ボディマス指数
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

日本では、乳幼児健康診査に際しては、身長と体重を、別々に、パーセンタイル曲線(成長曲線)で、評価している[15]

世界保健機関WHOのワークショップは、乳幼児肥満の判定に、BMIを採用している(判定には、BMIのパーセンタイルを用いる)[16]。また、米国疾病予防センターCDCも、小児の肥満については、BMIを求めて、BMIのパーセンタイル曲線(File:BMIBoys_1.svg)で評価している[17]
妊婦

妊婦の体重管理にも用いられ、妊娠週数によって正常範囲も異なる[18]

日本肥満学会では、妊婦のBMI値が、妊娠初期(5 - 16週)では 24.9   k g / m 2 {\displaystyle 24.9\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 、中期(17 - 28週)では 27.1   k g / m 2 {\displaystyle 27.1\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 、末期(29 - 40週)では 28.2   k g / m 2 {\displaystyle 28.2\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} を超える妊婦を肥満妊婦と判定する[19]

週齢下限上限
16 18.5   k g / m 2 {\displaystyle 18.5\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 23.7   k g / m 2 {\displaystyle 23.7\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}
20 19.3   k g / m 2 {\displaystyle 19.3\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 24.3   k g / m 2 {\displaystyle 24.3\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}
24 20.0   k g / m 2 {\displaystyle 20.0\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 25.5   k g / m 2 {\displaystyle 25.5\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}
28 20.6   k g / m 2 {\displaystyle 20.6\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 25.8   k g / m 2 {\displaystyle 25.8\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}
32 21.5   k g / m 2 {\displaystyle 21.5\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 26.5   k g / m 2 {\displaystyle 26.5\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}
36 22.2   k g / m 2 {\displaystyle 22.2\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 27.0   k g / m 2 {\displaystyle 27.0\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}
40 22.7   k g / m 2 {\displaystyle 22.7\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} 27.9   k g / m 2 {\displaystyle 27.9\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}

この両方の基準を比較すると、妊娠17週の場合には、両者の過体重の基準は、BMIで 3.2   k g / m 2 {\displaystyle 3.2\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}} ほど異なっている。身長 160   c m {\displaystyle 160\ \mathrm {cm} } の妊婦の場合には、過体重の基準は、 3.2   k g / m 2 × 1.6 m × 1.6 m ≒ 8.2 k g {\displaystyle 3.2\ \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}\times 1.6\mathrm {m} \times 1.6\mathrm {m} \fallingdotseq 8.2\mathrm {kg} } ほども、異なっている。

『産婦人科診療ガイドライン2011』によれば、「妊娠中の体重増加の推奨値に関しては統一見解がなく、介入研究も極めて少ない。したがって、厳しい体重管理を行う根拠となるエビデンスが乏しく、慎重な姿勢が求められる。厳格に体重増加を指導する根拠は必ずしも充分ではないと認識し、個人差を考慮してゆるやかな指導を心がける」としている。また、National Collaborating Center for Women's and Children's Health(英国)のガイドラインでは、初診時に身長体重を測定して評価を行い、栄養状態に問題がある場合のみ定期的に体重を測定し、通常の妊婦健診では体重を測定すべきでないと述べている(定期的な体重測定にはメリットはなく、妊婦に不必要な心配を与えるに過ぎないとしている)[20]
備考

かつて、厚生労働省の「肥満とやせの判定図」が使われたことがあった。これは、男女別の10歳ごとの肥満判定図であった。毎年の健診の評価に使用すると、10年に1回、使用する図が変わるが、その際に、前年に「普通」の判定を受けた人が、体重が不変であるのに、翌年に「肥満」の判定を受けることがあり得た。現在では使われていない。

小児科領域では、標準体重として、長い間「村田の表」が使われてきた。これは、男女別、1歳ごとの標準体重の表であった。誕生日が来て次の表を使う際に、年長の高身長の女児では、標準体重が一挙に数kgも増加することがあった。また、標準体重を表として固定すると、全員の体格が向上した場合には、全員が「肥満」と判定されることになる。現在は撤回されている。

歴史

「体重/身長2」からなる指数は、ベルギー数学者統計学者社会学者であるアドルフ・ケトレーによって1835年に開発された[21]。その後、ドイツオーストリア)の衛生学者イグナーツ・カウプ (Ignaz Kaup) によって小児の発育指数として利用されるなどして普及し、1972年のKeysらの研究[22]によってこの指数が体脂肪率とよく相関することが明らかにされたことによって、身体組成研究分野における重要な指数として位置付けられ、以後、BMIと呼称されるようになった。1985年には、GarrowとWebsterの研究[23]によって、肥満度の代替指数としての有効性が検証された[24]
遺伝性

BMIは遺伝要因の影響が大きく、双子研究による遺伝率の推定値は75%である[25]
BMIと平均余命の関係


喫煙しない米国の白人男性(左)及び白人女性(右)のBMIごとの10年後の相対的死亡リスク[26]。BMI:20-24.9が最も死亡リスクが低い

喫煙しないアメリカ合衆国の白人男性及び白人女性のBMIごとに、10年後の相対的死亡リスクについては、右図のように、BMI:20-24.9が最も死亡リスクが低い[26]

日本肥満学会では、BMI: 22の体重を標準体重(統計的に最も病気にかかりにくい体重)としている[27]

例えば、肥満と糖尿病は関連があり、40 - 59歳の男性で、糖尿病が強く疑われる人の割合は、BMI18.5 - 22で5.9%、BMI22 - 25で7.7%、BMI25 - 30で14.5%、BMI30以上で28.6%であった。なお、加齢を重ねていない20-39歳の男性ではこのような大きな差は出ていなかった[28]

厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大教授)による40歳代のBMIと平均余命を調査した研究で、太り気味 (25 ≦ BMI < 30)の人が最も長命である結果が得られた。「太り気味の人」に次いで、普通体重 (18.5 ≦ BMI < 25)の人、肥満 (BMI≧30)の人、やせた(BMI < 18.5) 人、の順で平均余命が高いことが判明した。なお、同じ研究で、医療費の負担は太っているほど重くなることも判明し、肥満の人が40歳以降にかかる医療費の総額はやせた人の1.3倍かかっていたという[29]。BMI 30 以上ではほぼ全ての人が脂肪肝であるが[30]、BMI 25 未満で且つ人間ドックの血液検査値に異常が無い群でも約30%が脂肪肝であったと報告され[31]、インシュリン抵抗性と食後高血糖が影響している可能性が指摘されている[32]

2011年に『The New England Journal of Medicine』に発表された論文によれば[33]、日本人を含む100万人のアジア人を調べて、BMIが22.6 - 27.5の人が最も死亡リスクが少ないことを報告している。

2013年1月に、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発表した研究結果によれば、BMIで「過体重」に分類されたグループのほうが、「普通体重」とされたグループよりも死亡リスクが6%低かった[34]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:58 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef