マジック:ザ・ギャザリング
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バトルがダメージを受けると守備値が減っていき、0になるとバトル固有の能力が誘発するか、能力が誘発しない場合は単に捨て札となる。初登場となる機械兵団の進軍のバトルは「自分のバトルに自分が攻撃する」「戦争に勝利する(=守備値を0にする)と利益を得られる」というデザインになっている。
呪文カードの色マジックの五色の配置

呪文カードは色(属性)ごとに特徴が異なり、どの色を主体にデッキを組むかで戦法に大きな違いが出てくる。また、これに土地カードと呪文カードのバランスの問題が絡んだジレンマが発生するようにゲームはデザインされている。

最も基本的なデッキの形は一つのデッキが一つの色と対応する土地のみで構成されているもの(単色デッキという)。この場合、必要な土地がドロー出来ない、逆に土地ばかりが来るといった不利な展開(総じて「事故」と呼ばれる)はあるものの、土地と呪文カードの色がマッチしない「色事故」は起こりえない。しかし、色ごとに一長一短があるので弱点ができやすい。たとえば、黒には一度設置されたエンチャント、アーティファクトを除去する方法がない。緑には飛行を持つクリーチャーがほとんど居ないなどである。

スタンダード・フォーマットのようにカードプールが狭ければ通常は2?3色を合わせて極端な弱点がないようにデッキを作成するのがよいとされるが、全ての色を使用した5色で組むことはまずない。ただし、中には5色すべてのマナを必要とするカードや、5色デッキを推奨するようなエキスパンション、5色のマナを容易にそろえられる環境が整っているフォーマットも存在する。また、アーティファクト単(茶単)や、土地カードをメインとした土地単と呼ばれる無色メインのデッキも存在する。

どの色にも、友好色と敵対色が設定されている。マジックのカードの裏面の模様は五芒星を暗示したものとなっており、どの色がどの色と友好関係(敵対関係)にあるかを図案化している。ある色に隣り合う2色は友好的、対辺の2色は敵対的とされている。それぞれの色は友好色を支援したり、敵対色の行動を阻害する傾向にある。ただし、ルール自体には友好色や敵対色についての特別の規定はない。かつての基本セットには大抵敵対2色を阻害するカードが収録されていたが、00年代以後はこの要素は強調されず、拡張セットラヴニカ・ギルドの都以降のセットでは、特定の2色ないし3色を1グループとし、それぞれのグループごとに特徴を持たせるというパターンも多くなるなど、友好・敵対の関係はかなり曖昧になっている。

以下に、ルールの詳細に立ち入らない範囲で各色の特徴の一部を述べる。

白は太陽のシンボルマークで表される。対応する土地は《平地/Plains》である。正義・法・秩序・共同を体現する。理性的な青や生命を重んじる緑を友好色に持ち時には対立する両者の仲裁に入る。無秩序を好む赤と堕落を好む黒に敵対する。この色の呪文は、自分のライフを増やす、ダメージを軽減するなど防御に優れている。小型クリーチャーには兵士や騎士が多く、コストに比して優秀なものが多い。また大型のクリーチャーには天使などが存在する。全体としては攻撃面が弱い傾向にあるが、均質化され無駄の無いスペックは時として驚異的な攻撃力を持つ。また、中には《神の怒り》(場のクリーチャーを敵味方問わず、すべて捨て札にする)、《ハルマゲドン》(場の土地を敵味方問わず、全て捨て札にする)など、神の力を体現する(平等化する)かのような強力なカードも存在する。全体的な傾向として、率直だが小回りが利かない欠点がある。

青は水滴のシンボルマークで表される。対応する土地は《島/Island》である。思考・狡猾・知識・文明を司る。秩序を重んじる白と、陰謀が得意な黒を友好色とし時には対立する両者の仲裁に入る。支配を拒む赤や統制を拒む緑と敵対する。この色の呪文は、カードを手札に戻す、カードを引く、相手の呪文を妨害する、相手のターンを飛ばす、ルールを一時的に変更するなど、トリッキーなものが多い。頭脳戦を楽しめる色であるが故にプレイングやルールの熟知などの高度な技術が求められ、比較的上級者向けの色ともいわれる。その分クリーチャーの性能は他の色に比べて劣るが(特に小型のもの。大型のものもデメリットが大きい傾向にある)、相手にブロックされないなど特殊能力に優れた物も多い。人魚(マーフォーク)などの水中の生き物、鳥などの空の生き物、姿を変化させるものが多い。

黒は髑髏のシンボルマークで表される。対応する土地は《沼/Swamp》である。死・恐怖・堕落・邪悪を武器とする。狡猾な青と、破壊的な赤を友好色とし時には対立する両者の仲裁に入る。清廉を尊ぶ白や生命を尊ぶ緑と敵対する。この色の呪文は、クリーチャーを倒したり相手の手札やライフを消耗させること、墓地のカードを利用することを得意とする。クリーチャーには、ゾンビ吸血鬼デーモンなどがある。恐怖、死、腐敗を表現しており、強力な爆発力を持つ分、多くの代償(たとえば、自分のライフ)を必要とするリスキーなカードもある。クリーチャー除去に関しては申し分ないがアーティファクトは破壊できない。かつてはエンチャントも破壊できなかったが、2019年以降はエンチャント破壊の役割も与えられた。

赤は炎のシンボルマークで表される。対応する土地は《山/Mountain》である。混沌・無秩序・衝動・憤怒を糧とする。強さを好む黒と、文明を嫌う緑を友好色とし時には対立する両者の仲裁に入る。論理的な青や保守的な白と敵対する。この色の呪文は、直接的な攻撃力・ダメージ呪文に優れている。クリーチャーには、ゴブリンオーガなどの亜人や、ドラゴンなどの攻撃力の高いものが多い。赤は炎や大地のイメージが強いが、中には雪崩といった氷を表現した物もある。これは雪崩がマナ発生源である山で起こるものという表現である。同じく雷も山のイメージから取り入れられている。他にも混沌をモチーフとした、ギャンブル要素が強いカードもある。クリーチャーやアーティファクトや土地など、形あるものを破壊するのは得意だが、エンチャントは破壊できない。

緑は木のシンボルマークで表される。対応する土地は《森/Forest》である。生命・自然・共同・大地を源とする。本能に忠実な赤と、共存を重んじる白を友好色とし時には対立する両者の仲裁に入る。文明を司る青や死を司る黒と敵対する。この色の呪文は、クリーチャーの質・量ともに豊富で、クリーチャーを支援するカードやマナを生み出すカードが多い。クリーチャーは、類人猿などの森の動物やエルフなどが多い。また、ビーストなどの巨大クリーチャーも多数存在する。その代わり飛行クリーチャーが少なく、制空権を取るのは苦手とする。大地の恵み、癒し、成長を表現する一方で、《ハリケーン》など自然の猛威を表現するカードもある。作為を嫌うがゆえにアーティファクトやエンチャントを破壊するカードも豊富だが、逆にクリーチャー除去は苦手。
無色
厳密には「色」ではないが、便宜上ここに記す。一部対応する土地として《荒地/Wastes》がある。特定の色(属性)を持たないカードは、上述の五色のどれにも属さない「無色」のカードとして扱われる。具体的には土地や大抵のアーティファクトが無色カードである[注 5]。無色カードは原則として特定のマナの色に依存や拘束されない反面、用途はごく限られる。カードの効果によって一時的に色を得たり、逆に色を持つカードが一時的に無色になったりすることもある。
デッキタイプ

マジックに限らずトレーディングカードゲームでは、様々な種類のカードを組み合わせて自分のデッキを構築するが、その「デッキの組み方の定石」というものがいくつか存在する。マジックの大会では基本的に、これまで発売されてきたすべてのカードが使用できるわけではない。例えば最もポピュラーな形式である「スタンダード」では、概ね最近1?2年の間に発売されたカードのなかから自分のデッキを構築することになる。どのプレイヤーも勝利を狙ってくる大会では、その時期ごとに確実に「流行り」のデッキタイプがいくつか存在するのが常であり、どういったデッキが流行しているかを見極め、対応策を組み込むことも、勝利のための重要な要素といえる。TCGの世界ではこれをメタゲームと呼ぶ。そのルール下であまりにも強力なデッキタイプが存在する場合、そのデッキは「トップメタ」とされ、徹底的に対策が練られたり、ゲームバランスを崩すほど深刻な事態を呈している場合は特定のカードが大会において使用禁止になる場合もある。したがって、マジックにおいては絶対的な最強というものは存在し得ない。

以下に、代表的なデッキタイプの区分を示す。
ビートダウン(Beatdown/Aggro)
クリーチャー・カードを中心に構成したデッキタイプ。クリーチャーによる直接攻撃で相手のライフを0にして勝つことを目的としている。同じビートダウンの枠に入るデッキでも、小型クリーチャーを主体とした場合は「ウィニー(Weenie)」、赤の火力と緑の中型?大型クリーチャーを使う場合は「ステロイド(Steroid)」、中型のクリーチャーをある程度用意し、それを他のカードでサポートする「ミッドレンジ(Mid Range)」、小型クリーチャーに青の“打ち消し”呪文を加えた場合は「クロック・パーミッション(Clock Permission)」、エルフやゴブリンなど、特定のクリーチャータイプにテーマを絞って構成された場合は「部族 (Tribal)」、マナを出すクリーチャーや土地を高速で出す手段を多数組み込み、早いターンから超大型クリーチャーを呼び出す「マナランプ(Mana Ramp)」などと、主力をどこに置くかによって呼び分けられる。


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