ポートアイランド
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第2期(南部)1987年(昭和62年)2010年(平成22年)3.90 km2 (390ha)[7]港島南町・港島

町名
港島(みなとじま)
海岸沿い(南岸を除く)
港島中町
北部(海岸沿いを除く)
港島南町
南部(東岸を除く)
歴史
構想と建設建設中のポートアイランドの航空写真

戦後の高度経済成長期に、神戸港の港湾貨物の取扱量は予想以上の伸びを示し、これにより入港船の滞船が慢性化していた。神戸市は新港第7突堤・第8突堤や兵庫突堤、摩耶埠頭などの建設により、港湾施設の増強に努めるものの滞船は減少するきざしがなく、それをさらに上回る勢いで貨物量は増加する一方であった。また、当時は明治時代に建設された新港突堤を中心に運用されていたが、いずれも施設が古く、特に世界海運界のコンテナ化が進むなかで、従来の狭い埠頭ではコンテナヤードとしての利用は困難であった。そのため、新たに建設する埠頭は、バース数の多く大規模なものを早急に建設する必要が生じた。加えて、背後の市街地では開発がしつくされ[* 1]、港湾に付随する貿易関連などの諸施設用地などの取得はきわめて困難で、新たにこれらの用地も確保、造成する必要があった。一方、都市施設に対する市民の要求も多様化し、政治、経済、商業、文化等の都市機能を受け入れることのできる新しい都市空間の創造が必要となった。これらのことから、1963年11月に最初のポートアイランド構想が浮上した。

計画にあたっては、
世界海運界のコンテナ化に対処し、従来の櫛形突堤では求められなかった広い埠頭、コンテナバースを建設する。

外貿貨物量の急増に対処し、大幅な定期船バースの増加をはかる。

バース使用のいっそうの効率化をはかるため、専用貸付方式を実施する。

高度の機械化荷役をはかるとともに、経岸荷役を促進し荷役費の軽減をはかる。

造成用地は神戸港将来の発展のために利用し、業務商業用地、貿易関連産業用地、都市再開発用地、交通ターミナル、住宅用地、緑地公園等を配置し、うるおいのある港湾都市づくりをすすめる。

の5つの目標が掲げられた。

このような方針にもとづいて、新港突堤の南に扇状にひろがる第2防波堤、第3防波堤に囲まれた水面にE字型の人工島として計画されたのがポートアイランドである。1966年2月28日の「ポートアイランド埋立基本計画」によりポートアイランド誕生への第一歩が踏み出された。同年4月14日には、早くも護岸工事が着工され、翌年1967年4月7日には高倉山を中心に、横尾、名谷および西神総合運動公園地区の広範囲の土砂や、建設残土を合わせた約8千万m3の土砂によって埋立が開始された。掘削された跡地は須磨ニュータウンの中核をなす住宅地へと開発され、「山、海へ行く」を合言葉としてこれら一体の開発が進められた。埋立工事は神戸市が、防波護岸、物揚場、危険品バースは運輸省第三港湾建設局が、コンテナバース、ライナーバースは阪神外貿埠頭公団が、それぞれ設計施工を担当。底開式バージのほか、新たに開発されたバケットホイール式アンローダー・シフタブルコンベヤシステム等により揚土埋立、サンドドレーン工法やプレロード工法、振動締固め工法等の地盤沈下対策を行いながら、着工より15年の歳月をかけて建設が進められた。

1981年2月4日、ポートアイランド合同完工式が行われ、埋立面積436ha、全体事業費5,300億円(港湾施設設備1,477億円、埋立地造成742億円、公園緑地整備99億円、交通関連施設整備637億円、都市機能上物整備2,345億円)、埋立土量8,000万m3、計画人口約2万人、計画戸数約6,500戸の、竣工当時世界最大の人工島として、埋立が完了した。まちびらきに合わせ、ポートピア'81(神戸ポートアイランド博覧会)が開催された。当初の予想を大幅に上回る入場者が訪れ、地方博内で最多の入場者数を記録し(現在でも記録は破られていない)大成功を収めた。その後の地方博ブームのさきがけとなったほか、まちびらきにあたって博覧会を開催するという手法は横浜博覧会横浜市みなとみらい21地区)など各地で用いられるようになった。

ポートアイランドの基本的施設として、ポートスクエア・インターナショナルスクエア・総合業務センター・コミュニティスクエア・マリンパークの5つの基本ゾーンが設定された。ポートスクエアは埠頭港湾機能、インターナショナルスクエアは多目的広場・インターナショナルトレードセンター・エキゾチックタウン、総合業務センターはポートアイランドの総合管理運営機能、コミュニティスクエアは住宅生活機能、マリンパークは海や港に接する公園としてそれぞれ整備が行われ、これらは都市緑地軸でつながれている。
第2期建設

当時の神戸港は、ニューヨークロッテルダムに続き世界3位のコンテナ取扱量を誇るアジアを代表する貿易港であった。ポートアイランド東沖では六甲アイランドを並行して建設していたものの、貨物量は増加する一方であり、さらなるコンテナバースの建設が急がれた。すでに完工しているポートアイランドの南側海岸堤防に隣接する形で建設されたものがポートアイランド第2期である。これによりすでに完工している部分を、第2期と区別する場合に第1期と呼ばれるようになった。国際化や情報化などの、さらに新たなニーズに対応した港湾設備および都市機能を整備し、第1期埋め立て地区と一体となった都市空間の形成を図ることを目的として、1987年3月より埋立が開始された。

埋立面積390 haと第1期地区と比べると一回り小さいものの、より神戸港の沖合に位置していたことから、埋立土量は9,200万m3[8]と第1期よりも多い土量で埋立された。埋立用土砂は、現在の神戸複合産業団地を中心に、神戸流通業務団地、神戸研究学園都市地区から掘削し、水深-2 mまでは底開式バージ、-2 mより浅い部分は揚土船等による揚土、運搬、埋立の一貫システムで造成された。住宅機能用地は確保せず、主に埠頭用地や製造工場用地、業務施設用地で構成され、面積の2割である78 haを緑地・スポーツレクリエーション緑地に充てるなど、人・物・情報が交流する緑豊かな環境にやさしい新しいまちづくりを念頭に建設が行われた。

第2期建設による大型貨物自動車等の交通需要の増加と、第2のアクセス確保を目的として、1992年に神戸港港島トンネルの着工にこぎつけ、防災面の強化が図られた。
震災の発生液状化現象が発生した第1期北部地盤沈下で倒壊したガントリークレーン液状化現象により傾いた駐車車両と、海に転落して浮かぶコンテナ。液状化現象により、駐車中に横転したコンテナトレーラー用のシャーシー車体。元々の高さである右側岸壁より激しく陥没した倉庫施設

第2期埋立途中の1995年1月17日に、兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)が発生、ポートアイランドにも大きな影響を与えた。

第1期埋め立て部分全域で大規模な液状化現象が発生し[* 2]、島内すべてのコンテナバース等が破壊され、ガントリークレーンも大きく傾き使用不可能となった。また、神戸大橋の橋脚にズレが生じ三宮側が破壊され自動車の通行が不可能に、ポートライナーも橋脚の落下や駅舎の損壊が生じ運行休止となった。当時はまだ神戸港港島トンネルが開通しておらず、島が孤立する事態となった。神戸大橋には水道管2本が設置されていたが、通水していた1本(もう1本は将来需要を満たすために作られたもので通水されていない)が陥落して人工島の防災上の弱さを露呈した。孤立した島内の負傷者は、島内の神戸市立中央市民病院に集中した。

市内の需要をカバーするため、第1期・第2期に約3,100戸の第1?第7仮設住宅が建設され、被災者を受け入れた。他地域よりも広大な敷地を使用できたために大規模な仮設住宅の建設ができたもののそれでも用地は不足するほどであった。1999年末までの約5年間にわたり使用された。

唯一の交通手段であった神戸大橋は早急に復旧が強いられ、車線を大幅に減少した状態で一部復旧したものの終日渋滞が慢性化しており、ポートライナーの代替バスが橋を渡るだけで1時間近くかかることもあったほど混雑していた。同年8月1日より渋滞緩和の目的で、新港第三突堤より340mの仮設橋(KD橋)が架けられた。翌年1996年6月27日まで供用され、7月4日には全面復旧した。なお、ポートライナーでも急ピッチで復旧工事がすすめられ、震災発生年の5月22日と6月5日に部分開業、7月31日に195日ぶりに全線が復旧開通した。「神戸新交通ポートアイランド線#震災の発生」も参照

震災発生年の6月30日、神戸市は「神戸市復興計画」を発表、神戸港の復興を目的として、ポートアイランド第2期に国内初の水深15m以上の高規格コンテナターミナルの整備、およびシンボルプロジェクトとして「神戸起業ゾーン整備構想」を選定[9]、インキュベーションの拠点となる中核施設を整備し、優遇税制、規制緩和、総合保税地域制度などを特長とする「エンタープライズゾーン」を設置することとした[10]。これがのちの神戸医療産業ゾーンへとつながる。

コンテナバースの復旧は暫定供用開始した後、「打手替え」方式によって本格復旧工事が行われ、1997年3月31日に港湾施設が全面復旧。5月19日に、神戸市は「神戸港復興宣言」を発表。同年に市民広場駅より世界最長である全10本のムービングウォークを設置し第1期部分と第2期部分と間のアクセスを向上、防災機能の強化とともに島全体が一体となっての再興を図った。


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