マリファナ
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この三大分類を使った別の資料では、抑制作用と幻覚作用の中間に分類されている[36]

幻覚剤や大麻に詳しいハーバード大学のレスター・グリンスプーンによれば、大麻には弱いサイケデリック作用があるが、ドラッグの使用者も幻覚剤のような強い作用を起こさないものだとして大麻を同列には扱わず、典型的な幻覚剤とは異なり大麻では眠気を起こす性質もあり、典型的な幻覚剤であるLSD、メスカリン、シロシビンでは、一方の薬剤の使用によってほかの薬剤が効かなくなるという、交叉耐性が生じるが、大麻の成分THCはそうした交叉耐性を起こさないという違いがある[37]。大麻では労働中に使用したり、ジャマイカでは大量に日常的に使用することがあるが、穏やかな刺激をもたらすことが目的である[37]
歴史「アサ#歴史」および「医療大麻#歴史」も参照ウィーン写本(1世紀)に記された、大麻の図(Cannabis sativa)

大麻の薬や嗜好品としての歴史は長く、中国で2700年前にシャーマンが薬理作用を目的としたとされる大麻が発掘されている[6]。2500年前の、中国の古代都市の車師の墓地からも、麻の布がなく花穂の特徴から摂取を目的としたと考えられる大麻草13本が出土している[7]後漢(25年 - 220年)の頃に成立したとされる中国最古の薬物学書『神農本草経』に薬草として使われていたことが記されている。「歴史の父」と呼ばれるヘロドトスは、『歴史』において、紀元前450年のスキタイ人やトラキア人は大麻を吸っていたと伝え、70年にはローマ帝国の医学治療として大麻の使用が言及された。アラビア中東では900年から1100年にかけて大麻の喫煙習慣が広まった。アメリカ大陸においては、1549年にアンゴラから連れてこられた奴隷が、ブラジル東北部での砂糖のプランテーション砂糖とともに大麻を栽培し、喫煙していた。アメリカ大陸のスペイン領やイギリス領でも大麻の栽培は行われ、特にメキシコでは大麻使用が大衆化した。

日本の『万川集海』(21巻、1676年)には、大麻の葉を乾燥させて粉にした「阿呆薬」なるものの製法が記載されている。食事などに混ぜて薄茶3服ほど摂取させると「気が抜けてうつけになる」とされている。ヨーロッパでは、嗜好品としての大麻は1798年のナポレオン・ボナパルトによるエジプト遠征によってエジプトから伝えられ、1843年にはパリで「ハシッシュ吸飲者倶楽部」が設立された。1937年以前に生産されていた大麻チンキ

西洋では1840年以降、大麻を医療に用いるための100冊以上の書籍が出版され、脚光を浴びた[38]。1870年にギリシアで大麻使用が全土に普及した。また、イギリスの上流階級や王室の間にも広がり、ヴィクトリア女王は生理痛の緩和に使っていた。薬用としては腹痛や発熱不眠症結核患者に使われた。

江戸時代の博物学者貝原益軒の『大和本草』に大麻(アサ)の項があり、麻葉の(マラリア)への治療薬としての効能、日本で大昔から麻が植えられていた様子が『日本書紀』や『舊事紀』に見られることなどが記されている[39]。その他、第二次世界大戦前の生薬学では、大麻の麻酔性がインド、中国では紀元前から知られており、嗜好用途のほかに鎮静薬及び催眠薬として、喘息への熏煙剤および紙巻煙草としての用法があると記載されている[40]。また大麻取締法施行により使用されなくなる以前、1886年に印度大麻草として『日本薬局方』に記載され、1951年の第5改正まで収載されており、日本においても鎭静、催眠薬として利用されていた記録が残っている[41]アムステルダムの大麻博物館

アメリカ合衆国では、1840年に医薬調合品として大麻の利用が可能になり、1842年から1890年代まで処方される薬の上位にあった。嗜好品としてはオスマン帝国スルタンであるアブデュルハミト2世が伝えたとされ、1876年の独立100周年を記念するフィラデルフィア万国博覧会のオスマン帝国のパビリオンでは大麻の吸引が行われた。その後、アメリカ北部で大麻を吸引できる店が開店し、上流階級や地位のあるビジネスマンがお忍びで通った。禁酒法時代にはクラブなどの公共の場で酒の代わりとして振る舞われていた。しかし、1915年-1927年には南西部州を中心に医療目的以外の大麻使用が州法で非合法化され始め、禁酒法の廃止や治安悪化、人種差別や移民問題[注 3]、合成繊維の普及と相まって、1937年に連邦法によって非合法化された。1960年代にはヒッピー・ムーブメントで大麻使用が大衆化され、ベトナム戦争の戦場で、大麻を吸うアメリカ軍兵士が急増した。

1980年代までの取り締まりは、アメリカでの摘発を免れるための屋内栽培を増加させ、生産技術の向上を招き、その技術は世界に広まった[42]。医療大麻については、連邦法との板挟み状態にあり、医療目的で大麻を使用する患者、薬局などが逮捕や強制捜査を受けるなどのグレーゾーンであったが、2009年2月に医療大麻に対する取り締まりが終結された[43]

宗教面では、前1200-前800年にはバラモン教の聖典『ヴェーダ』から医薬や儀式、シヴァ神への奉納物として使用されたと記されている。


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