ポール・ヴェルレーヌ
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ブリュッセルで女の友達(Les Amies)を匿名で刊行(後に「雙心詩集」に収録)。

1868年(24歳):文壇の知人を増やす。「女の友達」で軽罪裁判所から断罪される。ブリュッセル在のユーゴーを訪問。

1869年(25歳):「よき歌」の数篇を書く。艶なる宴(Fetes galantes)刊行。

1871年(27歳):第2次「現代高踏詩集」に5篇を投稿。

ランボー前列左よりヴェルレーヌ、ランボー、L・ヴァラード、E・デルヴィリィ、C・ペロタン、後列左よりP・エルゼアル・ボニエ、E・ブレモン、J・エカール。アンリ・ファンタン=ラトゥール

1871年-1875年

結婚1年後、ランボーと会い、妻に乱暴を繰り返した上で彼と同棲し、イギリスベルギー・北フランスを転々とする。母と妻が説得に来ても置き去りにして逃げ、妻に絶縁状を書き、ユーゴーに妻との交渉を懇願する。ロンドンで病臥し、母を呼ぶ(28歳)。ホテルで口論となったランボーをブリュッセルで購入した拳銃で2発撃ち、1発が手首に命中したが致命傷にはならなかった[2]。この騒動により2年間収監される[2]。この拳銃は2016年にクリスティーズで競売にかけられ、43万4500ユーロで落札された[2]。妻の別居請求(この時点では離婚はしていない)が認められたことを獄中で知って落胆し、カトリックに帰依した。1年半後出獄し、元妻との和解を図る一方、旅先でランボーと格闘する(31歳)。

1872年(28歳):婚約時代のマチルドを歌った優しき歌(La Bonne chanson)、戦乱に遅れて発行。

1874年(30歳):獄中で書いた無言の恋歌(「言葉なき恋歌」とも/Romances sans paroles)が友人の手で刊行され、獄中の著者に届けられる。

1875年(31歳):第3次「現代高踏詩集」への投稿を断られる(このとき、マラルメも同じ扱いを受ける)。

教職と美少年

1875年-1885年

イギリスの中学に教職を得る(31歳)。アルデンヌ県の学校に転じ、美少年の生徒リュシアン・レチノアに惚れ、授業を降ろされる(33歳)。その後リュシアンと英国へ渡り、教職を得る。再び元妻との和解を図り、黙殺される(35歳)。リュシアンを伴い帰国し、郷里に滞在(36-37歳)。母としばらくパリに住み、市役所への復職を図るも果たせず、西郊の学校に就職(38歳)。リュシアンが死去(39歳)し、その故郷で堕落放浪の日々を送る(-40歳)。泥酔して母の首を絞めて入牢。出獄後再びリュシアンの故郷を放浪した(41歳)。

1881年(37歳):叡智(Sagesse)刊行、売れ行き振るわず。

1882年(38歳):雑誌に、「昔と近頃」の数詩篇と、獄中作の詩法(Art poetique)を発表(「詩法」は後に「昔と近頃」に併載)。

1884年(40歳):評論、呪われた詩人たち(Les Poetes maudits)刊行。

栄誉と窮乏

1885年-1896年

無一文でパリへ戻りホテル住まいをする。左膝を傷め、一時慈善病院へ(41歳)。経済的援助をしていた母が死去するが、病気のため葬儀に参列せず。ホテルを追い出され(42歳)て、以降慈善病院を転々とする(42歳-)。慈善病院から娼婦ウジェニー・クランツの家へ転じ、情夫となった。生活費のため、オランダへ講演旅行(48歳)。ウジェニーに駆け落ちされて慈善病院に入院し、娼婦フィロメーヌ・ブーダンに連れ出された。国内およびイギリスへ講演旅行をする(49歳)。ウジェニーと和解しまた同棲する。入院2回(50歳)。文部省から救済の500フランを受け取る。パンテオン近くの自宅[3]で、娼婦に看取られて死去。遠からぬ ⇒サン・テチエンヌ・デュ・モン教会で葬儀。マラルメ、フランソワ・コペー(fr:Francois Coppee)ほか参列者多数。ただし、入営して病中にあった息子のジョルジュは不参加。パリ市17区のバチニョル墓地(Cimetiere des Batignolles)に埋葬(51歳)。

日本では、東大生の上田敏が、「ポオル・ヴェルレエヌ逝く」(1896)を発表した。

1885年(41歳):漸く文名を世に知られる。昔と近頃(Jadis et naguere)刊行。

1886年(42歳):雑誌に「パルジファル」(Parsifal)掲載。

1888年(44歳):愛の詩集(Amour)刊行。

1889年(45歳):雙心詩集(Parallelement)刊行。

1890年(46歳):献書詩集(Dedicaces)予約出版。

1891年(47歳):文名ますます高まる。「人さまざま」(Les Une et les Autres)上演。幸福(Bonheur)、「ヴェルレーヌ選集」、女に捧げる歌(Chansons pour elle)刊行。

1892年(48歳):我が病院(Mes hopitaux)、内なる祈祷の書(Liturgies intimes)刊行。

1893年(49歳):プリューム(La Plume)誌の第8回饗宴の座長を務める。アカデミー・フランセーズの会員に立候補し、取り消す。哀歌(Elegies)、その名誉を讃える歌(Odes en son honneur)、獄中記(Mes prisons)、オランダ15日(Quinze jours en Hollande)刊行。

1894年(50歳):奈落の底(Dans les limbes)刊行。シャルル=マリ=ルネ・ルコント・ド・リールの後任として、「詩王」(Prince de Poete)に選ばれる。エピグラム(Epigrammes)刊行。

1895年(51歳):懺悔録(Confessions)刊行。「失意」Desappointement執筆。

日本語文献

主な日本語訳

海潮音」、上田敏訳、本郷書院(1905年) → 新潮文庫(改版2006年)ISBN 9784101194011

「珊瑚集」、永井荷風訳、籾山書店(1913年) → 岩波文庫(改版1991年)ISBN 978-4003104163

「ヴェルレエヌ詩集」、鈴木信太郎訳、創元社(1947年)(詳細な年譜あり) → 岩波文庫(改版2004年)ISBN 9784003254714 →「全集 2 訳詩編」大修館書店

「叡智」、河上徹太郎訳、芝書店(1935年)→ 新潮文庫(復刊1994年)ISBN 9784102171028 →「全集 7 翻訳編」勁草書房

「ヴェルレーヌ詩集」、堀口大學訳、新潮社 世界詩人全集8 (1937年) → 新潮文庫(改版2007年)ISBN 9784102171011 →「全集 3 訳詩編」小澤書店

「ヴェルレーヌ詩集」、野村喜和夫編訳、思潮社「海外詩文庫」(1995年) 新書版

「呪われた詩人たち」、倉方健作訳、幻戯書房〈ルリユール叢書〉(2019年)


主な伝記研究

『堀口大學全集 5 ヴェルレーヌ研究』 小澤書店(1983年)

ピエール・プチフィス 『ポール・ヴェルレーヌ』、平井啓之・野村喜和夫訳、筑摩書房(1988年)

アンリ・トロワイヤ 『ヴェルレーヌ伝』、沓掛良彦・中島淑恵訳、水声社(2006年)

野内良三 『ヴェルレーヌ 人と思想』 清水書院 (1993年、新版2016年) 新書版


歌曲

以下の作曲家がヴェルレーヌの詩をもとにした歌曲を残している。

エルネスト・ショーソン - 『4つの歌曲』から1篇、『ヴェルレーヌの2つの詩』から2篇

「安らぎ」op.13 (1885年)

「いと優しき歌」op.34 (1889年)

「不運な騎士」op.34 (1889年)


ガブリエル・フォーレ - 『艶なる宴』から4篇、『言葉なき恋歌』から2篇、『優しき歌』から9編、他

「月の光」Op.46-2(1887年)

「憂鬱」op.51-3(1889年)

歌曲集『5つのヴェネツィアの歌』Op.58(1891年、5曲)

「マンドリン」「ひめやかに」「グリーン」「クリメーヌへ」「やるせない夢心地」


歌曲集『優しき歌』op.61(1891年 - 1892年、9曲)

「後光を背負った聖女」「暁の光は広がり」「白い月影は森に照り」「私はつれない道を歩む」「私は本当に恐ろしいほど」「暁の星よ、お前が消える前に」「それはある夏の明るい日」「そうでしょう?」「冬が終わって」


「牢獄」Op.83-1(1895年)


クロード・ドビュッシー - 『艶なる宴』から9篇、『言葉なき恋歌』から6篇、『叡智』から3篇

「操り人形」(1882年)

「ひめやかに」(1882年)

「マンドリン」(1882年)

「パントマイム」(1882年)

「月の光」(1882年)

歌曲集『忘れられたアリエッタ』(1886年 - 1889年、6曲)

「やるせない夢心地」「巷に雨の降るごとく」「木陰にて」「木馬」「緑」「憂鬱」


歌曲集『艶なる宴』第1集(1891年、3曲)

「ひめやかに」「操り人形」「月の光」


歌曲集『3つの歌曲』(1891年、3曲)

「海はさらに美しく」「角笛の音は悲しく」「垣根のつらなり」


歌曲集『艶なる宴』第2集(1894年、3曲)

「無邪気な人たち」「牧神」「感傷的な対話」



モーリス・ラヴェル - 『艶なる宴』から1編、『叡智』から1篇

「暗く果てしない眠り」(1895年)

「草の上で」(1907年)


肖像画

1844-1877年
ギュスターヴ・クールベ

1890年
ウジェーヌ・カリエール


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