日本国内では1993年まで、1ポンド = 0.453 592 43 kg が使われ続けた。この値はアメリカにおける1894年の定義、1ポンド = 0.453 592 4277 kg に基づき、1953年制定の計量法施行法および(旧)計量単位令
に法定されていたものであって、1959年に国際ポンド(= 0.453 592 37 kg)が定められた後も改正されなかった。この国際ポンドの定義と日本国内でのポンドの定義との齟齬は、計量単位令[12]が1993年に改正・施行されるまで、35年間も放置されていた。イギリスでは、1878年の度量衡法
(英語版)によってポンドが正式に定義されたが、その後、1883年には計測がされ直され、0.453 592 4277 kgが正確な値だとされた。1898年に、この値を丸めた 0.453 592 43 kg ちょうどを正式な1ポンドとした[13]。この定義は帝国ポンドと呼ばれ、1963年に国際ポンドに切り替えるまで使われた。アメリカでは、1893年4月5日のメンデンホール指令によって、ヤードがメートルを基準として、ポンドがキログラムを基準として定義されることになった。メンデンホール指令それ自体は、1866年の法令による換算値 1ポンド = 1/2.2046 kg としている(ただし注記において、より正確には1ポンド = 1/2.20462 kg とした上で、法令の換算値 1ポンド = 1/2.2046 kg は通常の換算には十分に正確であるし、高精度の計測にはキログラムが使用されるので換算は不要であるとしている)。
1893年の Coast and Geodetic Survey Report(この文書はメンデンホール指令の文書を含んだものである) では、換算値として、
1 ポンド = 1/2.2046 kg
1 ポンド = 1/2.20462 kg
2.204 622 34 ポンド = 1 kg
1 ポンド = 453.592 427 7 グラム
の4つの関係式を掲げている。これらはそれぞれ次の換算値を意味することになる。後の値と比較すると、
1ポンド ≒ 0.453 597 024 404 kg
1ポンド ≒ 0.453 592 909 436 kg
1ポンド ≒ 0.453 592 427 989 kg
1ポンド = 0.453 592 427 7 kg(1984年の米国の換算表)
1ポンド = 0.453 592 43 kg(後の1898年の英国での丸め)
1ポンド = 0.453 592 37 kg(後の1959年の国際ポンド)
しかし、翌年の1894年3月21日の換算表においては、イギリスの1883年の計測結果を受けて1ポンド = 0.453 592 4277 kg となった。その後イギリスでは1898年5月に値を丸めて、公式に 1ポンド = 0.453 592 43 kg と制定したが、米国では丸めなかったために、わずかの違いが生じることとなった[13]。このような経緯を経て1959年には国際ポンド = 0.453 592 37 kgを使うようになった。1894年の定義値と1959年の定義値との違いは、約 1.27 × 10?7 である。
1 常用ポンドは 16 オンス、7000 グレーンに等しい。したがってオンスは、1/16 ポンドであり、正確に 28.349 523 125 g である。前述の通り1959年の国際ポンドの定義値は、7で割り切れるように定義されたので、1 グレーンは正確に 0.064 798 91 g である。この常用ポンドとグレーンとの関係は、1584年に再定義された時から変わっていない。それまでは 1 常用ポンドは 7002 グレーンに相当していた。
トロイポンド詳細は「トロイ衡」を参照
トロイポンドは、イギリスの薬剤師や宝石商によって使用されていた単位である。その名前は、中世フランスの重要な商都であったトロワ (Troyes) に因む。カナダ、オーストラリア、イギリスなどでは、現在はトロイポンドは法定単位の地位を失っている[注釈 3]。その分量単位であるトロイオンスは、なお法定単位であるが、その使用は貴金属の取引に限定されている[注釈 4]。
トロイポンドと常用ポンドとの比率は 144/175 である。1 トロイオンスは 480 グレーンに等しく、1トロイポンドは5760グレーンに等しい。したがって、1 トロイポンド = 12 トロイオンスである。 なお、1 トロイオンス =(正確に)31.103 4768 グラム、1 トロイポンド =(正確に)373.241 7216 グラムである。 代表的な言語での呼び名は以下のとおりである。 ロマンス語派各言語における名称は、ラテン語のlibra(リーブラ。天秤の意味)に由来する。 イギリス以外のいくつかのヨーロッパ諸国でも、古くからポンド(またはその訳語)と呼ばれる単位が使われていたが、その量は国と時代によって異なる。たとえば、1820年ごろのアムステルダムポンドは 494.09 グラムだった。 それらは現在では使われないか、メートルポンドに取って代わられた。 ロシアでは、フント(Фунт funt)という単位が使用されていた (Obsolete Russian units of measurement
呼び名
英語: pound(パウンド)
オランダ語: pond(ポンド)
ドイツ語: Pfund(プフント)
ロシア語: Фунт funt(フント)
フランス語: livre(リーヴル)
スペイン語: libra(リーブラ)
イタリア語: libbra(リッブラ)
英米以外のポンド
メートル法以前
フント(ロシアポンド)
1フント=96ゾロトニク
40フントで1プードとなる。 国際単位系 (SI) を使ういくつかの国では、ポンド(またはその訳語)は、非公式ではあるが500グラムの意味で用いられる。これは、フランス革命後のメートル法の草創期にフランスで定められた値である。それらの国の多くでは、19世紀に正式にその単位名称を導入することが検討されたが、現在はどの国でも正式な単位名称としては認められていない。 オランダでは、ポンド (pond) は正式に1キログラム (kilogram) として、オンスは100グラムとして再定義
メートルポンド
メートル法を採用している国では、ポンドという言葉は俗語としては使われているが、はかりなどの計量装置にポンドは書かれていない。目盛りはグラム (g) やキログラム (kg) で書かれており、グラムで測ってからポンドに直す必要がある。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1]、"Mass"、pound の欄。
^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1]、"Mass"、ounce (avoirdupois)の欄、troy ouncepoundの欄。
^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1]、"Mass"の欄に掲げられていない。
^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1], Exceptions (e) the use of the troy ounce for transactions in precious metals.
出典^ a b c d “ ⇒RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS”. legislation.gov.uk. The Units of Measurement Regulations 1995. 2014年5月17日閲覧。
^ 計量単位令 別表第7 e-Gov法令検索
^ “pound (noun) weight 4” (英語). Oxford Advanced Learner's Dictionary. 2022年8月24日閲覧。
^ “計量単位規則”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2014年5月17日閲覧。