マカロニ・ウェスタン
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そしてハリウッドからヘンリー・フォンダチャールズ・ブロンソンらの有名スターを招いた『ウエスタン』などがある。

アメリカ(クリント・イーストウッド(荒野の用心棒[6])、ヘンリー・フォンダロッド・スタイガーなど)やイギリス(リンゴ・スター)などから俳優を持ってくることも少なくなかったが、大半は脇役も主役もイタリア本国を始め、スペイン(アントニオ・カサス、ニエヴェス・ナヴァロなど)、フランス(ロベール・オッセンジャン=ルイ・トランティニャン)、オーストリア(ジークフリート・ルップ、ヨゼフ・エッガー、ヴィルヘルム・ベルガー)、西ドイツ(クラウス・キンスキーマリアンネ・コッホ)など、ヨーロッパ大陸部全体から集められた。「ユーロ・ウェスタン」という呼称の所以である。南米ウルグアイ出身のスター、ジョージ・ヒルトンが参加しており、日本からも仲代達矢が招かれている。ソリーマの映画でスターとなったトーマス・ミリアンはキューバ出身(後アメリカに移住)、『続・荒野の用心棒』の作曲家ルイス・エンリケス・バカロフはアルゼンチン人である。

面白いところでは、ホラー映画で有名なルチオ・フルチが、ジュリアーノ・ジェンマでマカロニ・ウェスタンを1作撮っている。さらに、ピエル・パオロ・パゾリーニが監督でなく俳優として出演している『殺して祈れ(英語版)』などの作品もある。

製作はほとんどイタリアのものだったが、最盛期にはロベール・オッセン監督・主役の『傷だらけの用心棒』など、ほとんどフランス人の手だけによる西部劇も作られた(脚本はイタリア人のダリオ・アルジェント)。これも「ユーロ・ウェスタン」の名の由来である。

マカロニ・ウェスタンは日本でも人気を集め、ブームの頃にはその影響を強く受けた時代劇や現代劇が制作された。テレビドラマでは『木枯し紋次郎[7]、『必殺シリーズ』、『子連れ狼』、『唖侍鬼一法眼[8]、『斬り抜ける[9]など、マカロニ・ウェスタンの要素を取り入れた作品が多く作られ、若者を中心に支持を集めた。また現代劇『太陽にほえろ!』の萩原健一が、マカロニ・ウェスタンの主人公のような格好をしていることからマカロニの愛称で呼ばれた。映画では『股旅』、映画版『木枯し紋次郎』、『御用金』や映画版『子連れ狼』、『御用牙』などがあった。

しかし1970年代に入ると、徐々にそのブームは失速していった。マカロニ・ウェスタンは「既成のヒーロー像の反対を行く」というのが基本コンセプトであったため、『続・荒野の用心棒』のような強烈なインパクトのあるアンチヒーロー像を必要としたわけだが、その要求を満たすため様々な主人公が考え出された。棺桶を引きずったヒーロー、盲目のガンマン、聖職者のガンマンなどありとあらゆるヒーローが作り出されたが、あまりにも量産されてアイデアが枯渇してしまったということが原因の一つとしてあげられる。

1973年製作のトニーノ・ヴァレリ監督による『ミスター・ノーボディ』はこれ以降見るべき作品が生まれなかったという意味で「最後のマカロニ・ウェスタン」と一部では呼ばれている。

2005年には、全盛期に映画の撮影が行われたスペインの村がロケセットを西部村として観光化するも、それすら寂れていくという、マカロニ・ウェスタンの楽屋落ちのようなストーリーを描いた『マカロニ・ウェスタン 800発の銃弾(英語版)』というスペイン映画が製作されている。
主な監督

セルジオ・レオーネ - イタリア製西部劇を「マカロニ・ウェスタン」という一つの映画ジャンルとして確立した事実上の創設者。海外の映画作家に多大な影響を与えた。俳優の顔の極端なアップや特徴的なロングショットなどを使った個性的な画像で知られる。

作品 - 『荒野の用心棒』Per un pugno di dollari(1964年)、『夕陽のガンマン』Per qualche dollaro in piu(1965年)、『続・夕陽のガンマン』Il buono, il brutto, il cattivo(1966年)、『ウエスタン』C'era una volta il West(1968年)、『夕陽のギャングたち』Giu la testa(1971年)


ロベール・オッセン - 国際的に名の通ったフランス映画界の俳優・監督。代表作はマカロニ・ウェスタン『傷だらけの用心棒』Une corde, un Colt...(1968年)。自ら主役を務め、『アンジェリク』という映画シリーズでコンビを組み人気を博していたミシェル・メルシェを相手役に起用した。1961年にはメキシコを舞台にした独仏伊合作映画Le Gout de la violenceも監督している。

作品 - 『傷だらけの用心棒』Une corde, un Colt...(1968年)


ジュゼッペ・コリッツィ(英語版) - 元作家志望で、脚本家から監督になった。テレンス・ヒル、バッド・スペンサーで3本のマカロニ・ウェスタンを撮っている。その3本とも音楽は『鉄道員』のカルロ・ルスティケッリが担当。コリッツィが発見したヒル・スペンサーのコンビは後にバルボーニが引き継いだ。

作品 - 『Dio perdona .. io no!』(1967年)(劇場未公開)、『荒野の三悪党』I quattro dell'Ave Maria(1968年)、『La collina degli stivali』(1969年)(劇場未公開)


セルジオ・コルブッチ - マカロニ・ウェスタン独特のスタイルを確立した。マカロニ・ウェスタン作品数も最も多く、陰鬱な作品からコメディまで作風も幅広い。アイディアに富んだ娯楽作品を多数連発した。


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