マンガン(満俺[1]、独: Mangan、英: manganese、羅: manganum)は原子番号25の元素。元素記号はMn。 ギリシャのマグネシア地方で発見された Magnes の石に由来する[2]ラテン語で「磁石」を意味するmagnesにちなむ[1]。 日本では満俺とも書く[1]。 銀白色の金属で、比重は7.2(体心立方類似構造)、融点は1246 °C。マンガン族元素に属する遷移元素。温度によりいくつかの同素体が存在し、常温常圧で安定な構造は立方晶系である。これは硬く非常に脆い。空気中では酸化被膜を生じて内部が保護され、赤みがかった灰白色となる。酸(希酸)には易溶であり、淡桃色の2価のマンガンイオン Mn2+(aq) を生成する。 比較的反応性の高い金属で粉末状にすると空気中の酸素、水などとも反応する。化合物は2–7価までの原子価を取り得る(+2、+3、+4、+6、+7 が安定)。地球上には比較的豊富に存在するが、単体では産出しない。二酸化マンガンを触媒とする過酸化水素の水と酸素への分解反応は、日本の義務教育課程で触媒の実験の題材とされるため非常に有名である。 単体マンガン自体は常磁性であるが、合金にはホイスラー合金 スウェーデンのカール・ヴィルヘルム・シェーレ(C. W. Scheele)が1774年に発見、同年ヨハン・ゴットリーブ・ガーン(J. G. Gahn)が単体を単離した[3]。 一番有名な用途は、二酸化マンガンがマンガン乾電池やアルカリ乾電池の正極に使われる。また、リチウム電池の正極にも用いられ、リチウムイオン二次電池の正極材料として研究されている。また、磁性材料として、マンガン、亜鉛、鉄を含む金属酸化物であるMnZnフェライトがインダクタやトランスのコア材料として用いられている。 マンガン単体が金属材料として用いられることはほとんどなく、合金として、マンガン鋼の原料や、フェロマンガンとして鋼材の脱酸素剤・脱硫黄剤などに使用される。鉄鋼用途で耐磨耗性、耐食性、靭性を付加するために、マンガン合金(フェロマンガン)や金属マンガンとしてマンガン分が添加される。 また、生物の必須元素としても知られており、硫酸マンガンなどの化合物は肥料としても用いられる。
名称
性質
歴史
用途
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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