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大阪市の高級料亭では、大阪府貝塚市木積(こつみ)地区産も珍重されている[28]。 高級品としては、合馬たけのこ福岡県北九州市)も有名である[29]。また石川県金沢市産たけのこは、加賀野菜の一つに選定されている[30]

いずれも生鮮野菜であるタケノコの栽培技術は都市近郊で発達し、都市部から離れた地域では物流手段の未発達もあり、竹林利用は竹材が優先されてタケノコとしての利用は従となっていたところも多い[9]。第二次世界大戦後は、食生活の変化により缶詰としての需要が盛んになる一方で、交通網の整備もあってタケノコを青果として出荷する努力もされて、栽培技術も集約化されてきている[9]

日本で水煮として缶詰レトルトパックで流通しているタケノコは、その多くが中華人民共和国からの輸入品となっており、早春から日本産と市場を競合している[9]。中国では秋にも出荷される。冬を控えて行われる竹園の整備で伐採された地下茎から、タケノコが収穫されている。小さく堅いことから、加工食品用にされる。
栽培

栽培の適地は、タケノコは過湿に非常に弱いため緩傾斜地で水はけが良いところが有利で、土壌面は礫質が少ない粘質土で乾燥しすぎず腐植の少ない土壌が適している[31]。通常は、当年生の若い竹を母竹として移植する無性的な繁殖が行われており、種子繁殖は行われていない[31]。新規開園する場合には、10アール (a) あたり30 - 50株の母竹を、長さ40 - 60 cmの地下茎をつけて植えられている[31]。植栽適期は10月ごろで、その地方の初霜のころまでに植え付けるのがよいとされる[31]。順調にいけば翌年春からタケノコが出現し、6月以降から芽子が伸長し始め、地下茎として機能するようになる[32]。出盛り期(4月下旬ごろ)までに母竹として残しておくタケノコを決めておくことが大切で、タケノコを生む地下茎は3 - 5年生であるため、母竹も若い地下茎から出たものを残す必要がある[33]

タケノコの収量と品質を左右する要因は、充実した太い地下茎をよく伸長させ、芽子の多くがタケノコに伸長肥大するように肥料管理に努めることにある[11]。施肥時期は、夏肥(7 - 8月)・礼肥(5月下旬 - 6月上旬)・冬肥(晩秋 - 初冬)の3つがそれぞれ大切で、京都地方でもこの3つの時期に施肥が行われている事例が多く、特に夏肥に重点を置いて施肥が行われているところが多い[34]。芽子が伸長肥大し始める夏に肥料が不足すると、翌春に出るタケノコの本数が少なくなり、1本あたりの重さも少なく肥大不充分で品質的に劣るものが多くなる[11]。礼肥は、タケノコを掘り採ったあとに行うもので、タケノコを産出し消耗した母竹の栄養を回復させて新葉の光合成活動を促す時期であり、年間施肥量の50%程度を施している事例も多い[34]。冬肥は、早春の地温上昇に伴ってタケノコが伸長肥大する時期に備えて行うもので、京都地方では11月から1月にかけて行われる敷きわら、客土作業の前に冬肥を施して、タケノコが出る早春の肥料必要期に備えている[34]

タケノコと降雨との密接な関係は古くから知られており、京都府農業試験場[注 1]の調査によれば、夏期と12月の降雨量が少ないと翌年春のタケノコの発生が非常に悪くなり、雨量のわずかな差も収量に影響を及ぼすことがわかっている[35]。徳島県農業試験場[注 2]による調査では、春先(2 - 4月)の土壌水分量の多少がタケノコの発生時期、品質に大きな影響を与えることから、この時期に灌水をすることでタケノコの早出しが可能になることを明らかにしている[35]
料理

掘りたての鮮度が良いものは灰汁が少なく、皮付きのまま焼きタケノコにしておいしく食べられる[2][18]。通常は茹でてから食べられる[18]。部位によって繊維の状態が異なるので料理によって使い分けられ、先端のやわらかい姫皮部分は和え物・椀種・酢の物に、穂先は竹の子ご飯や椀種・煮物・和え物に、中心部分は煮物・焼き物に、根元の歯ごたえがある部分は竹の子ご飯・煮物・炒め物揚げ物に向いている[2][18]
日本料理若竹煮
生食、焼き物
旬になると、掘ったその日のうちに調理または販売・出荷されるタケノコが直売所や食料品・飲食店などに出回り、「朝堀筍」[36]と称されることも多い。掘りたてを皮付きのまま炭火焼きにした焼き物のほか、特に新鮮なものであれば生や、軽く湯がいた刺身として味わえる[37]。これを目当てに、タケノコ掘りに出かける人も多い。
煮物
鰹節出汁を煮含めるものが多い。そのまま煮詰める土佐煮や、ワカメと合わせた若竹煮が代表的な調理法で、中程より上の柔らかい部分が適する。
汁物
北信地域と新潟県上越地域での調理法で、チシマザサのタケノコをサバの水煮の缶詰と一緒に味噌汁とする[38]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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