2013年、マザー・テレサに関する文献の96パーセントをカバーし包括的な検討を行ったモントリオール大学の研究者グループの研究は、かねてからあったマザー・テレサに関する批判を補強している。いわく「苦しみを癒やすかわりに讃美することをもって病人のケアとしている。…彼女の政治家との疑わしい交際、受けとった巨額の資金の管理への疑問、とくに中絶、避妊、離婚に対するあまりに教条的な見方」。無数の批判があることを顧みないバチカンの意図に疑問を投げかけつつ、モントリオール大学の研究はマザー・テレサの「神聖化されたイメージ―事実の分析に耐えるものではない―が構築されており、彼女の美化はメディアを巻き込んだ巧みなキャンペーン活動によって組織的に行われた」と指摘している。その活動を担ったのが、カトリックに改宗した中絶反対派のジャーナリスト、マルコム・マゲリッジであった[14][15]。 歴史学者ヴィジャイ・プラシャドの『人種化された空間における白人女性』(White Women in Racialized Spaces) のあるエッセイでは、マザー・テレサについて次のような言及がされている。 マザー・テレサは、浅黒い皮膚をした人々を彼ら自身の惑溺と怠惰から救うために尽力するという、植民地における白人女性の最も純粋な典型といえます。… 欧米諸国に支配されている国際メディアは、白人だけがどういうわけか社会に変化をもたらす能力に恵まれているという植民地時代の考え方のままです。非白人が社会変革に取り組んでいても、メディアは白人の支援者や指導者を見つけようとします。言うなれば、非白人の俳優に舞台の袖から指示を飛ばしている白人を探そうとします。メディアは言外にこんなメッセージを伝えているように思うのです。非白人は自分の意思において能力を最大に発揮してはならず、植民地の行政官なり、IBMやIMFのテクノクラートなりからの命令を待たなければいけない、といった風な。貧しい人々を救済する活動が報道されるときにも、黒い肌の人間はまたもや不可視の存在として扱われます。なぜならメディアは、マザー・テレサのような使い古して陳腐になった存在だけを称揚したがり、自分たちを解放するために戦う人々には気づかないふりをするのです。したがって、マザー・テレサのような人物の生涯を、公にして厳しい視線にさらすのはいつの時代も困難です。[...] マザー・テレサの仕事は富裕層の罪悪感を和らげるためにある世界的企業の一部門であり、貧困をつくりだし維持する陣営へ本当に挑戦するものではないのです[16]。 マザー・テレサは1997年に亡くなった。彼女は生前に書いた文章や手紙をすべて破棄してほしいと望んでいたにもかかわらず、コレクションは死後に書籍として出版された[17][要ページ番号]。公開されたテレサの文章からは、晩年の彼女が孤独感と戦っていたことが明らかに読み取れる[18]。それは修練者であった若き日のテレサが抱いていた強い思いとは対照的なものであった[19]。手紙のなかで、彼女は何十年にもわたって神から切り離されている感覚を持っていたこと、神の愛の宣教師会を創始するために励むことができた若い頃の情熱を失っていることを訴えている。その結果、一部には彼女が「信仰をやめた」と評価したり、死後においてなおその偽善を批判する者も現れた[20][21]。 保守的な宗教系専門誌ファースト・シングス(First Things ) は、クリストファー・ヒッチェンズの手法や、モントリオール大学の検討結果を批判する記事を掲載した[22]。
植民地主義とレイシズム
死後の批判
批判への反論.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}が望まれています。 (2016年9月)
脚注^ Poplin, Mary (2011). Finding Calcutta: What Mother Teresa Taught Me About Meaningful Work and Service
^ “Withdraw Teresa’s Bharat Ratna, says RSS” (英語). India Today. 2023年9月24日閲覧。
^ 「India’s parliament disrupted over Hindu leader’s remarks about Mother Teresa」『Reuters』、2015年2月27日。2023年9月24日閲覧。
^ Chatterjee, Aroup (2002). Mother Teresa: The Final Verdict. Meteor Books. ISBN 9788188248001
^ Christopher Hitchens (24 April 2012). The Missionary Position: Mother Theresa in Theory and Practice. McClelland & Stewart. pp. 51?. ISBN 978-0-7710-3919-5. https://books.google.com/books?id=t3qoIwJWGLIC&pg=PT51
^ “ ⇒The Shadow Saint”. www.nybooks.com. The New York Review of Books. 2015年12月18日閲覧。
^ “ ⇒In Defense of Mother Teresa”. The New York Review of Books. 2015年12月18日閲覧。
^ a b Hitchens, Christopher (1995). The Missionary Position: Mother Teresa in Theory and Practice. London: Verso. ISBN 978-1-85984-054-2. https://books.google.com/books?id=PTgJIjK67rEC 2014年8月22日閲覧。
^ a b “ ⇒Charles Keating ? obituary”. telegraph.co.uk. 2016年9月30日閲覧。