マジンガーZ
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『マジンガーZ』は、同じ永井豪原作の東映動画作品である『デビルマン』についての打ち合わせの席上で、新たな提案をきっかけに企画が始まった作品であり、原作者による連載漫画と東映動画によるTVアニメが同時進行に近い形で世に送り出された[9]

永井豪は、渋滞に巻き込まれた自動車を見ていた時に、「自動車から脚が延びて前の車を(またいで)乗り越えていけたらいいのに」と感じたことが“乗り込んで操縦するロボット”の着想の根源になったと方々で語っている[9][10][注釈 5]。永井は、子供の頃夢中になって読んだ『鉄腕アトム』や『鉄人28号』といった「ロボットもの」の、それらとは全く違う設定の作品を描いて見たいという願望があったというが[12]、着想としては「ロボットもの」の分野に新しい設定を持ち込んだというよりは、乗り物の解釈を拡大してロボットに行き着いた……というものになっている。これは、作品が『エネルガーZ』または『アイアンZ』と呼ばれていたまだ初期の頃の構想で、「主人公が乗ったバイクがロボットの頭部に登り、合体し操縦する」という設定であった点からも読み取れる[13][14]。ただし、この設定は当時人気の絶頂期にあった『仮面ライダー』に類似するという、東映テレビ部長の渡邊亮徳の指摘[15]によって却下され、飛行メカのホバーパイルダーによる結合方式に改変された[16]。なお、バイクがコクピットになるという案は、後にダイアナンAのドッキング・操縦方法として流用されている。
後続作品への影響

本作は、ロボットに数々の超兵器を内蔵させること、パートナーとなる女性型ロボット・アフロダイAやダイアナンAの登場、三枚目のお笑い担当ロボット・ボスボロットの登場、飛行用パーツ・ジェットスクランダーの登場、新兵器の追加や弱点の克服といったパワーアップ描写、主役機体の交代(最終回におけるグレートマジンガーの登場)など、後続のロボットアニメ作品で多用されることになる要素を、数多く生み出した。

デザイン面においても後続作品に大きな影響を残し、瞳の無い白眼[注釈 6]をはじめとする本作のロボットのデザインラインが、後続の巨大ロボットの多くに色濃く影響を残している。また、「上腕と腹と大腿部が白」の配色は、マジンガーシリーズとは直接関係の無いコン・バトラーVアーマードトルーパー、実写特撮のダイデンジンにまで踏襲され、それ以降の1970年代の作品における巨大ロボットの基本配色となった。その後も、この配色の影響下にあるロボットデザインは多い。

アニメのエンディングに設計図・透視図(宮武一貴による)が使われたり、雑誌でさまざまな裏設定が公開されるなど、作品の細部を作品外から補完する試みも行われた[18]。こうした手法は後年のSF作品でも多く見られるが、そういった点も本作が先陣を切った。

1996年から1997年にかけて放送されたスーパー戦隊シリーズ第20作『激走戦隊カーレンジャー』では、マジンガーZそっくりの敵ロボット・バリンガーZを登場させようとした[19]が、打ち上げパーティーで大竹宏の挨拶からそのことを知った東映上層部がダイナミックプロに配慮して出した自粛命令により、アフレコまで完了していたものがお蔵入りになるという事態になった[20]
商業面での影響

この作品の大ヒットによって「超合金」や「ジャンボマシンダー」などの関連玩具が爆発的に売れた[21]。雑誌での記事展開なども含めた商業的な面でのシステムを確立したという点でもマジンガーZは画期的であり、日本アニメ及びそのキャラクタービジネスにとって重要なターニングポイントになったとされる[22]

本作放映以前はテレビアニメの制作本数は減少傾向にあり[23]辻真先によると「テレビアニメはそのまま死滅の道を辿ったかもしれない[24]」という時期であった。永井豪によると本作の企画時、巨大ロボットは売れないと判断されたためスポンサーのポピー(現:バンダイ)は乗り気ではなかったが、本作の高視聴率が判明すると商品化に動いた[25]。ジャンボマシンダーは全長約60cmの大きさが子供に受け、50万個のヒットになり、巨大ロボットアニメの商業性を示した。本作以降、玩具メーカーがアニメのスポンサーになることが増え、これまで菓子メーカー主導だったアニメは玩具メーカー主導になり[26]、テレビアニメの制作本数が増加する。辻真先は玩具メーカーがテレビアニメを救ったように述べている[24]

また当時、東映動画は東映の実写キャラクターの版権も取り扱っており、同社の版権収入は実写9、アニメ1の割合だった。それが本作のヒットによりアニメの方が版権収入が上になった。このように本作は実写優位だった当時の市場環境を覆し、アニメの価値を示した作品である[27]

本作の玩具を開発した村上克司は、「マジンガーがなければ、この超合金もなく、その後の私もどうなっていたものか。マジンガーには心から感謝しています」と述べている[28]。また同じく当時のポピー取締役で本作の玩具開発に関わった杉浦幸昌も、今に繋がるバンダイのキャラクタービジネスの土台を作った作品として、(石ノ森章太郎と並んで)永井豪に足を向けて寝られない、と感謝の念を述べている[29]

水木一郎の歌う主題歌レコードも、日本で70万枚を超える大ヒットになった[30](この時間帯のアニメ主題歌では『アタックNo.1』と並ぶ売上枚数[31])。このレコードにはオープニング、エンディング以外に挿入歌「Zのテーマ」も収録されている[32]。この曲はもともと主題歌として製作されたが、渡邊亮徳による「曲調が弱い」との判断で没になったものの、現場スタッフには好評だったためほぼ毎回マジンガー出撃シーンの挿入歌として使用された[33][34]
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出典検索?: "マジンガーZ" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2023年8月)

アニメ主導のタイトルということもあり、『マジンガーZ』の漫画版は紆余曲折を辿ることになる。永井は『ハレンチ学園』の次作品として『週刊少年ジャンプ』に売り込みをかけたが、編集部は連載に難色を示した。『ハレンチ』の後釜として同じようなアダルトギャグ漫画を求めていた編集部の要求と合わなかったのが理由とされる。テレビ局主導での漫画制作に不満を示していたデスクの西村繁男は連載に強硬に反対したが、編集長の長野規が永井のマネージャーの強い説得に折れ、連載を許可することになった。

その後、永井はアニメ番組スポンサーの強い要望で講談社『テレビマガジン』にも連載を開始することになる。『テレマガ』は元々『仮面ライダー』中心の子供向けテレビ雑誌としてスタートしたが、後番組として『仮面ライダーV3』が出た時点で、近い将来のライダーブームの落ち込みを予測しており、『ライダー』に代わる目玉キャラクターを探していた編集部にとって「まさに渡りに船」であった。


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