マザー・グース
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後述するように「マザーグース」が童謡の総称として用いられるようになったのは18世紀後半からであるが、それに対して「ナーサリーライム」が童謡の総称に用いられるようになったのは1824年スコットランドのある雑誌においてであり、「ナーサリーライム」のほうが新しい呼称である[20]
呼称の由来

英語の童謡は古くから存在したが、それらに対して "Mother Goose" という語が定着するのは18世紀後半以降である。直訳では「鵞鳥(がちょう)かあさん」とでも表現すべきこの語は、同じ意味のフランス語 "Ma Mere l'Oye(日本語音写例:マ・メール・ロワ)"の意訳語であったと考えられる[21][22]
ペローとサンバー

原著の口絵と英訳本の口絵左:シャルル・ペロー『昔ばなし』(1697年刊)の口絵[注 3]
中央:『昔ばなし』の口絵。別バージョンのガッシュ画。
右:英訳本 "Histories, or Tales of Past Times "(1729年刊)の口絵

1697年フランス詩人作家シャルル・ペローが8つのおとぎ話をまとめた童話集『昔ばなし(フランス語版)(Histoires ou contes du temps passe )』をパリで出版した[15][注 4]。それを1729年[15]イギリス人作家ロバート・サンバー(英語版)が英訳し、"Histories, or Tales of Past Times [24][25]と題して母国に紹介した。その本の口絵(■右に画像あり)は原著の口絵(■右に画像あり)と同じ趣旨で描かれている。暖炉のある部屋で糸車を回しながら幼子と若者に昔話を語って聞かせるお婆さんの様子を表現しているのであるが、原著の口絵にある分厚い木製扉の高い位置に取り付けられている飾り板には「鵞鳥かあさんのお話」を意味する "contes de ma mere l'oye([15]音写例:コントゥ・ドゥ・マ・メール・ロワ、コント・ド・マ・メール・ロワ、英訳:tales of mother goose [14])" というフランス語が記されており、英訳本では、この部分を同じ意味になるよう "mother goose's tales(音写例:マザー・グースィズ・テイルズ)" と言い換え、同書の副題(サブタイトル)にも採用した。のちにこのフレーズは本の表題(メインタイトル)に使われることにもなる。これが、以後 "Mother Goose" として固有名詞化してゆく英語フレーズの初出であった[22]。後述する伝説上の人物としての Mother Goose も全き同根語である。

サンバーの英訳本は18世紀中に何度も増刷されて広く読まれている[21]。アメリカでは世紀末の1794年になってようやく出版された。そして、こうしたことを背景に Mother Goose という言葉はまずはイギリスの人々に親しみをもって受け容れられ、伝承童話や童謡と結び付けられるようになっていったと考えられている[26]
ニューベリー

1765年には[15][27]、世界初の児童書専門出版者として名の知られたロンドンのジョン・ニューベリー(英語版)[28]によって『マザーグースのメロディ(原題:Mother Goose's Melody )』と題する童謡集が出版され[15][21]、以後、同じような童謡集や伝承童謡に対して Mother Goose という語を用いる慣行が普及・定着していった[21][27]


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