ボディーボード
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このようなボードは「エキスパートボード」と呼ばれ、量産されるノーマルボードに対し、エキスパートボードはオーダーメイドでシェイパーが手作りすることが多い。NSA(日本サーフィン連盟)の競技規定では「長さは5フィート(152.4cm)以下。材質は表面の大部分がソフトかつ柔軟性のあるものとする。[8]」とあるが、特注オーダーでもしない限り一般的に販売されているボディボードなら問題は無い。ボードの各部には名称が付いている。
ノーズ
ボードを縦置きした際、上下の辺のうち幅の狭い方の辺をノーズという。ボードの上と言ったら通常はノーズを指す。ライディングの際に進行方向となる先端部分である。
テール
ノーズと逆サイドの幅の広い辺をテールという。ボードの操作性に影響する部分であり、目的に応じた性能を引き出すために、アーチテール、クレセントテール、フラットテール、バットテール、ラウンドテールなどの形状がある。
レール
ボードを縦置きした際に両サイドの長い辺をレールという。レールも操作性に影響し、全体のアウトラインも影響するが、ボードを真横から見た時のデッキとボトムの境目の位置が完全に中央か、少しデッキ寄りかでも操作性が変わってくる。
デッキ
ボードの両面のうち材質の柔らかい側で、体を乗せる面をデッキという。ボードの表(おもて)と言ったらデッキを指す。ボードに乗ったときに体が滑ってボードから落ちてしまうような場合は、サーフィン用のワックス(滑り止め)を塗って防止する。デッキの素材によっては水を吸いやすい場合がある。自分好みの色のデッキを選んで楽しむことができる。
ボトム
デッキと逆の面でボトムより硬い素材が使われる。ボードに乗った時に海に面した側で、ボードの裏と言ったらボトムを指す。素材にはサーリン(Surlyn)、HDPE、Bixbyなどが使用され、デッキと同様に様々な色がある。また表面の状態によってはステッカーを貼ることもできる。ノーズ寄りはデッキ側に反った形状となっており、これにより波を滑るときに海面に引っかかることなく滑っていくことができる。この反った形状をノーズロッカーという。またテール寄りには縦に浅い溝が入ったタイプのものがある。これをコンケーブ(チャネル)といい、ライディングの直進性を高める効果がある。
コア
ボードの内部をいう。コアの素材によりボードのしなり具合が変わってくる。素材はダウ(ポリエチレン)、アーセル、ポリスチレン、ポリプロピレンなどが使用される。これらの素材は高温で柔らかくなる性質を持つため、柔らかいダウコアは冷たい水に適しており、 硬めのアーセルコアやポリプロピレンコアは温かい水に適している。柔らかい素材に対しては内部にストリンガーと呼ばれる棒を差し込むことで、しなり具合を調整することもある。
フィン
足ヒレともいい、キッキングで推進力を得るために左右の足にそれぞれ装着する。硬いフィンはテイクオフの際に瞬発力を発揮でき、一方で柔らかいフィンは足への負担が小さいというそれぞれのメリットがある。長時間使用したり形状が足にフィットしないとフィン擦れで足を怪我することがあるので、その場合はフィンソックスを履いて防止する。波の衝撃によってフィンが脱げて紛失する危険性を防ぐためにはフィンテザースでフィンと足首をつなぐ。フィンのかかと部分に装着するフィンパッドもあり、テザースと比較して着脱が楽になるメリットがあるが紛失のリスクは上がる。ダイビング用のフィンとは形状が異なり、ボディボード用は激しく動かせるよう小型化されている。水泳トレーニングで使用されるハイドロテックフィンは元々ボディボード用に作られたものなのでそのまま使用できる。なお、サーフィンやロングボードで言う「フィン」とは一般的にサーフボードのテール寄りに付いているスケッグのことを指し、ボディボード用の足ヒレとは全く別物なので、サーフショップでの購入の際には注意が必要である。
リーシュコード
ボードの流れ止めとして、ボードと体の一部をつなぐコード。ボディボード用のリーシュコードは手首に付けるタイプと腕に付けるタイプがある。またコードは手や体にまとわりつかないようコイル状に巻いた伸縮自在のタイプが主流となっている。自身の安全のためだけでなく、ボードが流れて他人に当たる危険性を防ぐため、波乗りのマナーとして装着することが推奨される。
ウェットスーツ
海水浴シーズンなら特に必要としないが、寒いときの防寒用や、ボードなどで擦れる怪我防止の目的で着用する。サーフィンと同じものを使えるが、ボディボード向けに改良されたものもある。ボディボードでは常に肘とお腹がボードに付いているため、この部分が擦れにくいように強化されている。またウェットスーツにはいくつかタイプがあり、そのうち、気温が高くて水温の低い初夏は半袖長ズボンタイプのシーガル、気温が低くて水温の高い秋には長袖半ズボンタイプのロンスプ(ロングスリーブスプリングの略称)という使い分け方が一般的だが、主に腕でパドリングするサーフィンは腕の機動性の高いシーガル、バタ足をするボディボードは足の機動性の高いロンスプという使い分け方もある。
ボディボード特有の技術

サーフィンと共通する技術(パドル、ゲッティングアウト、ドルフィンスルー、テイクオフ、ボトムターン、トップターン、オフザリップ/リッピング、ローラーコースター、カットバック、リエントリー、フローター、プルアウト、アイランドプルアウト等)については、サーフィンの項を参照。
ビーティング(beating)
前進するためにバタ足をすること。キッキング(kicking)ともいう。ゲッティングアウトなどの移動の際や、テイクオフの際に行う。フィンを履くことでよりスピードを付けられる。ライディング中は基本的には行わない。
ドロップニー(Dropknee)
ボードの上に片膝立ちをした状態で乗るスタイル。ニー(knee)とは膝のことで、膝を落とすという意味であり、略してDKとも呼ばれる。ハワイのジャック・リンドホルム(Jack Lindholm)が第一人者であり、当初はジャックスタイルと呼ばれた[9]。ドロップニーは技ではなくライディングスタイルであり、競技ではドロップニー自体が評価されるのではなく、ドロップニーでどのようなマニューバーを描いたか、どのような技をかけたかが評価される。そのため通常の腹ばいスタイルよりも不安定で不利になるため、JPBA(日本プロボディボード連盟)等の試合ではドロップニースタイル限定で競技を行うドロップニークラスが設けられている。なお通常の腹ばいスタイルは、ドロップニーと区別してプローン、もしくはプローンスタイルと呼ばれる。サーフィンのように完全に両足で立つスタンディングスタイルもある。
スピン(Spin)
波の面に対し水平に回転する技。ボディボードならではの技で、見た目の華麗さや初心者には容易には出来ない難易度の高さから、非常に人気のあるテクニックである。腹ばいで回るという意味でベリースピンと言うこともある。スピンにはその回り方によっていろいろな呼び方がある。
フォワードスピン(Forward spin)
波を横方向へ走り沖側の方向へ回転をかけて回るスピン。レギュラーの波なら時計回り、グーフィーの波なら反時計回りとなる。一般的にスピンと言ったらフォワードスピンを指す場合が多い。
リバーススピン(Reverse spin)
波を横方向へ走り岸側の方向へ回転をかけて回るスピン。「リバース」は逆を意味する。波の斜面がきつくなるほどフォワードスピンより難易度が高くなる。なおスープ前などの平らな場所ではフォワード・リバースの難易度の差はほとんどなく、ノーズを持つ手の方向へ回転をかけるのがフォワードスピン、その逆がリバーススピンとされている。
エアリアルスピン(Aerial spin)
波のリップから飛び出し、空中でスピンをする。スピンがフォワードスピンの場合はエアフォワード(Air Forward)ともいう。
エアリバース(Air Reverse)
波のリップから飛び出し、空中でリバーススピンをする。エアリアルリバーススピン、または略してエアリバとも呼ばれる。
当てリバ(Hit & Reverse)
当て込みリバーススピンの略称。崩れる波に当て込みながらかけるリバーススピン。Hit & Reverseは作道雅明プロ監修の「ボディボード上達講座」[10]の中で紹介された呼称である。
ハンドスピン(Hand spin)
手を水中に引っ掛けることで回転を与えるスピン。比較的容易に回すことができるが、レールワークを使わないため競技での評価は低い。
エルロロ(El rollo)
波のボトムからトップへかけのぼり、波が崩れるタイミングに合わせて1回転して着水する技。スピンと並んでボディボードで人気のあるテクニック。競技では、ボトムターンから波のリスクの高い部分を使うことによりスピンよりも高い評価を得られやすい。エルロロとはスペイン語で、エルは男性名詞に付く定冠詞(英語のthe)、ロロは巻いたり転がすように回る回転(英語のroll)を意味する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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