マッドマックス2
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

監督のジョージ・ミラーは本作を作るにあたり、世界各地の英雄神話を研究した書物であるジョゼフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』を参考にしている[3]
あらすじ

北部民族長老は、記憶が覚束ない老境に入っても尚、幼い頃に出会った「マックス」という名の一人の男についての記憶が強く残っていた。そんな彼の回想から物語は始まる。

前作の直後に二大国間で勃発した世界大戦により文明は崩壊、戦争の影響で多くが枯渇した石油を巡り、凶悪な暴走族が略奪を繰り広げる荒廃とした砂漠の世界へと変貌した。元警官のマックスは、前作で家族を失ったショックから生きる希望と目的を失い、相棒である犬(オーストラリアン・キャトル・ドッグ)と共に、改造を施した愛車V8インターセプターを走らせ、荒野を彷徨い続ける日々を送っていた。

ある日、マックスはインターセプターの燃料を狙って追い回していたウェズ率いる暴走族のグループを追い払った後、道中で1機のオートジャイロを見つける。そこでパイロットのジャイロ・キャプテンの襲撃を受けるも返り討ちにし、命乞いする彼から近くに石油精製所があることを教えられる。マックスはジャイロ・キャプテンの道案内で周辺区域を縄張りとするヒューマンガス率いる暴走族の襲撃に日々脅かされている石油精製所へと辿り着き、その暴走族の中に自身を追い回していたウェズの姿も見つける。

石油精製所に近づく方法を模索するため張り込みを始めて数日、石油精製所から数台のバギーが出発し、暴走族に捕まる光景を目撃。鎖で拘束したジャイロ・キャプテンを置き去りにしたマックスは、ウェズの手により重傷を負った精製所の男を精製所に搬送し、所内に入る事に成功するも、直後に男は息を引き取ってしまった為、精製所リーダーのパッパガーロとの物資取引は頓挫、愛車も差し押さえられてしまう。直後、ヒューマンガスら暴走族が精製所から出た住民を車両に磔にしながら接近すると「精製所を手放して立ち退けば命は保証する」という妥協案を突き付けて立ち去っていく。

ヒューマンガスの要求に精製所の住民らが徹底抗戦か脱出かで意見が割れる最中、マックスはパッパガーロの計画に協力すると申し出、路上に放置されていたトレーラーの調達を請け負い、取引は成立。道中、ヒューマンガス達の妨害を受けるも、精製所に住む野生児のフェラル・キッドや放置していたジャイロ・キャプテンの協力を得てこれを遂行、住民たちが所望していたトレーラーを精製所に運び込み、信頼を得ることに成功する。

その夜、ヒューマンガスが報復として捕虜の処刑を行う中、住民から脱出遂行への共闘と旅の仲間になるよう持ちかけられたが、マックスはこれを拒否し、夜明けと共に精製所を後にする。直後、精製所から出発したのを知ったウェズの追撃を受けてインターセプターは大破・爆発してしまい、マックスは負傷、犬も撃ち殺されてしまう。瀕死の所をジャイロ・キャプテンに救出され、再び精製所へと戻り手当を受けることとなる。

蘇生したマックスは一度は断った作戦だが、取引と関係無く、住民が目指す「太陽の楽園」へと向かう脱出行の手助けを決意、作戦の要となるトレーラーの運転を任されパッパガーロ、ジャイロ・キャプテンら護衛のメンバーと共に精製所を出発。それと同時に暴走族を引きつけておいて、精製所を侵入した彼らもろとも爆破した。

トレーラーが牽引する燃料タンクに一斉に群がるヒューマンガスの部下を迎撃していくも、パッパガーロら護衛のメンバーは次々と討たれ、空から援護していたジャイロ・キャプテンも撃ち落され、復讐に燃えるウェズをトレーラーから落とすも、マックスも深手を負い窮地に陥ってしまう。死と暴走の果てにマックスの運転するトレーラーは、フロントバンパーにしがみつきながら生きていた血まみれのウェズもろともヒューマンガスの車両と正面衝突、横転してしまう。生き残った暴走族のメンバーは、ヒューマンガスとウェズの死を察して、失意の中立ち去っていく。辛うじて助かったマックスは運転席から這い出すが、横転により破損したタンクから流れ出ていたものが燃料ではなく砂であり、囮に利用されていたと気づく。マックスがヒューマンガスとウェズらを引き付けている間に、燃料はドラム缶に小分けにされ、別ルートで脱出した住民が乗るバスで運び出すことに成功していた。作戦の全貌を知った直後、墜落から九死に一生を得たジャイロ・キャプテンと再会しマックスは、長く失っていた安堵の笑みを浮かべるのだった。

その日、陽が没した路上に佇む傷だらけのマックスを、新たにリーダーとなったジャイロ・キャプテンが運転するバスの後部から、フェラル・キッドは見送った。のちに北部部族の長老となった彼が見たマックスの最後の姿であった。
登場人物・キャスト
放浪者
マックス(マクシミリアン)・ロカタンスキー / Max "Maxmillian" Rockatansky

演 - メル・ギブソン前作からの主人公。M.F.P.所属だった元警察官。前作で守るべき命である家族を目の前で失った[注 1]ショックから心を閉ざしており、同じく前作で持ち出した愛車、V8インターセプターで行く宛の無い旅を続けていた。寡黙で意固地且つ利己的な性格だが、最終的には世の理不尽に抗うパッパガーロ達に無償で手を差し伸べる等、他人への優しさを完全には失っていない。前作からの愛用品であるストーガー水平二連式ソードオフ・ショットガンで武装し[注 2]、全身を黒いレザースーツで固める[注 3]。前作での負傷によりやや不自由となった左足に金属製補助器具を装着している。
ジャイロ・キャプテン / Gyro Captain
演 - ブルース・スペンス小型オートジャイロを囮に強盗を働いていた男。自身のオートジャイロに近付いたマックスを先手で襲撃するも返り討ちに遭い許しを請い、殺害を免れる事を条件に油井施設がある場所までの案内役を申し出る。飛行帽と日除け付き飛行眼鏡、襤褸のコートに紫のマフラーを巻き、黄色の肌着にシューズといった風体。食材兼ジャイロ番の毒蛇で武装。下卑た話を一人で延々と喋り、油井施設から取引を委託されたマックスを勝手に「パートナー」と呼び、成り行き上、暴走族との戦いにジャイロに乗って火炎瓶を武器に空から加勢する事となる。ヒューマンガス一味との戦いの最中に落命したパッパガーロの後任としてグループリーダーに就き「太陽の楽園」を目指した。
石油精製所
フェラル・キッド / Feral Kid
演 - エミル・ミンティ鋭く砥がれた鋼鉄製の
ブーメランを自在に操る野生児[注 4]。親は分からず言葉も話せないが、刃の付いたブーメランを素手で扱ってはいけないことや他人の会話は理解しているなど知能や知識は十分にある。「誕生日の歌」の音色を奏でるオルゴールをマックスから貰って以降、彼に懐くと共に強い憧れを抱く。犬の鳴き真似が得意。脱出作戦の際も周りの大人が危険と判断してマックスからキッドを引き離そうとするも頑なにこれを拒み、マックスの運転するトレーラーに同乗する。マックスと別れた後、成長してジャイロ・キャプテンの跡を引き継ぎ、北部民族のリーダーになった。実はこの物語の語り手であり、劇中序盤と終盤のモノローグは年老いたキッドが語っているもので、本作がキッドの回想録でもある。老境に入り、記憶力が衰えていてもおかしくないが、マックスとの思い出は鮮明に思い出せるとのこと。なお、「フェラル・キッド(Feral Kid)」というのは英語で「野生児」という意味。
パッパガーロ / Pappagallo
演 - マイケル・プレストン石油精製所のリーダー。強い意志を持つ理想家であり、策略家でもある。暴走族に屈しそうになるメンバーに、人間としての誇りを守ることの大切さを説き、徹底抗戦を主張する。終盤の脱出作戦ではヒューマンガス一味から奪い取った「ザ・ローン・ウルフ」に乗ってマックスの乗るトレーラーの護衛にあたるも、作戦が成功したのち、フェラル・キッドを自身の車に乗り移るよう促している所をヒューマンガスの投げた槍が命中、背中から貫かれて戦死してしまう。
女戦士 / Warrior Woman
演 - バージニア・ヘイクロスボウを携え石油精製所を守る女性戦士。当初は無法者然としたマックスに辛く当たるが、約束を守ってトレーラーを持ってきた事から考えを改め、終盤ではマックスと共にトレーラーへ乗り込む。しかし、ウェズが撃ち込んできた4連ボウガンで致命傷を受けて戦死、トレーラーのタンクに括りつけられた有刺鉄線に引っかかった亡骸はヒューマンガスの部下によって路上に投げ落とされてしまう。
ゼッタ / Zetta
演 - ウィリアム・ゼッパ石油精製所を守る戦士。サブリーダー的存在。終盤ではトレーラーへ護衛として乗り込み、火炎瓶とボウガンでヒューマンガス一味に応戦する。しかし、仲間達の中で真っ先に死亡する。
ジャイロの彼女 / The Captain's Girl
演 - アーキー・J・ホワイトリー石油精製所の若いティーンエイジャーの娘、施設内看護班、単にLusty Girl[注 5]とも呼ばれている。脱出前の夜、ジャイロ・キャプテンの懇意で秘密裏に二人だけで施設を抜け出ようと誘われたものの、直前に翻意して今まで暮らしてきた仲間を見捨てる事は出来ないとし、行動を共にする。
メカニック / Mechanic
演 - スティーブ・J・スピアーズ石油精製所で車両の整備士をしていた躄(いざり)の男性。精製所内では即席のクレーンカーに吊られた状態でいる。マックスが届けてきたトレーラーを整備、補強を行い自身もトレーラーの護衛として乗り込み、火炎瓶でヒューマンガス一味に応戦する。しかし、ベアクロウ・モホークの放ったボウガンで自爆し火が燃え移ってしまう。これを必死に消火して戦死した女戦士を助け上げようとするも、ヒューマンガスの部下に女戦士の死体もろとも路上に投げ落とされて死亡する。
カーマジャン / Curmudgeon
演 - シド・ヘイレン石油精製所で暮らしていた老人で、茶色の軍服とアーミーヘルメットを被り、常に日本刀[注 6]を持っている。ヒューマンガスが和平を申し出た際、ヒューマンガスとの話し合いを提案する。楽観的な性格で、精製所から脱出して「太陽の楽園」を目指す旅に出ることに魅了されていた。
ビッグ・レベッカ / Big Rebecca
演 - モイラ・クロー石油精製所を守っていた高齢の女性。ヒューマンガス達に対して弓矢で対抗していた。徹底抗戦を主張するパッパガーロに対し、夢のために死ねないとし、精製所を明け渡そうという姿勢を取っていた。マックスが石油精製所にトレーラーを運び込んだ時、幸運の贈り物としてショットガンの弾薬をプレゼントしていた。
ネイサン / Nathan
演 - デビッド・タウナーマックスが最初に出会った石油精製所の人物。石油精製所からバギーカーで去った時、待ち伏せしていたヒューマンガスの仲間に襲撃され、殺された。
クワイエット・マン / Quiet Man
演 - デイビット・スリングスビー石油精製所の住民。ウェズが精製所に侵入した際、頭突きを食らわされ、頭部がへこみ死亡。
メカニックのアシスタント / Mechanic's Assistant
演 - クリストファー・グリーブス石油精製所で車両の整備士をしている、メカニックのアシスタント。
壊れた生贄 / Broken Victim
演 - マックス・フェアチャイルド石油精製所の住民。トレーラーを探しに向かった所を捕えられ、ヒューマンガス・トラックの晒し台に括りつけられた。脱出作戦の際にトレーラーの燃料タンクにぶつかり死亡。
反抗的な生贄 / Defiant Victim
演 - タイラー・コッパン石油精製所の住民。トレーラーを探しに向かった所を捕えられ、ヒューマンガス・トラックの晒し台に括りつけられた。脱出作戦の際にトレーラーの燃料タンクにぶつかり死亡。
犠牲者 / Victim
演 - キャスリーン・マッケイ石油精製所の住民。ネイサンと共に石油精製所からバギーカーで去った時、待ち伏せしていたヒューマンガスの仲間に襲撃され、殺された。
暴走族
ヒューマンガス / The Humungus
演 - ケル・ニルソン配下から「Lord(君主)」「ロックンローラーの
アヤトラ(伝道師)[注 7]」と称され、精製所の石油をつけ狙う暴走族の首領。半裸で筋骨隆々、命令を無視して単独行動に出るウェズを絞め落とす腕力を持つ。Cooper HM6 ホッケーマスクで顔面を覆い、劇中で素顔が晒されることはないが、頭部背面は放射能の影響なのか異様な姿で禿げ上がっている。演説に長け、強力なカリスマを発揮し、石油精製所の一部の面々からも「話の通じる相手(a reasonable man)」と認められてはいるが、その実態は極めて暴力的かつ非道な側面を持つ。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:57 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef