マニラプトル類
Maniraptora
生息年代: 中生代後期ジュラ紀, 160?0 Ma Pre??OSDCPTJKPgN
地質時代
後期ジュラ紀(前期からの可能性あり) - 現代
分類
マニラプトル類[1][2](マニラプトルるい、学名:Maniraptora、「手泥棒」の意味)は、コエルロサウルス類に属する恐竜の一群である。マニラプトラ類[3]、手盗類(しゅとうるい)[4]とも呼ばれる。 鳥類およびOrnithomimus veloxよりも鳥類に近縁な非鳥恐竜が含まれている。 主要な下位分類群としてはアヴィアラエ、デイノニコサウルス類、オヴィラプトロサウルス類、テリジノサウルス類
概要
特徴羽毛の印象をもつミクロラプトルの標本
マニラプトル類は長い腕と三本指の手(いくつかの系統では減少、癒合が見られる)および半月状手首の骨(手根骨)によって特徴付けられる。恐竜では唯一硬骨化した胸骨を持つ。2004年にトーマス・ホルツ(英語版)およびハルツカ・オスモルスカ(英語版)は骨格の詳細に関して他に6つのマニラプトル類に独特の特徴があると指摘した。恥骨が前方を向いている他の竜盤類とは異なり、マニラプトル類のいくつかの分類群では鳥盤類の様に後方を向いていた。恥骨が後方を向いているのはテリジノサウルス類、ドロマエオサウルス科、アヴィアラエ、一部の原始的なトロオドン科である。後方を向いた恥骨がマニラプトル類の多様な分類群で見られることから、研究者らは進歩的なトロオドン科やオヴィラプトロサウルス類に見られる「原始的な」前方を向いた恥骨は逆戻りの進化をしたもので、これらの分類群は後方を向いた祖先から進化したものであると結論している[6]。
羽毛と飛行(Aviremigia)で知られている。テリジノサウルス類(特にベイピアオサウルス)などより原始的なマニラプトル類では単純な綿毛状の繊維と独特の細長い羽軸の組み合わせが見られる[7][8]。羽毛はコンプソグナトゥスのようなより原始的なコエルロサウルス類でも見られ、鳥盤類のティアニュロング(Tianyulong)やクリンダドロメウス、果ては恐竜ですらない翼竜などより類縁関係が遠いものにすら存在していた可能性がある。このようなことから、少なくとも若い頃は全てのマニラプトル類に何かしらの羽毛もしくは綿毛状の外皮に類するものが存在したと見られる[9]。
系統内のどこまで遡れるかについては議論があるものの、マニラプトル類は唯一飛翔能力のある種を含む恐竜の分類群である。羽ばたき飛行もしくは滑空飛行はラホナヴィス(Rahonavis)やミクロラプトルといったドロマエオサウルス科のいくつかの種でも可能であったと考えられている[10]。他の分類群ではオヴィラプトロサウルス類の様に飛翔能力がある種が知られていないものの、一部の研究者により飛行していた祖先を持つと示唆されているものもある。グレゴリー・ポールはこの説を支持している。ポールはテリジノサウルス類、アルヴァレスサウルス上科(Alvarezsauroidea)、さらにはマニラプトル形類だがマニラプトル類ではないとも言われているオルニトミモサウルス類についてすら飛翔能力のある祖先を持つという説を提案している[11]。
食性腹部に種子が保存されたジンフェンゴプテリクスの標本
マニラプトル類は伝統的に祖先的には純肉食性(英語版)、つまり鳥類以外の種は主に他の脊椎動物のみを捕食していると仮定されてきた。しかし、2000年代の多数の発見や、古い資料の再評価などからマニラプトル類は主に雑食性の分類群であり、主として植物、昆虫など肉以外の他のものを食べる分類群も含まれていることが分かって来た。加えて、系統関係の研究からは草食や雑食は以前考えられていたような単一の側枝ではなくマニラプトル類全体に広がっていることが分かって来ている。この分布からLindsay Zannoに代表される研究者はマニラプトル類は祖先的には雑食性であり、純粋に草食性の分類群(例えばテリジノサウルス類、原始的なオヴィラプトロサウルス類、およびアヴィアラエの一部)、非鳥恐竜では1つの分類群(ドロマエオサウルス科)のみが純粋な肉食に戻ったという結論に至っている。他の多くの分類群ではこの両極端な食性の間に入り、アルヴァレスサウルス科やアヴィアラエの一部では昆虫食、進歩的なオヴィラプトロサウルス類やトロオドン科では雑食性である[12][13][14]。