マッコウクジラ
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1910年代以降の北西太平洋における乱獲は日本ソビエト連邦が主体になって行い、日本国内では不正捕獲や密猟が横行していた可能性が指摘されている[16]

性格はクジラの中でも獰猛とされ、近代でも捕鯨のキャッチャーボートが破損させられた例が数度記録されている。1937年(昭和12年)2月17日には、共同漁業の第三捕鯨丸(102トン)がマッコウクジラから尾を叩きつけられる攻撃に遭い浸水。沈没寸前に追いやられた例もある[38]

マッコウクジラは肉にも蝋を含むため、食用の際に油抜きをする。日本では主に大和煮に用いられたり、大阪では油抜きをした皮(コロ)をおでん(関東煮)で食すのが一般的である[39]。和歌山県田辺市鮎川やインドネシア小スンダ列島ロンブレン(レンバタ)島では干物にする[40]。「鯨肉#鯨種と食味」も参照

油抜きをしないで大量に食べると下痢をする恐れがあり、アメリカ人捕鯨船員の鯨肉には毒があるという迷信もあり、肉は捨てられたというのは、この様に食用に不向きであった点もある。また、このマッコウクジラを最高の目標としたアメリカ式捕鯨の時代において、冷蔵技術もない当時、3年以上が標準であった捕鯨航海の間、肉を商品価値のある状態で保管するのは不可能であった。

あくまで小説中の話ではあるものの、捕鯨船員のキャリアを持つハーマン・メルヴィルが書いた『白鯨』の中では、欧米においても鯨食は強くタブーとしていなかったため、同時代人から見ても「船員の食肉とすらしない」というのは疑問であったようである。これに対して「眼の前の数十トンの肉塊を見て食欲を催すことはない」「捕鯨船では商品にならない絞り粕を油として使うが、鯨の肉を鯨自身の油で焼くのはさすがに縁起が悪い」と言った主旨のことが述べられている。一方無価値と見られた故に食べたいという船員に対して止めることもなかったようであり、マッコウの尾のステーキなども紹介されている。

なお、前述の鮎川においても余剰鯨肉が捨てられており、後に鯨肥に活用するようになった(クジラ#鯨の利用のその他、残滓の利用も参照)。

食料として見た場合、マッコウクジラの体内に含まれる微量の水銀に注意する必要がある。厚生労働省は、マッコウクジラを妊婦が摂食量を注意すべき魚介類の一つとして挙げており、2005年11月2日の発表では、1回に食べる量を約80グラムとした場合、マッコウクジラの摂食は週に1回まで(1週間当たり80グラム程度)を目安としている[41]
映像

NHK BS3 「ワイルドライフ 命の輝き「大西洋アゾレス諸島 クジラが集う海の楽園」」 (2019年9月放映)

文化的側面白鯨2023年に漂着した「淀ちゃん
フィクション
白鯨 モビー=ディック
マッコウクジラを題材とした創作物として最も著名なものは
ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』であり、そこに登場するクジラ「モビー=ディック」であろう。この白鯨としてのマッコウクジラは、二次創作的なかたちをとって多くの娯楽作品(映画漫画アニメゲーム等)に登場している(それについては「白鯨」本項が詳しいので参照のこと)。
白鯨以外のマッコウクジラ
白鯨ではないマッコウクジラは、それほど多くの創作物で大きく[注釈 17]扱われてこなかったようであるが、それでも以下の作品を挙げられよう。一つは生物としての本種と人間の関わりを描き、一つは発想の原点として本種の存在感を活かそうとしている。

アニメ『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』 - マッコウクジラ型の敵戦艦「ドラコルル」が出演する。なお、原作でも「スーちゃん」という愛称を付けたマッコウクジラが登場。

小説『海底二万里』 - 別種の鯨を集団で襲うどう猛な生物として登場し、ネモ船長に虐殺される。姿の描写は確かにマッコウクジラだが、行動はシャチに近い。

漫画『ビッグ・1』- 藤子不二雄A作。人間と同等もしくはそれ以上の知性を持つ巨大な白いマッコウクジラが登場する。

漫画『海獣の子供』 - 五十嵐大介 作。マッコウクジラに対する信仰が残る島が登場する。

漫画『ぎゅわんぶらあ自己中心派』 - 片山まさゆき作。麻雀を打つマッコウクジラモチーフキャラクターの「マッコウ」が登場。

漫画『ONE PIECE』 - 尾田栄一郎作。アイランドクジラと呼ばれるマッコウクジラモチーフキャラクターの「ラブーン」が登場。 また同作に登場する白ひげ海賊団が有する海賊船の名称がハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』に登場するマッコウクジラ「モビー=ディック」からとった「モビー・ディック号」である。

ビデオゲームダライアス』シリーズ - 歴代の作品の大半において、本種をモチーフとした敵方の最強キャラクター、「グレートシング」が登場する。

ビデオゲームロックマンX5』 - ステージボスキャラクターとして、本種をモチーフとした「タイダル・マッコイーン」が登場する。

ゾイドシリーズ - マッコウクジラ型超巨大ゾイドホエールキングが登場。ゾイドバトルストーリーや、アニメなど、様々な媒体で出演。

愛称

帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現・東京地下鉄)が日比谷線向けに製造した3000系電車は、その姿形が似ていることから「マッコウクジラ」と鉄道ファンの間で俗称されていた。これは正式な列車愛称ではないが、3055編成の先頭車両にマッコウクジラの大きなステッカーでラッピングを施し、さよなら運転が行われた。


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