日本ボクシング連盟が定めるアマチュアボクシングの勝敗の決し方は以下の通り。[1]
勝敗の決し方は、以下の通り。 アマチュアボクシングの採点方式は時代とともに大きく変遷している。以前は20点満点・減点方式によるペーパー採点や、ジャッジが有効打と認めたパンチを手元のボタンでカウントし、それをコンピューターで集計して「3人以上のジャッジが同時に有効打と認めたパンチ」の合計数を競う採点方式が採られていたが、2013年にAIBA(国際ボクシング協会)が競技規則の抜本的改革を行った中で採点方式も大きく改められた。 ※以下の採点基準は、日本ボクシング連盟が2021年現在公表しているものに従う。[2]
KO (KnockOut):正当な攻撃によってダウンした後、10カウント以内に立ち上がれなかった場合(この際の「立ち上がる」とは、ただ立つだけでなくレフェリーに試合続行できると判断されることを指す)。スリー・ノックダウン制が採用された試合においては、同一ラウンドで3回目のダウンを喫した場合もこれに準じる。両選手が相打ちの形で同時にダウンした場合(ダブルノックダウン)は、片方の選手が10カウント以内に立ち上がれば立った選手のKO勝ちとなり、両者とも立ち上がれなかった場合は引き分けとなる(ダブルノックアウト)。
TKO (Technical KnockOut):一方的な試合展開となって勝敗の帰趨が明白となった場合。片方の選手が一方的にパンチを打ち込まれ、ダウンはしていないものの試合続行不可能な状態になったとレフェリーが認めたケースなどが該当する。
レフェリーストップ:パンチを受けて発生した負傷や目の腫れ、逆に攻撃した際に発生した拳の骨折や肩の脱臼、あるいはダウン・スリップダウンの際に発生した足の負傷など、反則によらない試合中の事象がもとで「これ以上試合を続行させると危険である」とレフェリーが判断した場合。記録上はTKO。
ギブアップ:選手本人、もしくはセコンドがこれ以上試合を続けることができないと判断した場合。日本においては、試合中の意思表示はセコンドがタオルをリングに投げ込むことで行うため、「タオルを投げる」は負けを認めることの喩えにも用いられる。記録上はTKO。
失格:「故意にパンチ以外の手段で攻撃し負傷させる」、「ラウンド終了のゴングやレフェリーの制止を振り切って攻撃を続け、無抵抗状態の対戦相手をノックアウトしてしまう」等の重大な反則を犯した場合や、もしくは反則による減点を繰り返し受けても態度が改まらないとレフェリーが認めた場合。
判定:最終ラウンドが終わっても勝負が決しなかった場合、3人の審判(レフェリー・ジャッジ)がラウンド毎に行った採点に基づき試合結果を決定する(採点方法の詳細については後述)
負傷判定:試合の中で偶然・不可抗力で生じたバッティング等の反則事象により選手が負傷し、レフェリーが試合続行不可能と判断した場合、規定のラウンドに達していればそれまでの採点で勝敗を決する。規定のラウンド終了以前に試合が止められた場合は、それまでの優勢・劣勢や採点結果に関わらず「負傷引き分け」となる。
リングアウト:試合中のアクシデントによりリングから転落した選手が20カウント以内にリングに戻れなかった場合。日本の公式試合で発生することは極めて稀であるが、海外では重量級の試合で体格の大きい選手が勢い余ってロープを乗り越えてしまうケースが見受けられる。
ノーコンテスト(無効試合):試合が続行不可能となる重大なアクシデントが発生した場合や、一旦試合結果が確定した後に勝敗の判定や試合運営上の重大なミスがあったとコミッションが認めた場合。日本においては「タイムキーパーの計測ミスにより規定より1分早くラウンドを終了させてしまったことが試合後のVTR検証で発覚した」などの事例がある。
採点方法
アマチュア
現在の採点方式はプロ同様の10ポイント・マストシステムによる10点満点の減点方式で、また限定的に10-10の採点が容認されているプロとは異なり、必ずラウンドごとに優劣をつける「ラウンド・マスト」で採点を行う。優劣の接近したラウンドは10対9、有効打数やカウント(プロにおけるダウン及びスタンディングダウン)の回数で優劣がはっきりしているラウンドは10対8、有効打数やカウント数など全ての要素において差がついているラウンドは10対7となる。各ラウンドの点数を合計し、減点がある場合はその分を差し引いて判定する。ジャッジは5人制で(規模の小さい大会などでは3人制の場合もある)、各ジャッジの合計点による多数決で勝敗をつける。その際、合計点が同点であったジャッジは、最終ラウンドの採点に併せ試合全体を通じてどちらの選手が優勢であったか明記する義務があるため、プロとは異なり「ドロー(引分)」の裁定は存在しない。なお、ラウンドごとの優劣を判断する基準は以下のように定められている。
1.ターゲットエリアへの質の高い打撃の数 (「ナックルパートで重みを伴う有効打」の数と質で総合的に上回ったかどうか)
2.技術や戦術の優勢を伴って競技を支配していること(戦術的に攻撃と防御を効果的に組み合わせているかどうか)
3.積極性(競技中継続して勝利を目指す姿勢が見られるかどうか)
ノックダウンの有無が採点に大きく関わるプロとは異なり、形勢に大差がつけばカウントが無くても10-8となったり、逆にカウントに追い込まれてもクリーンヒット数やダメージの蓄積度が接近していれば10-9に留まる可能性が充分考えられる。 10点満点の減点方式。JBCルールによると、互角の場合は10対10、一方が勝る場合は10対9、1度のダウンやそれに近い状態のときは10対8、2度のダウンの場合、あるいは3度のダウンがあったがダメージがそれほど深刻ではない場合は10対7、3度のダウンがあった場合や2度のダウンでも10対7相当よりも一方が圧倒的に優勢であるときは10対6となり、10対5以上の大差と認められた場合はTKOとなる。(旧JBCルールではそれ以上に差が開いた場合や3度目のダウンが起こった際は、レフェリーが試合を止めるため10対6の採点は無かったが、2016年よりフリーノックダウン制となったため基準が変更された)。 現在世界的に採用されている「10ポイント・マスト・システム」は、「必ず片方の選手に満点の10点をつけること」を定めたもので、必ずしも「10対10」の採点を認めないことではない。たとえば、双方の選手に1度ずつダウンがあっても「8対8」にはならず、ダウン以外の要素を総合的に判断して「10対X」の採点を行う、という意味である。反則減点は合計点から引く扱いになるため、減点された選手が反則があったラウンドで10点を獲得することも有り得る(新聞や専門誌等の採点表では「10(-1)対9」などと表記される)。なお、近年の世界タイトルマッチでは極力「10対10」を採らない「ラウンド・マスト」と呼ばれる採点方法が主流となっており、これが「10ポイント・マスト・システム」と混同されているケースがテレビの世界戦中継などでも散見される。「ラウンド・マスト」の弊害として微差のラウンドを制して得た1点差と明確な優勢によって得た1点差の価値が同等になる点が指摘されており、かつて存在したPABA(パンアジアボクシング協会)では弊害緩和のために「ハーフポイント」と呼ばれる0.5ポイント刻み(10対9.5など)の判定を行っていた。 主な採点基準として次の4項目がある。 各要素の優先順位は概ね「クリーンヒット>アグレッシブ>ディフェンス>リング・ジェネラルシップ」であるとされるが、例えば「片方の選手が軽いパンチの『クリーンヒット』を数多く重ねたが、もう片方は大半の時間で『アグレッシブ』に攻め、『リング・ジェネラルシップ』を握った」場合など、容易に形勢判断がつかない際は、どちらの選手を優位とするかはジャッジの主観に委ねられることとなり、これが採点結果が割れる理由になる。採点は3人のジャッジがそれぞれラウンドごとに行い、2人以上のジャッジが支持した選手を勝者とする。ジャッジが3人とも一方の選手を支持した場合をユナニマス・デシジョン(Unanimous Decision, UD)、2人が支持し、もう1人が引き分けであった場合をマジョリティ・デシジョン(Majority Decision, MD)、1人のジャッジがもう一方の選手を支持した場合をスプリット・デシジョン(Split Decision, SD)と呼ぶ。トーナメントなどで引き分けとなった場合は、引き分けをつけたジャッジが最終判断を下して決着を付けることになるが、大会によっては延長戦を行う場合もある。 試合中に以下の行為を行った場合、反則となり、レフェリーに注意を受ける。注意が重なった場合、プロボクシングでは減点対象となり、悪質な場合は失格負けとなる。
プロ
どちらが有効打でダメージを与えたか。(クリーンヒット)
どちらがより攻撃的だったか。(アグレッシブ)
どちらがより相手の攻撃を防いだか。(ディフェンス)
どちらの試合態度が堂々とし、戦術に長け、主導権を握ったか(リング・ジェネラルシップ)。
反則
バッティング。頭、肘などで攻撃する。
ホールディング(ホールド)。腕やグローブで相手の身体や腕を押さえつける。
ローブロー。相手のベルトラインより下を攻撃する。いわゆる金的もこれに該当する。