しかし事態は転じ、2013年7月に「大人向けの映画を構想していたコーエンに対し、ファミリー層にアプローチしたいクイーン側との相違があった」としてコーエンが降板を発表[21]。降板について、クイーン側(ブライアン、ロジャー)は「コーエンがコメディアンとしても著名なことから映画の方向性がぶれてしまう」[22]、コーエン側は「映画の主題(特に1991年のフレディ死去後も描くべきか)についてクイーン側との方向性の違いがあった」、「モーガン、デヴィッド・フィンチャー、トム・フーパーらの製作チームもクイーン側と食い違いがあった」[23]とそれぞれコメントしている。
同年12月にはベン・ウィショーがフレディ役へ浮上。この段階ではフレッチャーが監督候補として挙がっていたものの[24]、翌年にはキングとの方向性の違いからプロジェクトを離脱[25]。ウィショーも脚本などにおいて製作上の問題が発生していることを明かしたのち[26]、降板を発表している[27]。その後も制作陣のラインナップには難航し、コーエン[27]やウィショーの再登板の噂も出た[28]が、いずれも実現していない。
2015年11月、脚本家のアンソニー・マクカーテンがプロジェクトに加わり、クイーンの同名の楽曲に因んだ『Bohemian Rhapsody』というワーキングタイトルで動いていることが明かされたほか[28]、2016年には監督にブライアン・シンガーを据えるための交渉に入り、フレディ役にラミ・マレックがキャスティングされ、20世紀フォックスとニュー・リージェンシーが取り仕切ることを発表[29]。同年内にジョニー・フリンがロジャー役、ジェマ・アータートンがフレディの長年のガールフレンドのメアリー・オースティンを演じる予定であることも伝えられた[30]が、この二人については後にキャスティングが変更されている。
2017年5月、マレックがアビー・ロード・スタジオで録音を行い、ロジャーのアパートでロジャー、ブライアンと直接相談したことが報じられた[31]。同月、『エンターテインメント・ウィークリー』はロジャーとブライアンが本作の音楽プロデューサーとして働いていることを報じた[31]。 前述のようにマレックのキャスティングが決定したのち、2017年8月21日にはロジャー役のベン・ハーディ、ブライアン役のグウィリム・リー、ベーシストのジョン・ディーコン役のジョゼフ・マゼロが[14]。8月30日にはポール・プレンター役のアレン・リーチが[16]、9月6日にはメアリー・オースティン役のルーシー・ボイントンが追加キャストとして発表された[13]。 プリプロダクションが2017年7月から、主要撮影が9月からそれぞれロンドンで開始され[32]、9月7日からはボービンドン空軍基地で、クライマックスシーンでもある旧ウェンブリー・スタジアムでの「ライヴエイド」のシーン撮影が行われた[33]。より精巧なステージのレプリカを制作するため、クイーンのアーキビストも担当していたグレッグ・ブルックスが監修を行い、細かな小道具なども再現された[34][35]。
キャスティング
撮影