マスターベーション
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

通常は特に悪影響はなく至って普通の行為である、とするのが医学的コンセンサスである[25][26][27][28][29][30][31][32]。ただし、やり方によっては身体に悪影響を与えることもありうると指摘する向きもある(後述)。
身体的影響

男性では、陰茎を握る握力が強すぎたり、陰茎を床にこすりつけながら行うオナニー(俗に床オナと呼ばれる)など、刺激の強いオナニーを継続することで、女性の膣内での射精が行えなくなる、膣内射精障害がおこり得る。これは男性不妊症性機能障害の一種でもある[33][34]。詳しくは当該項目を参照。
オナニーの有用性についてオナニーする女性 グスタフ・クリムト画(1913年

自らの指を汚しながら人間が人間であることを確認する行為である。上記のように、オナニーに関する道徳的議論の影響の中で、オナニーが体に害を及ぼすという公正世界の幻想は、オナニーが体に良いという発見を一般に浸透させることを妨げてきたが、下記のように学問の世界では常識である[35][36][37][38]。多くのメンタルヘルスサークルでは、オナニーをすることによってうつ病の症状が緩和され、自尊心が高まるとされている[35]

国際的な集団マスターベーションイベント「マスターベータソン」のホストであるキャロル・クイーン(英語版)は、「なぜマスターベーションをするのか?」という問いに対し、人にとって究極の恋人は自分自身であるとし、マスターベーションは自己愛の喜びに満ちた表現であり、究極のセーフセックスであるという。また、マスターベーションは性に関する意識を高め、心臓の血管や骨盤の筋肉を鍛える効果があり、ストレスの軽減、前立腺感染症や膣カンジタなどの予防に繋がるなど、健康上の利益があると主張している[36]

現代的な考えではオナニーを性交の練習として捉える傾向もある。自身の性的快楽の習得方法を学ぶ方法として有用であり、同時にパートナーの性的快楽を理解し把握する訓練に利用できるとするものである[39][40]

セックスもマスターベーションも血圧を下げる効用がある。ある調査によれば、最近マスターベーションをした人は、何ら性行動を行っていない人に比べて血圧が低かったという[37]

男女の性的快楽は陰茎・陰核の亀頭部が主体となるが、一箇所の刺激のみでは飽きに陥りやすい。このためオーガズムに到達する時間が長引くか、あるいは意欲が喪失することがある。そこで新たな刺激を求め、身体の亀頭部以外の場所(性感帯)を刺激したり、エロティックな視聴覚対象などで興奮を高めたりする。これは性交においても同じであり、飽き回避の方法を習得しパートナーとの性的快楽をよりよい方向へ導く学習としても有用である。

2016年にハーバード大学公衆衛生教室から発表された、アメリカ人の男性を約20年間追跡調査した研究によると20代の時に月21回以上射精していた人の前立腺癌のリスクは、4?7回の人よりも2割少なかった[38]
オナニー行動

オナニーは、老若男女を問わず見られる行為だが、特に性的欲求の高い思春期 - 結婚前の若者に、よく見られる。

また、思春期前であってもオナニーは多く行われ、女児では、生まれつき陰核に快感が得られ[41]、手で性器を刺激するほか、机の角に性器をこすりつけたり布団をはさんだりする。男児では、手で刺激するほか、床にこすりつけたりし、行為次第では男児女児ともオーガズムを得られる。このオーガズムは成人と変わりないが、男児では精子が生産されないために、女児のように性器の律動運動のみが観察される。オーガズムを得る年齢はキンゼイらの報告によれば1歳未満でも習得可能であることが示されており、別の研究者によれば女の胎児が胎内でオーガズムに似た行動を観察したという報告もある。

幼児オナニーについての議論には、それと対比して、思春期以降のオナニーを、他者との性的接触、異性との性器の結合を想像しながら行う、性交代替行為と捉える向きがあり、幼児期のオナニーにはそのような性的な意味合いがなく、単に気持ちがいいから触っている、もしくは陰部を擦り付けているのだとし、そのような幼児期のうちからオナニーをしているからといって将来を心配するようなものではない[42]とする意見がある。

しかし、精通を迎えたばかりの思春期初期の男児は性交代替行為としてオナニーをしているのか、ただ単に気持ちがいいからしているのか、単に気持ちがいいからしているオナニーは性的なものではないのか、その境界を示す調査データは存在しない。

日本性教育協会第2回性行動調査によると、男性は女性に比べてかなり早い段階でオナニーを経験する傾向がある[43]。マスターベーション世界調査(2018年)では世界18か国中、最も初体験年齢が若いのは日本である(平均14.6歳)[44]。ただし習ったことがあると答えた割合は日本が最下位であった(14%)。

オナニーは病気でもなく害もないが、慎むべきものとする風潮が以前はあった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:116 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef