ボブ・ディラン
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また同年9月から10月はじめには、マーティン・スコセッシ監督によるドキュメンタリー『ノー・ディレクション・ホーム(No Direction Home: Bob Dylan)』がテレビで放映された[114][注釈 38]。ディラン本人の他、デイヴ・ヴァン・ロンク、スーズ・ロトロ、ジョーン・バエズ、アレン・ギンズバーグ、ピート・シーガーら関係の深い人達が出演した。またサウンドトラックは未発表曲で構成され、『ノー・ディレクション・ホーム:ザ・サウンドトラック(ブートレッグ・シリーズ第7集)』として発表された。この作品は、後に劇場公開されて翌年にはDVD化、2006年4月にはピーボディ賞[115]、2007年1月にはコロンビア大学デュ・ポン・アワード[116]を受賞している。

2006年3月からは、ラジオ番組『Theme Time Radio Hour』で、初めてDJを務めている(アメリカの衛星ラジオ局、MX・サテライト・ラジオの「ディープ・アルバム・ロック・チャンネル」にて放送)。5月、故郷のダルースで、ディランに関する地を巡る全長1.8マイルの道路に標識が設置され、「ボブ・ディラン・ウェイ」と命名された。毎年5月には、誕生日を祝うイベントも開催されている[117]

同年8月29日には、5年ぶりのアルバム『モダン・タイムズ』を発表。このアルバムは、9月16日付ビルボードアルバムチャートで『欲望』以来、30年半ぶりの1位を獲得[118]した。また、このアルバムにも収録されている「サムデイ・ベイビー("Someday Baby")」は、ビルボードで98位と23年ぶりの100位以内に到達したシングル曲となった。米ローリング・ストーン誌や英Uncut誌は、このアルバムを2006年の年間ベスト・アルバム1位に挙げ[119][120]2007年2月のグラミー賞では、『モダン・タイムズ』と「サムデイ・ベイビー」で2冠を獲得した。ノルウェーオスロでのステージ。右側2番目でキーボードを弾いているのがディラン(2007年)

2007年2008年の2年間をデビュー45周年とし、「DYLAN ICON」キャンペーンを実施。全キャリアを総括するベスト盤『DYLAN』発売を皮切りに、「我が道を行く("Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)") 」のリミックスの発表、「ニューポート・フォーク・フェスティバル」完全版DVD化、『オー・マーシー』から『モダン・タイムス』のアウトテイクやライブ音源などを収録した『テル・テイル・サインズ(ブートレッグ・シリーズ第8集)』の発売など、ディランの再評価を象徴する動きが見られた。

2007年10月には初の個展となる「The Drawn Blank Series」が、ドイツのケムニッツにて開催された。これは、1989年 - 1992年の間に描いたスケッチ(1994年に画集 "Drawn Blank" として発刊された)をもとに、ディラン自身が新たに手を加えて制作された絵画の展覧会である。2008年にはロンドンでも開催され、以後世界各地で展開されている。日本でも、2010年11月に六本木で開催された。

2008年には「卓越した詩の力による作詞がポピュラー・ミュージックとアメリカ文化に大きな影響与えた」としてピューリッツァー賞特別賞を受賞した[121]2009年4月、スタジオ・アルバム33作目となる『トゥゲザー・スルー・ライフ』を発売。ビルボード200全英アルバム・チャートの両チャートで初登場1位を記録した[122][123]。10月、売上印税を国際的な慈善機関に寄付するクリスマス・アルバム『クリスマス・イン・ザ・ハート』を発売[124]
2010年代
ノーベル文学賞受賞

2010年3月、9年ぶり6度目の日本公演で、Zepp OsakaZepp NagoyaZepp Tokyoの3か所で行われた[125]

レコードデビュー50周年を迎えた2012年には、バラク・オバマ大統領より大統領自由勲章(文民に贈られる最高位の勲章)が授与された。9月には、35作目となる『テンペスト』を発売した。

2016年10月13日、「アメリカ音楽の伝統を継承しつつ、新たな詩的表現を生み出した功績」を評価され、歌手としては初めてノーベル文学賞受賞が決定した[8]。発表からしばらく沈黙を守っていたが、同月28日に授賞を受け入れると発表した[126]。2週間も沈黙し続けた理由について、「あまりの事に、言うべき言葉が見つからなかった」と答えている[127]

2017年、収録曲が全てカバーソングであるCD3枚組のアルバム『トリプリケート』を発売した。
2020年代

2020年、自身のYouTubeチャンネルで、以下の3曲を発表した[128]

「最も卑劣な殺人(英語版)」(3月26日発表)

「アイ・コンテイン・マルチチュード(英語版)」(4月17日発表)

「偽預言者(英語版)」(5月8日発表)

6月19日、上記の3曲を含む、8年ぶりとなるオリジナルアルバム『ラフ&ロウディ・ウェイズ』を発売した[129]

2020年4月に日本公演(追加公演を含めて4会場15公演[130])を予定していたが、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行のため中止となった[131]。12月7日、ユニバーサル ミュージック グループが、ディランの全楽曲の著作権を取得したと発表した[132]

2022年1月24日に米国のソニー・ミュージックエンタテインメントは、今後の新曲を含むディランの全楽曲の原盤権を取得したことを発表した[133]
影響・語録など

「ディランは最高だった」 -
ジョン・レノン

「自分達が難解な歌詞を曲にできるようになったのは、ボブ・ディランが売れた前例のおかげ」 - スティーリー・ダン

「ボブ・ディランのような歌詞を、フィル・スペクターのようなサウンドに乗せて、ロイ・オービソンのように歌いたかった」 - ブルース・スプリングスティーン

ディラン効果 …歌のあるフレーズが頭の中から離れない「イヤーワーム」の別称。一説にディランの歌がイヤーワームを起こしやすかったことから。

日本への影響

ディラン・ファンのフォーク歌手は1960年代から岡林信康高田渡加川良などかなりの人数がいた。だが、レコードの売上は伸びなかった。レコードの売上が伸びる契機となったのは、ディランの影響を強く受けた吉田拓郎[134][135]、1970年代初頭にラジオの深夜放送や音楽誌の取材などでディランを熱心に語ったことが一つの原因であるといわれている[136][137][138]


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