、対象とする利用者層、目的から、次のような用語例がある。
ファミリー型:専用部分はnDK型やnLDK型と呼ばれる、n個の居室と
ダイニングキッチン、リビングなどから構成されることが多い。

ワンルーム型:居室、ダイニング、寝室等に仕切りがなく一体になっている。ただし、トイレや風呂場は別になっている。

マンションの用途は住戸であるが、居住者層などからさらに細分化され、それに対応したさまざまなものが市場に出ている。「#用途的に細分化されたもの」を参照
権利関係

土地、敷地利用権の権利態様から、次のようなものに大別される。
各室(専有部分)を入居者が所有することが基本で、敷地も各専有部分所有者の共有とするもの。

各室(専有部分)を入居者が所有することが基本で、敷地も各専有部分所有者の地上権を共有とするもの。

各室(専有部分)を入居者が所有することが基本だが、敷地は
定期借地権などの設定を受けて各専有部分所有者が借地権を準共有するもの(いわゆる定期借地権マンションなど)。

建物全体と敷地が同一の所有形態で、専有部分にあたる各室を賃貸に供しているもの(いわゆる賃貸マンション)。入口に管理する不動産業者とその連絡先が書かれたプレートや「入居者募集」と書かれた貼り紙などが取りつけられている場合が多い。

各室(専有部分)ごとに所有者がおり、敷地利用権も各専有部分所有者の共有もしくは借地権準共有であるが、建設当初の販売時から賃貸に供されることを前提としたもの(いわゆる投資用物件マンション、居住者-借主側から見ると「賃貸マンション」に含まれる)。

自ら居住するための住宅を建設するものが組合を結成し、協同して事業計画を進め、土地の取得、建設の設計、工事発注、その他の業務を行い、住宅を取得する方式(コーポラティブ方式、「コーポラティブハウス」参照)。将来の建替え時の意思統一の円滑化の観点からも、専有部分にあたる部分も組合で共有する方法にはメリットがあるという[10]

日本や大韓民国などにおいては、日本の区分所有法のような関係法令により、一棟の建物および敷地を、専有部分、共用部分、敷地というように分類するが、欧米では、土地と建物を不動産として区別せず、敷地利用権という概念がない国が多い。さらに、共同住宅の普及の進む国、地域においては、法令やその運用により、区分所有権に基づく利用の自由と区分所有者の共同の利益の調和が図られる。詳細は「専有部分」および「共用部分」を参照

上記の3.以外は、専有部分所有者(区分所有者)たちにより形成される管理組合により運営されていくことになるが、共同住宅の普及の進む国等では、それぞれ法令の整備を進めている。日本では、マンションの管理運営は建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)によって定められており、区分所有者と管理組合が主体となって管理運営を行うこととされている。なお、上記の1.において、年月の経過とともに、専有部分を賃貸する区分所有者が増えていく傾向があり(「賃貸化」)、管理上の問題点の一つとされている[11]。詳細は「管理組合」を参照

区分所有建物のイメージ例(専有部分共用部分

立面イメージ301号室
(専有部分)302号室
(専有部分)エレベー

階段
廊下
(法定
共用部
分)
201号室
(専有部分)202号室
(専有部分)
1階店舗
(専有部分)管理人
(規約共
用部分)


201、202、301、302の各号室:住戸(各戸前のバルコニーの専用使用権付)

高層マンションでも、上記イメージの延長となる。こうしたマンションの全景は、バルコニーの部分が凹んだような外観となることが多い。大川端リバーシティ21 センチュリーパークタワー

平面イメージ(上記立面イメージの202号室周辺)廊下(法定共用部分)
202号室
(専有部分)階段等
(法定
共用部
分)
バルコニー(法定共用部分、
202号室の専用使用権)


「規約共用部分」とは管理規約により共用部分とされる部分で、「法定共用部分」とは法令上当然に共用部分となる部分をいう(区分所有法第4条)。
敷地については「敷地利用権」を参照

参考:『平成21年度版 宅建ポイントマスターI 民法等』TAC


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