長距離旅客列車を運行するアムトラックのターミナル駅は路線によってサウス・ステーション(ボストン南駅)とノース・ステーション(ボストン北駅)の2箇所に分かれている。北東回廊とシカゴ・ラインは、ボストンのサウス・ステーション(ボストン南駅)から出発し、バックベイ駅で停車する。北東回廊の列車はニューヨーク、ワシントンD.C.およびその間のいくつかの駅に停車し、ボストン南西郊外のルート128駅にも停車する[106]。また、メイン州に向かうアムトラックのダウンイースターはノース・ステーション(ボストン北駅)から出ている[107]。 ボストンのダウンタウン地区の街路は、碁盤目状に整備されておらず、17世紀初頭以来、曲がりくねった形で成長していった。その時々の必要に応じて道が作られ、また波止場と土地の埋立てによって、小さかったボストンの半島が徐々に拡大してきたからである[108]。いくつかのロータリー交差点があるのに加え、一見でたらめに道の名前が変わったり、車線が途中で増減したりする。一方、バックベイ地区、イーストボストン地区、サウスエンド地区、サウスボストン地区では格子状の都市設計がされている。ボストンの道路の多くは、17世紀からの馬車道がもとになっている。馬車は今日でもたまに見かけることができる。 ボストンは、州間高速道路90号線(I-90)の東の終点である。90号線は、マサチューセッツ州内ではマサチューセッツ・ターンパイク(高速道路)と併走している。市を取り巻くように走る州間高速道路95号線(I-95)は、この地域では、州の伝統的な付番に従って、マサチューセッツ128号線(ルート128)と呼ばれている。合衆国1号線(U.S.1)、州間高速道路93号線(I-93)およびマサチューセッツ州3号線(ルート3)は、チャールズタウンからドーチェスターへと市内を南北に走る中央幹線をなしている。以前は、中央幹線の高架がダウンタウンを走っており、交通渋滞が絶えなかったが、ビッグ・ディグと呼ばれる工事が2006年初頭に大部分完成し、地下トンネルに置き換えられた。 ボストンには「ウォーキング・シティ(歩く街)」という愛称があるように、他の同規模の街に比べ徒歩での通勤・通学が大きな役割を果たしている。コンパクトな街であること、学生人口が多いことから、人口の13%が徒歩で通勤・通学しており、この割合は主アメリカの主要都市の中で最大である[注釈 4]。「バイシクリング」誌は2006年3月号で、ボストンを自転車には最も向いていない都市の一つとしているが[109]、それでも自転車通勤・通学の割合は最高クラスである[110]。2007年9月には市長により、自転車で走りやすい街にすることを目標とした「ボストン・バイクス」と呼ばれる計画が着手された。 現在、カトリックはボストンにおける最大の宗教的コミュニティとなっている[111]。 ボストンの文化的伝統は、周りのニューイングランド全体と多くの点で共通している。ボストン・イングリッシュと呼ばれる、音節末尾や子音の前の/r/を発音しない東ニューイングランドなまりや、魚介類、塩、乳製品に重点を置いた地域料理もそうである。ボストンの政治的・宗教的風土には、アイルランド系アメリカ人の及ぼした影響が大きい。土壌は20世紀初頭以来、ケネディ家、ティップ・オニール また、ボストンには「ボストン・スラング」と呼ばれる新語がある[113]。スラングといっても現在のボストン市はそれなりに大きいので、割と開かれた表現である。アンダーグラウンドなサブカルチャーとは、この地でビジネスが腐敗した時代に検閲が行われ、わいせつ描写と一括りに葬られた批判精神であり、それに対する挑戦が「ボストンでは禁止」などと揶揄されたのであった。
道路
文化
芸術ボストンのシンフォニーホール。