マスメディア
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こうした新聞は初期には何か大事件があった際にのみ発行される、いわゆる瓦版のようなものであったが、17世紀初頭には週刊化する新聞が出現し始めた[6]

こうして新聞が一般化した18世紀に入ると、アメリカ独立戦争フランス革命などの市民革命が起きるようになるが、この過程で新聞は世論の形成に大きな役割を果たし、樹立された新政府においては自由権の一部として法的に言論の自由が認められるようになった[7]。この言論の自由はのちにマスメディアの拠って立つ根幹となった。

欧米では、19世紀の産業革命による都市人口の増加や社会変化に伴い、新聞の大衆化が進んだ[8]。同時期、印刷技術が長足の進歩を遂げたことで書籍の大量生産も可能になり、出版業もまた大衆化が進んでいった[9]

1876年電話が発明されると、これを利用して不特定多数の利用者に情報や娯楽を提供するアイデアが生まれ、1879年にはすでに電話線を利用した放送が試みられていた[10]1893年にはオーストリア・ハンガリーブダペストにおいて有線放送局が成立したものの、これはほとんど追随者を生まなかった[11]。一方、1895年には、マルコーニが電波による無線通信の実験に成功し、1920年に世界最初の商業ラジオ局であるKDKAがアメリカ合衆国・ペンシルベニア州で開局した[12]1922年にはアメリカでラジオブームが起き、以後ラジオは急速に普及した[13]

ラジオは音声だけの放送であるため、これに加えて画像の送信をも可能とするテレビの開発が1920年代には世界各国で開始され、やがて1930年代には試験放送がはじまった。1950年代に入るとテレビはアメリカで急速に普及し[14]、欧州諸国や日本などもすぐにこれに続いた。テレビはメディアの中でもっとも巨大なものとなり、20世紀後半の社会の在り方を大きく変えた[15]。一方ラジオは1950年代中盤のトランジスタラジオの開発によって小型化が進み、電池の改良と相まってどこにでも携帯することが可能になった[16]ことで一定の地位を確保した。新聞・雑誌は放送メディアにくらべて速報性に劣り[17]、広告の出稿などで徐々にテレビ優勢の状況が作られていった[18]ものの、テレビに次ぐ重要なマスメディアとしての地位を確保していた。

こうした状況は、1990年代後半あたりからのインターネット利用の普及で大幅に変化した。世界的なインターネット利用の急増に伴って、旧来のマスメディア各媒体の相対的位置付けの低下が徐々に進行している。日本を例にとれば、1995年から2010年にかけてインターネットの利用が激増する[19]一方で、テレビ視聴時間は微減[20]、新聞[21]・ラジオ[22]・雑誌[23]は減少傾向にある。アメリカやヨーロッパにおいては特に従来の紙による新聞の販売が漸減しており、2009年ごろから新聞社の規模縮小や廃刊が続いている[24]
機能

マスメディアの機能に関しては、多くの学者が分類を行っている。

ハロルド・ラスウェルはマスメディアの機能を、社会環境の現状や変化に対し情報を伝え警告を発する「環境の監視」、社会環境に関して構成員間の意見を整理し世論を形成させる「構成員の相互作用」、そして価値観や社会的規範、知識などを次の世代へと繋いでいく「社会的遺産の世代的伝達」の3つに分類した[25][26]

ウィルバー・シュラムは同様に、マスメディアの機能を「見張りの機能」、「討論の機能」、「教師の機能」の3つとした[27]

ロバート・キング・マートンポール・フェリックス・ラザースフェルドは、マスメディアの機能を、人物や事象を社会的に認知させる「地位付与の機能」、道徳や法を人々に認知させ従わせる「社会規範の強制機能」、そして大量の情報によって人々の感覚を麻痺させ社会への関心をなくさせる「麻酔的悪作用」の3つであるとした[28][29]
意義

マスメディアには様々な社会的意義が存在する。
政治面

特に政治において、マスメディアは大きな役割を持っている。政治におけるマスメディアの役割としては、自らの意思によって政治的な事実を報道・解説することによって、一般市民に政治的判断の基準を提供することがあげられる[30][31]。この機能によって、18世紀末ごろには世論が明確に形成されるようになり[32]、19世紀のヨーロッパにおける新聞をはじめとするマスメディアの発達は、ナショナリズムの成長や大衆の国民化へとつながり、国民の政治意識の向上と民主主義の発達をもたらした[33]。こうした政治的機能の巨大さから、マスメディアは立法司法行政と並ぶ「第四の権力」と評されることも多い[30]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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