マネジメント・バイアウト
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経営陣の自己資金の提供が小さく、投資ファンドの提供資金の比率が相対的に大きい場合、実質的には投資ファンドによる上場会社の買収になっていて経営陣は「雇われ経営者」として残っているにすぎない場合があり「擬似MBO」として一般的な意味のMBO「真性MBO」と分けて議論する見方がある[1]

特に疑似MBOにおいて、MBOから一定期間経過後も経営状況が好転しない場合、大株主であるPEが経営陣を解任し、PEの意向に沿う新たな経営者を招聘する例も有る(すかいらーくが代表例)。これはMBOと言いつつも、実際には経営陣が当該企業のオーナーたり得ていないために起こる事象であり、一部にはこのような「実態はPEが経営権を握るMBO」を「名ばかりMBO」として批判する意見[4] や、「創業者が自ら保有する株式を現金化する手段としてMBOが隠れ蓑的に使われている」という意見[5][6] も出てきている。
動機

MBOなどのバイアウトによって企業価値が上昇する源泉に関しては、節税仮説、富の移転仮説、フリー・キャッシュ・フロー仮説、エージェンシー・コスト仮説、企業組織形態仮説、株式過小評価仮説、経営者インセンティブ強化仮説などがある[3]

アメリカでは借入利子に対する課税控除の節税の恩恵を受けたり、株価の株式市場での過小評価されていることが結び付き、MBOが促進されているとみられている[7]

また、敵対的買収の対抗策として閉鎖会社化したり、コングロマリットの分割(日本ではのれん分け)に用いられる場合もある[7]

会社が上場を維持する必要がない場合もあり、特に非上場会社に投資するプライベート・エクイティ・ファンドが増え、非上場会社の資金調達の手法が多様化しており、資金調達において上場会社であることの相対的優位性が薄れてきていることも背景にある[1]

事業承継で後継者がオーナー株主(主に現経営者)から株式を買い取る手法を用いる事業承継型MBOもある[8]
メリット・デメリット
メリット

経営陣のメリット

短期的な業績に左右されることなく、中長期的な迅速かつ機動的な経営ができる
[1]

上場を廃止することで、敵対的買収のリスクを回避できる[1]


会社側のメリット

上場を廃止することで、株主総会の開催や有価証券報告書の作成などのコストを削減できる[1]

上場会社で要求される情報開示の必要性がなくなり、企業秘密など経営上重要な情報が公開されるのを防ぐことができる[1]


市場のメリット

会社が株式市場からの資金を効率的に活用できていないとみられる場合、上場を維持されるよりも、その資金が新たな投資先に振り向けられるようにしてもらったほうが望ましいという考え方[1]


デメリット

非上場化することで、経営に対する監視機能が低下する懸念がある。

非上場化の過程で取締役の利益相反などの問題が生じる
[1]

脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i j三苫裕「マネジメント・バイアウト(MBO)に関するルール設計のあり方」 (PDF) 東京大学法科大学院ローレビュー Vol.1 (2006.8) p.35-40 東京大学法科大学院(2022年9月14日閲覧)
^ LBO(レバレッジド・バイアウト) とは?目的とメリット、デメリット、実際の手続き方法まで徹底解説 - 識学総研(2022年9月9日閲覧)
^ a b c d e f g h i j 佐藤元治「日本のMBO研究のサーベイ-定義、動機、意義、問題点-」『函大商学論究』第44巻第1号、函大商学論究委員会、2011年、75-103頁、doi:10.18896/00000084、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0286-6145。 
^ 『名ばかりMBO』のツケ? 退任要求された「すかいらーく」創業社長 - ダイヤモンド・オンライン
^すかいらーく転売危機…創業一族“MBO錬金術”ツケ(夕刊フジ) - ネタりか[リンク切れ]
^ MBOを隠れ蓑にした錬金術(上) | 東京レポート - 九州企業特報
^ a b 泉田栄一「アメリカにおけるMBOと法律問題(一)」『法律論叢』第84巻第4-5号、明治大学法律研究所、2012年1月、1-55頁、ISSN 0389-5947。 
^ MBOは事業承継の有力な選択肢になり得るか? - 季刊 政策・経営研究 2016 vol.2(2022年9月14日閲覧)










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