ボブキャット
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メラニン色素の多い黒いボブキャットはフロリダ州で捕獲されたが、これも黒くても斑点の柄が付いていた[10]

顔の形は耳からの長い飾り毛の為に横に広がって見える。毛は深くはないが意外に長く密集している。鼻はピンクがかった赤で、顔、側面、後ろはグレーか黄色・茶褐色がかっている。目は黄色で黒い瞳孔である[11]瞳孔は縦長で夜間の活動時には広がり、光を取り入れられるようになっている[12]。また、ボブキャットは聴覚視覚嗅覚が鋭い。木登りが得意で、通常は水を避けるが必要であれば泳ぐこともある[13]

大人のオスのボブキャットは体長が28 - 47インチ(70 - 120センチ)で平均的には約36インチ(90センチ程である)。これは4 - 7インチ(10 - 18センチ)の太い尾を含み、この短い尾が名前の由来となっている。大人は体位が肩の高さで14 - 15インチ(36 - 38センチ)くらいである。大人のオスは通常16 - 30ポンド(7 - 14キロ)でメスは平均20ポンド(9キロ)くらいである。ボブキャットは筋肉質の体型で後足が前より長い。生まれるときは0.6 - 0.75ポンド(280 - 340グラム)程度で体長は10インチ(25センチ)位である。最初の一年で約10ポンド(4.5キロ)位にまで成長する[13]

北方に生息するものや開けた地形に生息するものほど身体が大きいとされる[14]。ただ、オスの身体が大きな地点ではメスの身体も大きいわけではなく、体サイズに働く進化的制約は雌雄間で異なる可能性が示唆されている[15]泥に残されたボブキャットの足跡。後ろ足(上)の足跡が前足(中)と部分的に重なっている。
足跡

ボブキャットの足は爪が伸縮性がある為、足跡の爪先に爪の跡はできない。足跡は1 - 3インチ(2 - 8センチ)位で、平均すると大体1.8インチくらいである[16]。歩行時或いは早歩きの際の歩幅は大体8 - 18インチ(20 - 46センチ)である。走る際の歩幅はかなり大きく、大抵は4 - 8フィート(1 - 3メートル)にもなる[17]。他の猫同様、ボブキャットも後足の足跡が前足の足跡の上に直接乗るように跡が出来る(右の写真を参照)。ボブキャットの足は一般的に野猫やイエネコよりも大きく、足跡は大体2平方インチ(13平方センチ)に対し1.5平方インチ(10平方センチ)とはっきりと違いが分かる[18]
行動的特徴

ボブキャットは薄明薄暮性で、通常、日が落ちる3時間前から夜中の12時ごろまで活動し、また再び日が昇る前から日が昇ってから3時間後まで活動する。この間、自分の獣道に沿って約2 - 7マイル(3 - 11キロ)歩き回る[13]。ただし、寒い時期には獲物の活動時間が日中になるため、秋から冬にかけてはボブキャットもより昼行性に近い行動を取る[12]
社会構造と縄張りカレーロ・クリーク・トレイルに居るボブキャット(カリフォルニア州サンノゼ

ボブキャットは明確な縄張り範囲を持ち、行動範囲はその内側に限られている。自分の縄張りは木に付けた爪の痕や尿、便の臭いでマーキングする。縄張りの中には、通常自身がねぐらとする場所の他に、縄張りの外縁にもいくつかの予備のねぐらがある。ねぐらは朽ちた丸太の洞や積み重なった枝、薮、または岩棚の下などに作られ、ボブキャット特有の強い臭いがする[19]

ボブキャットの縄張りのサイズは性別や獲物の分布により大きく変わる。国際自然保護連合 (IUCN) によると0.02 - 126平方マイル(0.6 - 326平方キロ)と言われている[14]カンザス州のある調査ではオスは約8平方マイル(20平方キロ)、メスではその半分以下という資料も出ている。また、遊牧するタイプのボブキャットは広範囲の縄張り(22平方マイル・57平方キロ)を持つが、その範囲はあまり明確ではない。子供の縄張りが最も狭く、およそ3平方マイル(7平方キロ)ほどである[20]。調査によると妊娠中のボブキャットの縄張りはオスと共に分布していることが分かっている[21]

季節的な違いについての調査結果は曖昧である。ある調査によればオスの縄張りは夏に16平方マイル(41平方マイル)で冬には40平方マイル(100平方キロ)という大きな差があることが分かっている[19]。更に別の調査でも、特に繁殖が盛んな時期のメスでは冬になると縄張りが広がるが、オスでは季節による変化があまり見られなかったという過去の調査結果に似たデータも出ている[22]。その他のアメリカのいくつかの州の調査結果では季節による大きな変化はあまりないともされている[23][24]

他のネコ科の動物と同じく、ボブキャットは多くの場合単独行動を取り、その縄張りは他個体と重複している。しかしネコとは異なり、オスは他と縄張りが重なっていることについて寛大であるが、メスは他の縄張りには滅多に足を踏み入れることはない。メスは縄張りの範囲が小さいため、2 - 3匹のメスが一匹のオスの縄張りで生活していると考えられる。オスの縄張りが重複している場合では通常個体間に上下関係が形成され、時には自分の好きな場所を譲り一時的に場所を変えることもある。

縄張りサイズの推定にばらつきがあるため、個体数の密度の推定値にも10平方マイル(26平方キロ)あたり1 - 38匹[14]と大きな開きがある。平均では5平方マイル(13平方キロ)あたり1匹と言われている[19]。個体数の密度と性比との間には相関があることが分かっている。カリフォルニア州におけるある調査では、個体数密度が高い集団では雌雄比はメス一匹に対してオスが2.1匹であったのに対して、個体数密度が低下すると メス一匹に対してオスは0.86匹となった。他の調査でも似たような比率が出ていることから、個体密度が増加して競争が激しくなると何らかの理由でメスよりオスの生存率が高くなり、個体密度が再び低下するまで繁殖頻度を抑える役割があるのではないかと考えられている[25]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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