その突然の完全な治癒は医師たちを驚かせ、その後にその医師たちは自分たちの診断が間違っていなかった事を示すためのあらゆる必要な証拠を提出した。治癒のあとで、腫瘍を検査するためにした小さな外科手術の跡さえも見つからなかった。立ち会った医師は「これは私の医師としての人生で出会ったもっともすばらしい経験の一つです」と言う。西ベンガル州シリグリのR.N .Bhattacharya医師は、腫瘍は7か月の胎児と同じ大きさだったと証言する。
列福のための正式な手続きは、2001年の8月にカルカッタ(現・コルカタ)司教区の特別委員会が報告書を取りまとめ、ローマ教皇庁列聖省に提出している。この報告書は重病や貧困に苦しむ人々に対するマザーの献身的活動や、列福に値することを示すため、マザーに対するとりなしの祈りによる奇跡的行為なども盛り込まれており、ページ数は35,000ページにも及ぶ。
列福・列聖には通常、対象者の死後数十年かかるが、マザーの献身的活動が生前から世界中の尊敬を集めてきたことなどにより、1999年、ヨハネ・パウロ2世は手続きを早める特例を認めた[19]。
2003年10月19日、ヨハネ・パウロ2世はテレサを列福し、福者であると宣言した[20]。通常は本人の死後、福者の認定を受けるまで少なくとも数十年の審査が必要とされている現状を考えれば、死後6年での列福というのは異例の早さであった。 2015年12月17日、ローマ教皇庁はフランシスコがテレサの二度目の奇跡を承認したと発表した。2008年、脳腫瘍を患い危篤状態だったブラジル人男性がテレサのとりなしによって回復された事例が奇跡と認定された[21]。 2016年9月4日、フランシスコはテレサを列聖し、「聖人である」と宣言した[22]。この日はテレサの死後、満19年目を迎える前日であった。 テレサの施設「死を待つ人々の家」の医療水準の低さ、用途不明の資金、問題人物との交際などマザー・テレサの人格を疑問視する声は多い。 イギリス人ジャーナリストのクリストファー・ヒッチェンズは1995年に『宣教師の立場』を刊行し、その中でマザー・テレサをきわめて否定的に扱った。またリチャード・ドーキンスは『神は妄想である』の中で、『宣教師の立場』の題を挙げてマザー・テレサを「彼女は聖人ではない」と批判した[23]。 インド出身のアソシエイトエディター、クリティカ・ヴァラグールは2016年4月に『ハフィントン・ポスト』アメリカ版でマザー・テレサを批判した。「『特別で優秀な白人が有色人種を助けるのだ』というイメージをインド人や西洋人に植えつけた」と主張し、「マザー・テレサの崇高なイメージは、脆弱化したカトリック教会によって行われたメディア・キャンペーンの結果である」と述べている[24]。
列聖への道のり
受賞・受章歴
1962年: マグサイサイ賞平和・国際理解部門
1971年: ヨハネ23世教皇平和賞
1972年: ジョン・F・ケネディ賞
1973年: テンプルトン賞
1975年: アルベルト・シュヴァイツァー賞
1979年: ノーベル平和賞
1980年: バーラト・ラトナ賞
1983年: 優秀修道会賞
1985年: 大統領自由勲章
1992年: ガウデイム・エト・スペス賞
1996年: アメリカ合衆国名誉市民
1997年: 議会名誉黄金勲章
批判詳細は「マザー・テレサに対する批判」を参照
関連作品
書籍
『マザー・テレサ -神さまへのおくりもの-』マザー・テレサ著、半田基子訳、女子パウロ会、1976年
『生命あるすべてのものに』マザー・テレサ、講談社現代新書、1982年
『マザー・テレサ 愛を語る』ジョルジュ・ゴルレ、ジャン・バルビエ編著、支倉寿子訳、日本教文社 、1982年
『ほほえみ -マザー・テレサのことば-』女子パウロ会編、江口まひろ絵、女子パウロ会、1989年
『マザー・テレサ 愛のことば』女子パウロ会編、いもとようこ絵、女子パウロ会、1998年
『マザー・テレサ 日々のことば』マザー・テレサ著、いなますみかこ訳、女子パウロ会、2000年
『マザー・テレサ 愛と祈りのことば』ホセ ルイス・ゴンザレス‐バラド編、渡辺和子訳、PHP文庫、2000年
『愛する子どもたちへ マザー・テレサの遺言』マザー・テレサ、片柳弘史(写真)、ドン・ボスコ社、2001年
『マザー・テレサ書簡集』、片柳弘史編・訳、ドン・ボスコ社、2003年
『マザー・テレサ -すばらしいことを神さまのために-』マルコム・マゲッリッジ、沢田和夫訳、女子パウロ会、1976年
『マザー・テレサとその世界』千葉茂樹、女子パウロ会、1980年
『マザー・テレサこんにちは』千葉茂樹、女子パウロ会、1980年
『マザー・テレサ あふれる愛』沖守弘、講談社文庫、1984年
『ノーベル平和賞に輝く聖女 マザーテレサ』望月正子、講談社、1988年
『愛にことばはいらないのよ』岩岡佳、女子パウロ会、1989年
『こんにちわ地球家族 -マザー・テレサと国際養子-』千葉茂樹、女子パウロ会、1991年
『マザー・テレサ 愛の軌跡』ナヴィン・チャウラ、三代川律子訳、日本教文社 、1995年、2001年増補改訂版
『マザー・テレサへの旅 ボランティアってだれのため?』寮美千子、学研、1997年
『わたしはマザーに出会った -20人が語るマザー・テレサのすがた-』女子パウロ会編、女子パウロ会、2001年
『愛 -マザー・テレサ日本人へのメッセージ-』女子パウロ会編、三保元訳、女子パウロ会、2003年
『カルカッタ日記 マザー・テレサと出会って』片柳弘史、ドン・ボスコ社、2003年
『マザー・テレサの真実』五十嵐薫著 《NPO法人レインボー国際協会理事長》、PHP出版、2007年
『大ヴァチカン展パンフレット』大ヴァチカン展実行委員会、1987年
『AERA臨時増刊 人を助けたい 震災ボランティア/善意ネットワーク』 朝日新聞社 1995年3月
『マザーテレサ「死の場面」』坂倉圭著、聖母の騎士社、2004年 ISBN 978-4882162537
⇒『マザーテレサ「死の場面」』 ウエブ版
『マザー・テレサ 愛の花束』 中井俊已、PHP研究所 2007年 ISBN 978-4569669465
『マザーテレサの子と呼ばれて』 工藤朋子著、聖母の騎士社、2010年 ISBN 978-4882163183
『宣教師マザーテレサの生涯 スコピエからカルカッタへ』工藤裕美著、上智大学出版、2007年 ISBN 978-4-324-08057-3 C3014
漫画
学習まんが世界の伝記『マザー・テレサ 貧しい人のために生涯をささげた聖女』高瀬直子、沖守弘(集英社、1992年)ISBN 978-4082400248
学習まんが人物館『マザー・テレサ 貧しい人びとに限りなき愛をそそいだ現代の聖女』滝田よしひろ、あべさより(小学館、1997年) ISBN 978-4092700130
コミック版世界の伝記『マザー・テレサ』谷沢直、沖守弘(ポプラ社、2011年)ISBN 978-4591126110
学習まんが世界の伝記NEXT『マザー・テレサ 貧しい人々に尽くした愛と勇気の聖女』榊ゆうか、堀ノ内雅一(集英社、2016年)ISBN 978-4082400675
映像作品
ドキュメンタリー映画“Something Beautiful for God”、1969年、アメリカ