球果は成熟後に自然に落果するものの、自然には開かず種子を撒き散らさない。球果は柔らかく、素手でも分解することは容易で種子には翼が無く大きい。種子の発芽には球果の腐敗か動物による散布が必要になるグループで一般に耐陰性は高い。 Pinus亜属とStrobus亜属の中間の形態を示す小グループ。アメリカ西部からメキシコにかけての一帯と、東アジアに分布するが日本には一種も分布しない。葉断面の維管束は一つなのでStrobus亜属と同じく単維管束亜属に含まれることもあるが、葉の数・葉の付け根の鞘の取れにくさ・球果の形や硬さなどはPinus亜属に近く、Strobusとは別グループとして認めることが多い。
P. albicaulis
アメリカ北西部の山岳地帯に分布する五葉松の一種。樹皮は灰白色で細かくうろこ状に割れることから、英名はWhitebark pine(樹皮の白い松)、種小名albicaulisも同じく「白い幹」を表すラテン語である[28]。幹が直立した場合の樹高は20mに達するが、森林限界付近の厳しい条件下では日本のハイマツ同様の匍匐型の樹形になる。本種の分布域ではモンチコラマツ (P. monticola) やP. flexilisなどの高山性strobus属が複数見られるが、樹皮の色、葉の長さと触り心地、球果の特性などで見分けることができる。
シモフリマツ[36] P. cembra
ウクライナからフランス・イタリアにかけて分布する五葉松、球果の大きさや葉内の樹脂道の数を除いてP. sibricaと酷似しており本種とは別種ではなく亜種や変種に当たるのではないかと考える学者もいる。
チョウセンゴヨウ P. koraiensis
シベリア・中国東北部、朝鮮半島にかけてと日本に分布。樹高30mに達する。シベリアではカラマツ属やトウヒ属の樹木とともに森林の主要な構成種であるが、日本では比較的まれな種である。木材採取を目当てに伐採される他、種子は食料として利用される。種小名koraiensisは朝鮮半島周辺を示す「高麗」に由来。シベリアでは違法伐採が後を絶たないことなどから、2010年(平成22年)10月付でロシア産の本種がワシントン条約附属書に記載され取引の監視が強化された。マツ属としては初である。
シベリアマツ P. sibirica
シベリアに分布。
Ducampopinus 亜属
Parrya 節
Nelsonianae 亜節
P. nelsonii
メキシコ原産。樹高10 m程度の小型のマツ。針葉は3葉であるが基部では、癒着しておりまるで1葉のように見える。球果はカプセル型の独特の形で、長い柄を持つ。他のマツに比べると受粉後極めて速く受精に至り、球果は受粉同年に成長を開始し翌年に熟す。種子は食用。
長い柄が目立つ球果をつけるPinus nelsonii
Krempfianae 亜節
P. krempfii
ベトナム原産。マツ属の中で唯一、扁平の葉を持つ。
Pinus krempfiiイラスト
Gerardianae 亜節
シロマツ P. bungeana
中国原産。漢字表記は白松で、音読みからハクショウと呼ばれることも多い。針葉は3葉。樹皮は滑らかでマツとは思えない装いである。成木の樹皮は名の通り、白色になる。種小名bungeanaは中国やシベリアの植物を調べたAlexander Bungeに由来。
P. gerardiana
ヒマラヤ地域に分布。種子は食用でインド北部では「neje」や「chilgoza」と呼ばれる。
P. squamata