ポール・ヴァレリー
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小林秀雄訳「テスト氏」が早くから読まれ、堀口大學『月下の一群』は、巻頭にヴァレリーの詩6編を訳出し『文学雑考』刊行時には、ヴァレリー宛に献本、書簡のやり取りをしている[5]

戦前(昭和初期)より佐藤正彰河盛好蔵吉田健一らが訳し、創業間もない筑摩書房で「全集」刊行を開始したが、1度目は戦局の悪化で、2度目は戦後の出版事情で未完となった。

『ヴァレリー全集』は1960年代に、佐藤正彰・鈴木信太郎らの編集により出版完結、新装版・増補版も刊行された。21世紀に入り清水徹や恒川邦夫らによる新訳が刊行された。

堀辰雄の中編小説『風立ちぬ』冒頭に、堀自身が訳したヴァレリーの詩『海辺の墓地』の一節「風立ちぬ、いざ生きめやも(Le vent se leve, il faut tenter de vivre.)」が引用されており、また小説の題名にも使われている。
著作
詩集

1891-93年の作品を収めた『舊詩帖』、長編詩『若きパルク』、1917-22年の作品を収めた『魅惑』があり、これらをまとめた『ポール・ヴァレリー詩集』が1929年に刊行された。[3]

詩人としてはマラルメに傾倒し、ボードレール、ジョゼ・マリア・ド・エレディア、ヴェルレーヌ、ランボーに多くを学び、音楽性に才能を示したが、古典的伝統的形式により詩作を行い[6]象徴主義の詩人とはみなされておらず、「(象徴派の)複雑さからヴァレリイは綺麗に洗はれている」「ヴァレリイの世界は象徴派のそれのように平易ではない」(石川淳[7])とも評される。詩論においてはマラルメの実験の理論化を試み、近代詩学を創設するものとも言われる[6]

『若きパルク』La Jeune Parque 1917年

『海辺の墓地』Le Cimetiere marin 1920年

『舊(旧)詩帖』Album des vers anciens 1920年

『魅惑』Charmes 1922年

小説その他『カイエ』『文学』などのアフォリズム集、『ヴァリエテ』は、各種時評・講演筆記 他の小文で編集され5冊刊行。

『カイエ B』Cahier B 1910年

『テスト氏との一夜』La Soiree avec monsieur Teste 1919年

『ダ・ヴィンチ論』Introduction a la methode de Leonard de Vinci 1919年

『魂とダンス』L’Ame et la danse 1923年

『ヴァリエテ』Variete 1924年

『ロンブ』Rhumbs 1925年

『ルイス宛の十五の書簡』1925年

『文学』La Litterature 1929年

『ヴァリエテ U』Variete II 1929年

『モラリテ』Moralites 1931年

『現代世界の考察』Regards sur le monde actuel 1931年、文明批評

『固定観念』L’Idee fixe 1932年

『ヴァリエテ V』Variete III 1936年

『ドガ・ダンス・デッサン』Degas, danse, dessin 1936年

『象徴主義の存在』Existance du Symbolisme 1938年

『ヴァリエテ W』Variete IV 1938年

『メランジュ』Melange 1939年

『テル・ケル』Tel quel 1941年

『邪念その他』Mauvaises pensees et autres 1942年

『ヴァリエテ X』Variete V 1944年

『わがファウスト』Mon Faust 1946年、最晩年の戯曲作品

主な日本語訳

『レオナルド・ダ・ヴィンチの方法序説』(1895年)

『レオナルド・ダ・ヴィンチの方法』(山田九朗訳、
岩波文庫、復刊2017年)

『レオナルド・ダ・ヴィンチ論』(塚本昌則編訳、ちくま学芸文庫、2013年)[8]

『レオナルド・ダ・ヴィンチ論 全三篇』(恒川邦夫・今井勉訳、平凡社、2013年)


『ムッシュー・テスト』(1896年)、(清水徹訳、岩波文庫、2004年)。唯一の連作小説集、最初の訳書は小林秀雄訳『テスト氏』(1932年)

『若きパルク』(1917年)韻文詩で自身による改訂が幾多もなされた

『若きパルク/魅惑』(中井久夫訳注[9]みすず書房、改訂版2003年)


『海辺の墓地』(1922年、『魅惑』に所収)

※他にヴァレリー最晩年の詩集『コロナ/コロニラ』(中井久夫・松田浩則共訳注、みすず書房、2010年)


『方法論的制覇』、ドイツ評論ほか、文明批評

『精神の危機』、ヨーロッパ文明評論

『精神の危機 他十五篇』(恒川邦夫訳、岩波文庫、2010年)

『精神の政治学』(吉田健一訳、中公文庫、2017年)。4篇収録の抜粋、新版解説は四方田犬彦


『ヴァリエテ T?X』 (1924年 - 1944年)、ヴァレリーの代表作で評論集※Tが最初期の訳書。中島健蔵佐藤正彰訳、Uは寺田透安士正夫訳、各・白水社[10]

『ヴァレリー・セレクション』(東宏治・松田浩則編訳、平凡社ライブラリー(上下)、2005年)、代表作の新訳版。


『エウパリノス』 (1921年)、プラトンの対話形式を用いた、建築、音楽評論。

『エウパリノス・魂と舞踏・樹についての対話』(清水徹訳、岩波文庫、2008年)


ドガ ダンス デッサン』(1936年)、(清水徹訳、筑摩書房、2006年)[11]

『ドガ ダンス デッサン』(塚本昌則訳、岩波文庫、2021年)


全集・作品集

『現代世界文學全集25 ヴァレリイ 若きパルク・我がファウストほか』
新潮社、1955年

『ヴァリエテ』人文書院 2巻組、1966年(全訳版・限定1800部)。鈴木信太郎・佐藤正彰 編


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