ボランティア
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これらは英語では「Paid Volunteer(有償ボランティア)」と区分する[12][13][14][15][16][17]。国際機関の傘下でボランティアする際には、他国に住んでいる間は住居費や旅費を負担してくれるケースもある。なんのために有償ボランティアがあるのかというと、退職済又は無職で関心のある組織へ自己スキルを共有したいと考えている人、ボランティア活動をしたいが生活費を支払うために稼ぎが必要である人、ボランティアを有給フルタイム職に変えたいと考えている人、この3種の人々のためにある[13]

企画者が営利的・商業的に行っている場合は、「商業ボランティア(commercial volunteering)と呼ばれる[18][19][20]。ボランティア活動と観光を兼ねた旅行である「ボランティアツーリズム[21](ボランティア観光( Voluntourism)」という用語は受ける側に屈辱的であるとして、商業・非商業を問わず「ボランティア活動を旅行体験として市場化することを体現している」と皮肉っている。異国情緒ある国々を旅行する観光パッケージとなっていること、非倫理的ボランティア団体が大金を稼いだり、発展途上国の貧困を悪用していることに批判がある[22]インディペンデント紙は安易な国外ボランティア・ボランティアツーリズムを批判している。英国の大手慈善団体は、利他的な旅行者は、動機の善悪を問わず、最終的には受け入れ先コミュニティに害を及ぼし、現地の児童虐待を助長する可能性さえあると警告している。慈善団体のエグゼクティブディレクターであるマーク・ワトソンは、他者を助けたいという願望自体は称賛するが、あまりにも多くの商業ボランティアが結局、援助を提供する側と、援助受けるべき人々の双方がボランティア活動を悪用する状況になったと明かしている[23]
世界各国のボランティア
米国米国での動物園ボランティア

ハーバード大学によると、ボランティア活動は喜びを高めるのに有効であると推奨している者もいる[24]。また、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者は、ボランティア活動などの親社会的な活動は、魅力を高めるのに有効であると推奨している[25]超高齢社会に向かいつつある社会背景の中で、アメリカ合衆国では定年退職者や高齢者の社会参加の一環として、若者開発途上国でのボランティアを平和部隊として組織した先例に倣って、高齢者が学校や障害者、引きこもりの児童などに社会的なボランティアを展開するのをアメリコー(AmeriCorps、アメリカ部隊)と名づけて、アメリカ合衆国連邦政府から経済支援を与えることにした。

アメリカ合衆国では、州によって高校生・大学生の時期に、5,000時間ほどボランティアに従事すると、就職のためのキャリア形成につながるというシステムがある。ボランティアを募集する機関と、ボランティアをしたことを認定する機関や認定資格者が制度的に確立し、一定の活動条件を満たした場合には本人にボランティア認定証が発行される。
ロシア

ロシアで開催された2018 FIFAワールドカップのボランティアの活躍でロシアの印象が前後で一変したと評価されている。現地取材した記者は頼りになるボランティアスタッフの存在の大きさを指摘している。大学生を中心としたロシアのボランティアスタッフがスムーズな英語を話せたこと、スタジアムだけでなく鉄道駅空港繁華街などでの積極的なサービスが印象的だったと述べている[26]
日本

「ボランティア」「NPO」は、2002年1月18日株式会社角川グループホールディングス(当時は、株式会社角川書店)が商標登録出願、2003年4月25日に登録されたが、2005年5月10日に商標登録を取消されている。2012年に厚生労働省が日本国内のボランティア活動者を対象として実施した調べでは、最大のボランティア人材源となっているのは主婦層および高齢者層である[27]

1995年阪神・淡路大震災では、全国から大勢のボランティアが被災地に駆けつけたことから、「ボランティア元年」とも呼ばれる。震災が起きた1月17日を「防災とボランティアの日」としている。東日本大震災で罹災した男性が、返しとして災害ボランティア活動に参加するようになり、熊本地震西日本豪雨北海道胆振東部地震の復興に助力している。このように、被災した過去のある人々が返しとして、他の被災地でボランティア活動や支援活動に参加する動きが、日本に広がっている[28][29][30][31][32][33][34][35][36][37][38][39][40][41][42]

災害ボランティアの概数[43]災害人数集計期間
阪神淡路大震災138万人1995年1月 - 96年1月
新潟県中越地震008万人2004年10月23日 - 05年3月31日
新潟県中越沖地震003万人2007年7月 - 12月
東日本大震災102万人2011年3月 - 12年3月
広島土砂災害004万人2014年8月 - 12月

観光客的ボランティアへの批判

兵庫県西宮市今村岳司市議会議員(当時)は、阪神・淡路大震災での被災体験を振り返り「ボランティアは、被災者が食うべきものを食い、被災者が飲むべき水を飲み、被災者が寝るべきところで寝(た)」と述べ、当時のボランティアのことを「観光気分で来た自分探し」「ただの野次馬観光客」「人から感謝されることを楽しみにやってきただけ」等とし、「要はプロに任せること」「被災地に必要なのは、プロだけ」であり[44]、「部隊の指揮下で日本のために自分を犠牲にできる人だけが、「ボランティア=義勇兵」として現地入りすべき」だと指摘した[45]
インフラ復旧前時点でのボランティア問題

2024年1月の震災による道路崩落や海岸地盤隆起で現地入りルートが限られている能登地域のような地域では、道路が復旧していない際に自衛隊などプロ支援組織以外が集まると渋滞の原因になる。多くの支援物資を積載した自衛隊などの災害支援車両が一般車両の渋滞に巻き込まれる自体が起きている。石川警察は同月4日朝から、被災地方面へ向かう車の量を抑えるための措置を取った[46][47][48][49]。輪島市でも2024年1月6日時点では地震被害により各種インフラが整っていないため、ボランティア等で大勢の方が来られると混乱を招き2次災害につながる危険がありますので、現時点ではボランティアの受付はしておりません」と受け入れ体制が整うまで待つように告知している。


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