マイナーリーグベースボール
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なお、最初にこのシステムを導入したのはセントルイス・カージナルスである。
選手待遇

MiLB在籍選手のほとんどはマイナー契約選手だが、その年俸水準はメジャー契約(40人枠)の選手に比べて相当に低い。2023年時点では[17]

メジャー契約選手の最低保証年俸: 720,000ドル[18]

マイナー契約選手の最低保証年俸:

過去のメジャー契約期間が1年を超える選手、またはMLBサービスタイムが0.001(1日)以上の選手: 117,400ドル

上記の条件を満たさない、メジャー契約期間が1日以上1年以下の選手: 58,800ドル

上記条件を満たさない(メジャー契約の経験がない)マイナー契約選手の場合、下位クラスの選手ほど保証額が安くなり、また原則マイナー契約選手は数ヶ月あるシーズン期間中のみ給与が発生するため、AAAなど上位クラスの在籍選手を除いて、年額はアメリカ法が定める最低賃金よりも低い[12](ただし、職業野球選手はアメリカ公正労働基準法[19]の適用対象外であり、違法状態ではない)[20]

年俸の他には、必要最低限の野球用具、および遠征の際に1日につき20-25ドル程度のミールマネー(食事代)が支給されるだけである[6][21][22]。ドラフト上位指名で高額な契約金を手にしている場合などを除き、マイナー契約でプレーし続けている選手が給料のみで生活するのは困難であり、多くの選手はシーズンオフにアルバイトで別に収入を得たり、恋人などの家に居候して食事の世話をしてもらうことで生活のやりくりをしている。

選手が毎日の食事にハンバーガー程度のものしか食べられないということから「ハンバーガー・リーグ」という呼び方がされている[23][24](MLBは対比して「ステーキ・リーグ」と呼ばれる)。ホームゲームのときは試合前・試合後、ビジターのときは試合前に球団が食事を用意してくれるものの、それ以外では、実際に多くの選手がハンバーガーやホットドッグなどを食べているといわれる[25][26]。時には球団から支給される食事がリンゴ1個のこともある[27][28]。2021年には食パン2枚にチーズ、申し訳程度のレタスとトマトで出来たサンドイッチが試合後に支給される食事としてSNS上に公開され、その食糧事情の悪さから物議を醸した[29]。移動もMLBでは専用飛行機で移動し、機内でも一人一列を割り振られるのに対し、MiLBではバスでの移動が基本で、長距離を飛行機移動する場合でもエコノミークラスの利用が通常である。クラスが上がれば、機内に飲食物が用意されており、選手たちはそれを自由に食べることができるが、上位クラスほど移動距離が長い傾向があり、選手たちにとっては過酷な移動となる[30]。映画『フィールド・オブ・ドリームス』で俳優のバート・ランカスターが演じたアーチー・グラハムが「マイナーの生活はこりごりだった」と語っているのはこのためである。ただ、AAクラス以上であれば、クラブハウスには飲物、アイスクリームフルーツインスタント食品などが備えられており、選手は自由に飲食することができる。また、遠征の際は、スタッフがグラブやバットなどを本拠地スタジアムのロッカーから遠征先スタジアムのロッカーに移送し、ユニフォームをハンガーにかけた状態にまで整えてくれる。

2019年10月にはジャイアンツ傘下AAAサクラメントに所属していたタイラー・シアー(2018年シーズンはAAで55試合に登板)が自身の給料明細を公開し、年俸の手取りが8216ドル58セント(約88万円)と過酷な状況でプレーするマイナーリーガーの現状に、アメリカ合衆国のメディアも苦言を呈していた[31]

業界からの報復を恐れることから、現役マイナーリーガーが公に待遇について詳細に発言することはないという[29]
実験的ルール

MiLB(およびMLBと業務提携する独立リーグ)では、MLBへの導入を見据えた実験的な新ルールがいち早く施行されており、実際にMLBで後年導入されたルールも多い。特に、MLB機構が運営を一括統轄するようになった2021年からは画期的なルールが施行されている。近年加えられた主な新ルールは以下のとおり[32][33]。角括弧内はMLBでの導入年[34]

2015年 [2023年]:投球間隔、および打者がバッターボックスに入るまでの秒数制限を設けるピッチクロック(AAA、AA)- 2022年はマイナー全リーグで導入

2018年 [2020年]:延長タイブレーク制(延長戦では全てのイニングを無死走者二塁から始める)

2019年:"ABS"(ロボットによるボールストライク自動判定)の導入(独立リーグアトランティックリーグで導入、2021年以降マイナー各リーグで順次導入)

2019年:投手は、牽制球の前に必ず投手板から足を外さなければならない(アトランティックリーグで導入、2021年にHigh Aでも導入)

2021年 [2023年]:一塁・二塁・三塁ベースの大きさを15インチ四方→18インチ四方へ拡大(AAA)- 2022年はマイナー全リーグで導入

2021年 [2023年]:投球時、守備側は内野エリアに最低4人の野手を配置しなければならない(AA)

2021年 [2023年]:投球時、守備側は二塁の左側、右側の内野エリアにそれぞれ最低2人の野手を配置しなければならない(AA)[35]

2021年 [2023年]:牽制球(および投手板から足を外す行為)は、1打席につき2回まで。3回目以降は、走者をアウトにできなければボークとなる(A)- 2022年はマイナー全リーグで導入

2021年:イニング間や投手交代などの時間制限を実施(A)

階級と所属リーグ

※2022年時点

クラス所属リーグ創設
トリプルA
(AAA)
インターナショナルリーグ International League2021年
パシフィックコーストリーグ Pacific Coast League2021年
ダブルA
(AA)イースタンリーグ Eastern League2021年
サザンリーグ Southern League2021年
テキサスリーグ Texas League2021年
ハイA
(High A)サウス・アトランティックリーグ South Atlantic League2021年
ミッドウエストリーグ Midwest League2021年
ノースウエストリーグ Northwest League2021年
シングルA
(A)カロライナ・リーグ Carolina League2021年


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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