マウンテンバイク
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SRAMが、2012年にはフロント単段でリア11段の「XX1」を、2016年にはリア12段を投入し2018年にはシマノも追従した[2][3]
ダートジャンプ(DJ)
ジャンプスタントに特化した、BMXに近いバイク。小さめで取り回しやすいフレームが、堅牢なクロモリか、十分な補強を施したアルミニウムで作られる。着地の衝撃を和らげるためにサスペンションフォークを装備することが多いが、BMX同様リジッドフォークが使われることもある。チェーントラブルと故障を招きやすい変速機は装備しないことが多い。
オブザーブドトライアル(TR)
詳細は「バイクトライアル#トライアルバイク」を参照障害物を乗り越える動作に特化したバイク。比較的軽量なアルミニウムを使用したフレームが主流で、リジッドフォークを前提とした設計になっている。競技ではサドルや変速を使用しないため、競技仕様車ではサドルやディレーラーが台座ごと省かれている。ブレーキは瞬時に確実な制動力を求めるため油圧駆動のリムブレーキを採用していることが多い。
プレイバイク
2010年頃よりジャンルが定着し始めたMTBとBMXをミックスさせたバイク。ダートジャンプ用に似ているところもあるが、街中での使用がメインなのでフレーム補強はほどほどに押さえられている。変速機はBMX的なフロントシングル、リアはMTB的な9段である程度の速度を保てるようにできている。最大の特徴はリアエンドがトラックエンドになっていて、ホイールベースの調整ができる点。またこれによりディレイラーを取り外しシングルスピードMTBにしてもチェーンテンショナーを装着する必要がない。

ダウンヒルバイク

フリーライドバイク

オールマウンテンバイク

ダウンヒル(DH)
山を下り降りることに特化したバイク。数メートルの崖を飛び降りるなど過酷な環境に耐える強度を備えた頑丈でフルサスペンションのフレームが使われ、コンポーネントもハードな使用を考慮された専用の物が使われる。変速段数が多く強力なディスクブレーキを装着し各部が補強されているために重量が20kgに達するものが多かった。2009年、GTバイシクルズより量産モデルとして世界初の、フルカーボンフレームのDHバイク(GT FURY 2010年モデル)が発表され、これ以降はカーボン素材のダウンヒルバイクが普及した。GT FURY 2010年モデルはカーボンフレームでありながら車体重量は約19kgで、極端に軽量ではなかった[4]。しかし、カーボンフレームのダウンヒルが一般的になるにつれ、車体の軽量化が進んだ。
フリーライド(FR)
フリーライドの名の通り、技を重視し、自由に乗車する目的から、ややトライアルに近い構成を取る。技に耐える目的からコンポーネントとフレームには頑強さが要求される。ダウンヒルとクロスカントリーとトライアルのいずれも中間のような存在。下りのみに特化せずにより広い範囲に対応するバイク。山までは車で運ぶことを前提に、高速域の使用は考慮されていないため、フロントはシングルかダブル構成が多く、アウターギアをバッシュガードとしたものが多い。
オールマウンテン(AM)
フリーライドよりさらに幅広く、クロスカントリー、トレールツーリング、ダウンヒル、フリーライド、トライアル等のマウンテンバイクの全ての要素を兼ね備えたバイク。 先鋭化した競技志向ではなく、山の全てを楽しむという本来のコンセプトに立ち戻ったマウンテンバイク。前輪にサスペンションを持ちリジッドフレームのモデルが多い。
歴史「クランカー」を再現した改造クルーザーバイク(左)と量産初期のマウンテンバイク

1970年代後半にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のマリン郡で、ヒッピー達がビーチクルーザー実用車などに太いタイヤをつけ、急勾配の山を下りタイムを競った遊びが始まりといわれている。同時期に北カリフォルニアでも同じ遊びが発生していたが、一般的にマリン郡がマウンテンバイク発祥の地とされるのは、同郡マウント・タム(タマルパイス山)で行われていた当時最大のレースによるところが大きい。

初期の改造ビーチクルーザーは必ずしも完成度は高くなく、あまりの重さで変速もなかった。

そうして遊んでいるうちに如何に速く未舗装の山道を下るかという競技らしきものになった。しかし前述のように車体の強度が低いため山を下るたびに過度の衝撃でヘッド部やハブのグリースが焼けて燃えてしまい、その都度グリースの詰め替え(リパック)しなくてはならないようなものであった。このことからこの競技は当初「リパック(Repack)」とも呼ばれ、地域の自転車好きに新しい遊びとして浸透していった。

このような遊びはやがて本格的なロードレース選手も魅了し、その中に後のマウンテンバイク創始者の一人であるゲイリー・フィッシャートム・リッチー、ジョー・ブリーズなどがいた。彼らがクランカーを知った経緯として、ラークスパー・キャニオン・ギャング(Larkspur Canyon Gang)と呼ばれるヒッピー集団の存在が挙げられる。

しかし使用する車体の強度が依然として低くいろいろと不都合が生じるために、リパックに参加する者たちは激しい使用に耐えるものを求めるようになった。ジャンク屋などからとくに頑丈なビーチクルーザーのフレーム[注釈 1]を探し出し、このフレームに急降下でも確実に動作するよう制動力の強いオートバイ用のドラムブレーキハブなどを用い、また山を登るためにツーリング用自転車であるランドナーのトリプルクランクや変速機を装備するようになった。

やがて既存の自転車パーツの借用に限界を感じていた彼らは、この自転車を自作し始めた。1977年にジョー・ブリーズが専用フレームを設計、自然と仲間たちから「BREEZER」と命名される。1978年にはゲイリー・フィッシャーがロードレース仲間で同時に優れたフレームビルダーでもあったトム・リッチーに新しい自転車の製作を依頼、「フィッシャーマウンテンバイク」としてマウンテンバイクを製作、販売、山や丘陵の荒れ野で遊ぶ自転車として定着させた。後にこの三人は「ブリーザー(Breezer)」、「ゲイリー・フィッシャー(Gary Fisher)」、「リッチー(Ritchey)」として独自ブランドを築き上げる。彼らが制作・販売していたものはクロモリフレームであり、アルミ合金フレームはチャーリー・カニンガム(英語)によるところが大きい[5]。マウンテンバイクが全世界に定着する上では1981年スペシャライズド社が発売した「スタンプジャンパー」の果たした役目が大きい。初めて量産体制で製造されたスペシャライズドのマウンテンバイクは新たなジャンルの自転車として全米に、そして世界に広まった。

発展途上国ではそれまでのロードスター型自転車のタイヤ規格(26インチWO)に代わってマウンテンバイクの規格(26インチHE)が普及しつつあり、マウンテンバイクの車体自体も浸透しつつある。また先進国では、かつてロードスター型自転車に求められた用途にマウンテンバイクが用いられている。このほか技術的にもマウンテンバイク競技で培われた技術がロードバイクに転用され、自転車競技に新たな刺激を与えたものは多い。
年表

1974年 - ゲイリー・フィッシャーが改造型ビーチクルーザーダウンヒラーを誕生させる。

1976年 - カリフォルニアでの「リパック」がレースとして本格化する ⇒[2]

1977年 - ジョー・ブリーズがオフロード専用フレーム「BREEZER」を完成させる ⇒[3][4]

1979年 - ゲイリー・フィッシャーとチャーリー・ケリーがマウンテンバイクス社(MountainBikes)を興して「マウンテンバイク」の販売を始める。フレームはトム・リッチーとジェフリー・リッチモンドが製作。 ⇒[5]

1981年 - スペシャライズド社が最初の量産MTB「スタンプジャンパー」を出す ⇒[6]

1982年 - オフロードバイクコンポとしてシマノがツーリングコンポ「DEORE」から独立して初代Deore XTを発売 ⇒[7]。サンツアーもオフロード専用コンポ『マウンテック』を発売。日東ハンドルがトム・リッチーの依頼によりMTB用ブルムース・ハンドルの製造を開始。

1983年 - マエダ工業(サンツアー)がクロスカントリー用コンポーネントのサンツアーXCを発売。

1986年 - アメリカでMTB専門誌「MOUNTAIN BIKE ACTION」が創刊。

1989年 - フランスでMTB専門誌「VTT Magazine」が創刊。MTB用サスペンションフォーク「ROCK SHOX」が登場。

1990年 - 世界選手権においてMTB競技が実施される。種目はダウンヒルとクロスカントリー。アルパインスターズがMTBの量産を開始。ダグラス・ブラッドバリーがMCUエラストマーを使用したサスペンション「マニトゥ」を開発。

1994年 - ロブ・ロコップ、マイク・マルケス、リッチ・ノヴァクによって設立されたサンタクルズ・バイシクルズがフルサスペンションバイク「ダズモン」を開発。

1996年 - アトランタオリンピックにおいて自転車・マウンテンバイククロスカントリー男子/女子が正式種目で実施される ⇒[8]

日本での歴史

1980年代後半に日本に第一次マウンテンバイクブームが訪れる。オートキャンプの浸透やアウトドアブームとともに、レジャーとしての認知度が高かった。当時は各地で手作り的なローカルレースが開催され、スポーツとしての認知も進んでいった。

1980年 - 東京・世田谷に日本初のMTB・BMX専門店「ワイルドキャット」が開店。


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