1875年-1885年
イギリスの中学に教職を得る(31歳)。アルデンヌ県の学校に転じ、美少年の生徒リュシアン・レチノアに惚れ、授業を降ろされる(33歳)。その後リュシアンと英国へ渡り、教職を得る。再び元妻との和解を図り、黙殺される(35歳)。リュシアンを伴い帰国し、郷里に滞在(36-37歳)。母としばらくパリに住み、市役所への復職を図るも果たせず、西郊の学校に就職(38歳)。リュシアンが死去(39歳)し、その故郷で堕落放浪の日々を送る(-40歳)。泥酔して母の首を絞めて入牢。出獄後再びリュシアンの故郷を放浪した(41歳)。 1885年-1896年 無一文でパリへ戻りホテル住まいをする。左膝を傷め、一時慈善病院へ(41歳)。経済的援助をしていた母が死去するが、病気のため葬儀に参列せず。ホテルを追い出され(42歳)て、以降慈善病院を転々とする(42歳-)。慈善病院から娼婦ウジェニー・クランツの家へ転じ、情夫となった。生活費のため、オランダへ講演旅行(48歳)。ウジェニーに駆け落ちされて慈善病院に入院し、娼婦フィロメーヌ・ブーダンに連れ出された。国内およびイギリスへ講演旅行をする(49歳)。ウジェニーと和解しまた同棲する。入院2回(50歳)。文部省から救済の500フランを受け取る。パンテオン近くの自宅[3]で、娼婦に看取られて死去。遠からぬ ⇒サン・テチエンヌ・デュ・モン教会で葬儀。マラルメ、フランソワ・コペー(fr:Francois Coppee
1881年(37歳):叡智(Sagesse)刊行、売れ行き振るわず。
1882年(38歳):雑誌に、「昔と近頃」の数詩篇と、獄中作の詩法(Art poetique)を発表(「詩法」は後に「昔と近頃」に併載)。
1884年(40歳):評論、呪われた詩人たち(Les Poetes maudits)刊行。
栄誉と窮乏
日本では、東大生の上田敏が、「ポオル・ヴェルレエヌ逝く」(1896)を発表した。 以下の作曲家がヴェルレーヌの詩をもとにした歌曲を残している。
1885年(41歳):漸く文名を世に知られる。昔と近頃(Jadis et naguere)刊行。
1886年(42歳):雑誌に「パルジファル」(Parsifal)掲載。
1888年(44歳):愛の詩集(Amour)刊行。
1889年(45歳):雙心詩集(Parallelement)刊行。
1890年(46歳):献書詩集(Dedicaces)予約出版。
1891年(47歳):文名ますます高まる。「人さまざま」(Les Une et les Autres)上演。幸福(Bonheur)、「ヴェルレーヌ選集」、女に捧げる歌(Chansons pour elle)刊行。
1892年(48歳):我が病院(Mes hopitaux)、内なる祈祷の書(Liturgies intimes)刊行。
1893年(49歳):プリューム(La Plume)誌の第8回饗宴の座長を務める。アカデミー・フランセーズの会員に立候補し、取り消す。哀歌(Elegies)、その名誉を讃える歌(Odes en son honneur)、獄中記(Mes prisons)、オランダ15日(Quinze jours en Hollande)刊行。
1894年(50歳):奈落の底(Dans les limbes)刊行。シャルル=マリ=ルネ・ルコント・ド・リールの後任として、「詩王」(Prince de Poete)に選ばれる。エピグラム(Epigrammes)刊行。
1895年(51歳):懺悔録(Confessions)刊行。「失意」Desappointement執筆。
日本語文献
主な日本語訳
「海潮音」、上田敏訳、本郷書院(1905年) → 新潮文庫(改版2006年)ISBN 9784101194011
「珊瑚集」、永井荷風訳、籾山書店(1913年) → 岩波文庫(改版1991年)ISBN 978-4003104163
「ヴェルレエヌ詩集」、鈴木信太郎訳、創元社(1947年)(詳細な年譜あり) → 岩波文庫(改版2004年)ISBN 9784003254714 →「全集 2 訳詩編」大修館書店
「叡智」、河上徹太郎訳、芝書店(1935年)→ 新潮文庫(復刊1994年)ISBN 9784102171028 →「全集 7 翻訳編」勁草書房
「ヴェルレーヌ詩集」、堀口大學訳、新潮社 世界詩人全集8 (1937年) → 新潮文庫(改版2007年)ISBN 9784102171011 →「全集 3 訳詩編」小澤書店
「ヴェルレーヌ詩集」、野村喜和夫編訳、思潮社「海外詩文庫」(1995年) 新書版
「呪われた詩人たち」、倉方健作訳、幻戯書房〈ルリユール叢書〉(2019年)
主な伝記研究
『堀口大學全集 5 ヴェルレーヌ研究』 小澤書店(1983年)
ピエール・プチフィス 『ポール・ヴェルレーヌ』、平井啓之・野村喜和夫訳、筑摩書房(1988年)
アンリ・トロワイヤ 『ヴェルレーヌ伝』、沓掛良彦・中島淑恵訳、水声社(2006年)
野内良三 『ヴェルレーヌ 人と思想』 清水書院 (1993年、新版2016年) 新書版
歌曲
エルネスト・ショーソン - 『4つの歌曲』から1篇、『ヴェルレーヌの2つの詩』から2篇
「安らぎ」op.13 (1885年)
「いと優しき歌」op.34 (1889年)
「不運な騎士」op.34 (1889年)
ガブリエル・フォーレ - 『艶なる宴』から4篇、『言葉なき恋歌』から2篇、『優しき歌』から9編、他
「月の光」Op.46-2(1887年)
「憂鬱」op.51-3(1889年)
歌曲集『5つのヴェネツィアの歌』Op.58(1891年、5曲)
「マンドリン」「ひめやかに」「グリーン」「クリメーヌへ」「やるせない夢心地」
歌曲集『優しき歌』op.61(1891年 - 1892年、9曲)