マツ
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球果は受粉2年後の秋遅くに熟す[27]。マツ材線虫病に弱く枯死が問題化している。種小名は沖縄の古い呼び名「琉球」に由来。沖縄ではマチ、マーチなどと呼ばれる。


バビショウ P. massoniana

秦嶺山脈以南の中国各地からベトナム、台湾にかけて分布。樹高40mに達する大型種で針葉は2葉。漢字では馬尾松と書き、その名の通り生枝の先が馬の尾を思わせる形。中国のマツ類の中では大型になるため治山だけではなく木材採取などの経済目的での植林も盛ん。


モンタナマツ P. mugo

ムゴマツと呼ばれることもある。日本でいうハイマツに相当する地位を占める種でヨーロッパの高山に分布。


ヨーロッパクロマツ P. nigra

 地中海沿岸諸国のうちトルコバルカン半島スペインなどに分布。いくつかの亜種・変種に分けることが多い。樹高は20mから最大50mに達する中大型種。種小名nigraは黒色を意味する[28]


レジノーサマツ P. resinosa

アメリカ合衆国東部・カナダ原産。針葉は2葉でアメリカ大陸のマツとしては非常に珍しく、他にP. tropicalisが知られるのみ。英名はRed Pine(赤いマツ)でその名の通り、樹皮の赤みが強い。種小名resinosaは樹脂のあるの意味[28]


ヨーロッパアカマツ P. sylvestris

オウシュウアカマツ(欧州赤松)とも呼ばれる。学名のsylvestrisは森林に分布を意味する。ヨーロッパからシベリアにかけての広い範囲に分布し地方名も多い。


アブラマツ P. tabuliformis

中国原産で中国語では「油松」と呼ぶことから、和名でもこの名前で呼ぶことがある。他にマンシュウクロマツ、マンシュウアカマツなどの表記もあるがはっきりとしない。乾燥地での緑化等に使われる。種小名は「テーブルの様な形の」の意味[28]


ニイタカアカマツ[25] P. taiwanensis

台湾の標高700 -3000mの山岳地帯に分布。樹高30mに達し現地では重要な林業用樹種である。日本が台湾統治中は在来クロマツの3倍という松脂の採取量が多いことで注目されていた[29]。アジア産種でありながらマツ材線虫病に極めて強いという。


クロマツ P. thunbergii

日本原産。樹高30m程度の中型種。樹皮はアカマツよりも赤みの無い茶色。針葉は2葉でアカマツよりも太く長く硬い。沿岸部の防風・防砂のために江戸時代から植栽された記録が残る。アカマツに比べて耐塩生は高いという報告が多い[30]。このため海岸のマツというイメージがあるが、三陸海岸のようにアカマツの方が優勢な地域や北海道の海岸のようにマツ類ではなく、広葉樹のカシワ (Quercus dentata) を用いる地域もある。マツ材線虫病(松喰い虫)には非常に弱く[24]、アカマツ以上に弱いという報告が多い。


P. tropicalis

カリブ海に浮かぶキューバ島に分布。アメリカ大陸ではpinus亜節は珍しく、本種のほかにはレジノーサマツP. resinosaが知られるのみ。分布域は広葉樹が優勢な熱帯ではあるが、酸性貧栄養の土壌では本種が優占種となり独自の生態系を形成するという。


P. yunnanensis

中国西部に分布、種小名は中国の地名である雲南に由来。樹高30mに達するという、針葉は三葉。中国名は雲南松や長毛松。

中国の黄山に生えるPinus hwangshanensis

水辺の岩場に生えるアカマツ(Pinus densiflora)

フィリピンのカシヤマツ Pinus kesiya

海沿いに生えるクロマツ(Pinus thubergii)

ウクライナのモンタナマツ Pinus mugo

Pinea節

いずれも地中海沿岸に分布。
Pinaster亜節

球果の鱗片に棘を持たないグループ。


P. brutia

地中海東部地域、特にトルコ西部を中心に分布する。イラン、ジョージアにも隔離分布しこれらは亜種とされる、


P. canariensis

北アフリカの
モロッコ沖に浮かぶカナリア諸島に分布し、種小名もここから来ている。現地は降水量が年間300mm以下と非常に乾燥しており、霧から水分を補給するという。樹高は40m以上、直径1mに達する大型種で針葉は3葉。成木は萌芽力に富み、火災で幹や葉が焼損しても幹から芽を出して再生する。成長が遅く樹脂に富むために木材は重く、比重が1を超えることもしばしばあるという[12]


アレッポマツ P. halepensis

地中海地域原産。球果は緑色から赤く染まり、最終的に赤茶色になる。


P. latteri

インドシナ半島の標高400-1000m程度の丘陵地帯に分布。樹高は最大40m、直径1.5mを超える大型種で、針葉は二葉。


メルクシマツ P. merkusii

インドシナ半島、およびフィリピンインドネシアに分布。分布域は赤道を僅かに越え、南半球に天然分布する唯一のマツとされる。樹高は40m以上になることもあり、大きい部類に入る。


フランスカイガンショウ P. pinaster

地中海西部地域、特にフランスからイタリアにかけての一帯と、対岸のアルジェリアからモロッコを原産とする。フランス語名Pin maritimeは海岸のマツの意味で和名もここから来てるが、海岸だけでなく分布南限では標高2000 mの山岳地にも生える。樹皮は赤く、針葉は2葉で非常に太く長さも20cm以上になる。原産地では有用な林業用樹種で製材用として広い範囲で植栽されている。また、樹皮に含まれるポリフェノールの一種は健康食品の原料として利用される。南アフリカオーストラリアにも移入され、移入先で生態系の破壊を起こしており、世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されている一方で、原産地ではアメリカからの侵入病害であるマツ材線虫病(松くい虫)による枯死が問題となっている。


イタリアカサマツ P. pinea

カサマツとも呼ばれ、傘を広げたような石を掲げたような独特の樹形になる。球果は受粉の翌年から成長を始めるものの、その年には熟さずに受粉から3年目に熟す。大きな種子は翼を持たず、食用でイタリアではパスタのソースなどに使う。種小名pineaはマツの意味。独立のpinea亜節とすることもある。


ヒマラヤマツ[25] P. roxburghii

中国南西部からネパール・インド北部、パキスタンにかけてのヒマラヤ山脈の山岳地帯に分布。樹高50m、直径2mになる大型種で赤みの強い樹皮は派手に割れる。針葉は三葉で40cm近くにもなり、アメリカのP. palustrisに匹敵する長さを持つ。種小名はインドの植物を研究したウィリアム・ロクスバラ (William Roxburgh) に由来。

砂地で生育するイタリアカサマツPinus pinea

イタリアカサマツの球果

霧に包まれるPinus canariensis

ヒマラヤマツPinus rocburghii

Trifoliae節

いずれもアメリカ大陸に分布Trifoliaeは3つの葉を意味し、その名の通り3葉のマツが多いものの例外もある。
Leiophyllae亜節

いずれもメキシコを中心に分布。次のAustrales亜節に含めることもある。


P. leiophylla

 メキシコ西部の山岳地帯に沿って南北に分布。樹高30m程度の中型種で、樹皮は灰白色。北方系と南方系で葉の形態が異なり、北方系は葉が太く三葉、南方系は葉が細く五葉だという。厚い樹皮と旺盛な萌芽力を持ち、火災で幹葉を焼損しても再生するという。


P. lumholtzii

葉は垂れ下がる。種小名はノルウェーの探検家Carl Sofus Lumholtz(1851-1922)に因む。

幹から萌芽したPinus leiophylla

Pinus lumholtziiの葉

Australes亜節

亜節名Australesは「南方の」の意味、含まれる種はその名の通りアメリカ南東部(大半がアパラチア山脈以南)からカリブ海の島々にかけて分布。このグループは各種ともに比較的分布域が重なること、交雑可能である組み合わせが多いことなどからOocarpae、Ponderosaeの各グループと共に比較的最近分化したグループと見られている[31]。晩生球果の性質を持つものが一部にある。


P. caribaea

カリブ海沿岸諸国原産。東南アジア等でも移植栽培されている。東南アジアの栽培地では、横枝が出ないまま主軸ばかりが数年間にわたって伸び続ける現象が報告されており、まるでキツネの尾のように見えることからFoxtailingなどと呼ばれている[5]


P. cubensis

キューバ島東部の山岳地帯に分布。


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