21世紀初頭においてボストンは学術・科学技術・政治の各面で中心的存在となっている。しかし、ニューヨーク・タイムズ紙に買収されたボストン・グローブ紙のように、消えてしまった地元企業[58]、ノースカロライナ州シャーロットに基盤を置くバンク・オブ・アメリカに2004年に買収されたフリートボストン・フィナンシャルのように、統合・買収によりなくなってしまった地域金融機関もある。ボストンを拠点とする百貨店であるジョーダン・マーシやフィリーンズも、ニューヨークを拠点とするメイシーズに吸収された。
メイシーズの経営者は、クーン・ローブ、リーマン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックス、他多数のユダヤ系金融機関の経営者とひとつの閨閥をつくっていた[59]。
地理ボストン市内の地区(ネイバーフッド)
アメリカ合衆国統計局によると、この都市は総面積232.1km2(89.6mi2)である。このうち125.4 km2(48.4 mi2)が陸地で106.7 km2(41.2 mi2)が水地域である。総面積の46.0%が水地域となっている。
早い時期に建設されたために、ボストンは非常にコンパクトにまとまった町である。人口が60万人を超えるアメリカの都市の中で、ボストンより陸地面積が狭いのはサンフランシスコだけである。ボストンの標準標高は、ローガン国際空港の海抜5.8m(19 ft)である[60]。最も標高の高い地点はベレビュー・ヒルの海抜101m(330 ft)であり、最も低い地点は海水面である[61]。
ボストンは、大ボストン都市圏という巨大な都市圏の中核である。同都市圏には450万人が住み、全米第10位の都市圏である。通勤圏としての大ボストン都市圏には、ロードアイランド州、ニューハンプシャー州、メイン州の一部も含まれ、その人口は750万人、全米第5位の合同統計地域(広域都市圏)である。隣接する市・町としては、ウィンスロップ、リビア、チェルシー、エバレット、サマービル、ケンブリッジ、ウォータータウン、ニュートン、ブルックライン、ニーダム、デダム、カントン、ミルトン、クインシーがある。チャールズ川が、ボストン本体とケンブリッジ、ウォータータウン、ボストンのチャールズタウン地区とを隔てている。東にはボストン港、そしてボストン・ハーバー・アイランズ国立保養地がある。ネポンセット川は、ボストンの南部地区と、クインシー市、ミルトン町との境を流れる[62]。ミスティック川は、チャールズタウンと、チェルシー、エバレットとを隔て、チェルシー・クリークおよびボストン港が、イーストボストンとボストン本体とを隔てている[63]。
ボストンは、多くの地区(ネイバーフッド、公式なものは21地区)に分かれており、その多様性からシティー・オブ・ネイバーフッズとも呼ばれる[64]。バックベイ地区とサウスエンド地区の多くは、埋立地の上にある。このことはバックベイ(ベイ:湾)、サウスコーブ(コーブ:入り江)、フォートポイント(ポイント:岬)という地名にも名残として見受けられる。ボストンにはもともと「トリマウント」、つまり三つの丘があったが、そのうち二つの丘の土は埋立てに使われた。三つの中で一番小さかったビーコンヒルだけが、半分の高さのところまで今も残っている。ダウンタウン地区とそのすぐ周りの地域は、ほとんどが低層のブロック造りか石造りの建物から成っており、連邦様式の古い建築も多い。こういった古い建物が現代的な高層建築と混じり合っているのが、フィナンシャル・ディストリクト、ガバメント・センター、サウスボストンの臨海地区、バックベイといった地域である。バックベイ地区には、ボストン公共図書館、クリスチャン・サイエンス・センター、コープリー・スクエア、ニューベリー・ストリート、そしてニューイングランドで最も高い2大ビルであるジョン・ハンコック・タワーとプルデンシャル・センターなど、大きなビルが数多く建っている[65]。ジョン・ハンコック・タワーの近くにある旧ジョン・ハンコック・タワーには、有名な天気予報信号が付いている。イルミネーションの色がこれからの天気を示しており、青の点灯は晴れ、青の点滅であれば曇り、赤の点灯は雨、赤の点滅は雪を意味する(夏期は、赤の点滅はボストン・レッドソックスの試合が雨で中止になったという意味である)。これより小さな商業地区は、一戸建て住宅や木造・れんが造のテラスハウス(集合住宅)の間に散在している。現在、サウスエンドの歴史地区は、ビクトリア時代から残るまとまった町並みとしては全米最大の規模である[66]。