マルタ騎士団
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マルタ騎士団パスポートは外交または公用に携わる者(大使公使など)のみに発行され、騎士団員のうち2016年時点でマルタ騎士団パスポートを所有する人数は約500名である[1][21]

日本国籍の騎士は2022年6月現在武田秀太郎1名[10]マルタ騎士団礼装(襟の色により階級が区別される。写真は総長の礼装)

マルタ騎士団員は、貧者・病者に対する長年の顕著なボランティアによる功績を有し、法曹界、学界、医療界などのコミュニティにおいて指導者と目される敬虔なカトリック教徒から選抜される[22]。騎士候補に選抜された者は、洗礼を受けたカトリック教徒である証明として司祭からの推薦状を得た上、1年間の修練準備期間を経なければならない[1]。上記の武田は香港で貧困家庭向けのオンライン学習支援に従事し、その前の国際連合ウィーン事務局勤務時代での騎士団関係者からの昼食の誘いなどが実質的な面接だったのではないかと回想している[1]

マルタ騎士団騎士への叙任はカトリック教会における最上級の栄誉の一つであり、騎士には叙任と同時にマルタ騎士団総長により騎士団員章である聖ヨハネ騎士勲章が授与される[3]

マルタ騎士団騎士には三階級が存在し、原則として全ての騎士は初めに第三階級に叙任された後、マルタ騎士団内における功績に応じ上位の階級に昇叙する。
第一階級(最上級騎士)

ナイト・オブ・ジャスティス(正義の騎士) 

修道誓願独身、私有財産の放棄、神への従順)を立てた騎士。1990年から貴族階級出身者にも昇進の道が開かれた[3]


第二階級(上級騎士)

ナイト・イン・オヴィディエンス(忠誠の騎士)

第三階級

ナイト・オブ・オナー・アンド・デヴォーション(名誉と献身の騎士) 

曽々祖父母16名全員が貴族家系であることを証明出来る者はこの種別に叙任される
[3]



ナイト・オブ・グレース・アンド・デヴォーション(慈愛と献身の騎士) 

曽祖父母8名全員が貴族家系であることを証明出来る者はこの種別に叙任される[3]



ナイト・オブ・マジストラル・グレース(主の恩寵の騎士)

上記以外の全員(=平民出身)が叙任される種別。



聖ヨハネ騎士勲章ナイト・オブ・ジャスティス章

聖ヨハネ騎士勲章ナイト・オブ・マジストラル・グレース章

マルタ功労十字勲章

マルタ騎士団は貧者・病者に対し顕著な功績のある者にマルタ功労十字勲章(Order pro Merito Melitensi)を授与している。受勲者はカトリック教徒やマルタ騎士団員に限られないが、受勲者というだけではマルタ騎士団員とは見なされない(上節で説明の通り、叙任され「騎士章」を受けることが必要になる)[23]

マルタ功労十字勲章グランド・オフィサー星章

マルタ功労十字勲章グランド・オフィサー正章

偽団体

マルタ騎士団の名を騙り、被害者の名誉欲を煽って高額な入団金などを得る詐欺団体が存在する[24]。マルタ騎士団中央政府は「洗礼を受けたカトリック教徒でない者を騎士に叙任することは、例外なく行っていません。」「全て騎士候補には騎士団付司祭の指導のもとでの12ヶ月間の修練が義務付けられており、これを免除して叙任を行うことはありません。」「マルタ騎士団を名乗る団体からアプローチを受けた場合はまず警戒し、最寄りの国家支部または大使館に問い合わせて下さい。」と注意喚起をしている[25]

日本では、偽騎士団員がマルタ騎士団を名乗り、また偽勲章を佩用することは、軽犯罪法第一条十五「位階勲等…外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、…勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者」[26]により拘留又は科料の刑罰に処される可能性がある。

日本でも2022年3月11日、共同通信社により詐欺団体をマルタ騎士団と取り違えた誤報道があり、翌日に取り消す事案が発生した[27]。共同通信社はマルタ騎士団に正式に謝罪を行った上で、同年6月25日に訂正報道として正統な武田秀太郎の叙任を改めて報道した[28][リンク切れ][29]

マルタ騎士団の純正な騎士叙任証

マルタ騎士団詐欺団体により発行される偽証明書の例

マルタ騎士団詐欺団体による偽叙任式の例

関係者

カール1世 (オーストリア皇帝)(マルタ騎士団員)

フランツ・ヨーゼフ1世 (オーストリア皇帝)(兼ハンガリー国王、マルタ騎士団員)

ヴェンツェル・フォン・エスターライヒ神聖ローマ帝国皇子、1577年カスティーリャ王国のマルタ騎士団会長)

アルベール1世 (ベルギー王)(マルタ騎士団員)

フアン・カルロス1世 (スペイン王)(マルタ騎士団員)

ペドロ2世 (ブラジル皇帝)(マルタ騎士団員)

パーヴェル1世 (ロシア皇帝)(マルタ騎士団総長)

ピエール・アンドレ・ド・シュフランフランス王国海軍提督、マルタ騎士団員)

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(画家、マルタ騎士団員)

クレメンス・アウグスト・グラーフ・フォン・ガーレンミュンスター司教枢機卿、マルタ騎士団員)

山本信次郎大日本帝国海軍軍人、マルタ騎士団員、大聖グレゴリウス騎士団員)

武田秀太郎九州大学准教授、2022年時点で日本国籍唯一のマルタ騎士団員)[1]

脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i j k l m n o p 【小国に生きる】マルタ騎士団?領土なくとも、使命でつながる The AsahiShimbun GLOBE(『朝日新聞』朝刊2022年8月21日G3面(2022年9月2日閲覧)


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