ホーミー
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浪曲節のような喉を詰めた声の歌に伴って歌われ、その歌の装飾として用いられる。もともと声に含まれている倍音の高音部を声帯の力で意識的に強調させて口笛に似た音を出し、舌や口腔を微妙に動かして美しい倍音を紡ぎだす。非常に低い倍音を出したり、音を細かく震わしたりと、発声法が7種類以上ある(これについては28種類という説もある。)。馬や豚や蛇の皮を張ったさまざまな楽器や、口琴などと共に演奏される。 佐藤直紀作曲のNHK大河ドラマ龍馬伝』のテーマ曲で、フーメイがサンプリングで挿入されている。
発声の仕組み

喉歌の発声は、独特の喉頭調節による浪曲節のような喉を詰めた声による喉頭音源の生成、舌や口唇の形状を調音運動によって調節し声道の共鳴周波数を制御することによって実現される[4]。喉頭調節としては、喉を詰めることにより仮声帯が内転し、声帯に加えて仮声帯が振動する声帯-仮声帯発声によって独特のダミ声が実現されていることが知られている。また調音は、舌や口唇の形状を変化させ、鋭い第2フォルマントの共鳴を作り、第2フォルマントの周波数を動かすことにより笛のような音によるメロディーを作り出す。
主な種類

フーメイ(トゥバ語:Х??мей)、スグット(トゥバ語:Сыгыт)、カルグラー(トゥバ語:Каргыраа)に加え、ボルバンナドゥル(トゥバ語:Борба?надыр)、エゼンギレール(トゥバ語:Эзе?гилээр)、カンズプ(トゥバ語:Ка?зып)、チゥランドゥク(トゥバ語:Чыландык)などのスタイルに細分される[5]。これらのテクニックを同時に組み合わせることもある。トゥバ共和国のホーメイ科学センターの所長ゾーヤ・キルギスによると、ホレクテール(Х?ректээр)という胸声が基礎にあるという。

フーメイ(Х??мей):フーメイはトゥバの喉歌芸術の全体をさす場合にも用いられるが、フーメイの中に「フーメイ」といういわば喉歌の基本ともいえる歌い方がある。これはスグットに比較すると高音をあまり響かせず、静かで穏やかに歌う。

スグット(Сыгыт):口笛のような鋭い高音を響かせる歌唱法。さあっと吹き抜ける風のような、爽快な歌唱法。

カルグラー(Каргыраа):地鳴りのような超低音を響かせる歌唱法。

その他:ギャロップのように音にリズムをつける唱法(エゼンギレールЭзе?гилээр)、舌を震わしてたなびく旗のように音を転がす唱法(ボルバンナディルБорба?надыр )、カルグラをしながらスィグィットの要領で発声する唱法カンズップ(Ка?зып)、チャランドゥック(Чыландык)などがある。

分布と歴史

顕著な例としてソロ・パフォーマンスが主体であったものから、舞台化されるようになって以降の1980年代あたりから演者のグループ化が進んだ[6]。その中から、1990年以降、フンフルトゥヤトハ、チルギルチンなど世界的に活躍し、影響を与えるユニットが登場し現在に至っている。
アイヌ詳細は「アイヌ音楽」を参照

北海道アイヌレクッカラと呼ばれる喉歌の一種をたしなんでいたが、現在は行われていない。レクッカラの最後の歌手は1976年に亡くなっているが、レコーディングは残っている[7][8]
北アメリカ詳細は「イヌイットの音楽」を参照

カタジュジャクと呼ばれるイヌイットの喉遊びが存在する。イヌイットの女性同士が互いの顔を正面にして立つか座り、リズムパターンを作る[9]
ヨーロッパ

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イタリアサルデーニャの羊飼いの間にはカント・ア・テノーレと呼ばれる喉歌がある[10]。2005年にUNESCOがカント・ア・テノーレを無形文化遺産とした[11]
アフリカ

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南アフリカのテンブのコサ人女性は低音のリズミカルな喉歌をたしなむが、これはトゥバのカルグラーのスタイルに似ている。コール・アンド・レスポンスや複雑なポリリズムをしばしば伴う[12][13][14]
民族音楽以外の喉歌

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1960年代頃から西洋の音楽家にも喉歌を使う者が見られるようになった。コレギウム・ヴォカーレ・ケルン、ミハエル・ベッテル、デイヴィッド・ハイクスなどが例である[15]

2014年にドイツの歌手アンナ=マリア・ヘーフェレがYouTubeで「多声喉歌」を披露してバイラルビデオとなった。ハフィントンポストは「素晴らしい能力」であり、ヘーフェレの歌は「全く風変わり」だと評した[16]。2014年10月10日、ヘーフェレはガーディアンのバイラルビデオチャートで2位となった[17]
関連項目

チベット仏教の声明

フンフルトゥ

ヤトハ

脚注^ Riemann by Shedlock (1876). ⇒Dictionary of Music. Augener & Co., London. p. 143. ⇒http://imslp.org/wiki/Musiklexikon_(Riemann,_Hugo). "let it be understood, the second overtone is not the third tone of the series, but the second." 
^ a b cユリ・シェイキン「北方諸民族の音の文化:シベリアのフィールドから」講演会等報告(枡谷隆男)、北海道民族学第5号(2009)、2020年8月13日閲覧。
^ 森安孝夫『興亡の世界史05 シルクロードと唐帝国』講談社、2007年2月16日 初版発行、ISBN 978-4-06-280705-0、31-32頁
^ Sakakibara, K.-I. et al. (2001), pp.135-138 ⇒[1]
^ 等々力 (2012) pp. 11, 14, 15, 28, 46-47, 53-54, 57-58.
^ Suzukei, V.Yu. (2007) С. 254-313.
^ 4.3.02. “ ⇒Inuit Throat-Singing”. Mustrad.org.uk. 2008年11月27日閲覧。
^ Shimomura Isao (下村五三夫), It? Daisuke (伊藤大介) 樺太アイヌの喉交換遊びレクッカラについて Kitami Institute of Technology, 2008
^ “ ⇒Inuit Throat Singing”. 2020年3月10日閲覧。
^ TBS. “地中海の島に謎の巨石文明”. TBS. 2020年3月10日閲覧。
^ Bandinu 2006.
^Dr. Dave Dargie “Some recent developments in Xhosa music : activities of the Ngqoko Traditional Xhoa Music Ensemble, and at the University of Fort Hare”. Retrieved on 2014-04-23.
^ Dr. Dave Dargie “UMNGQOKOLO ? Thembu Xhosa ? OVERTONE SINGING filmed 1985?1998 in South Africa”. Retrieved on 2014-04-23.
^ Dargie, Dave. "Xhosa Overtone Singing" The world of South African music: A reader. Cambridge Scholars Press, 2005. 152?155 Google Books Web. 23 Apr. 2014. [2]
^ Bellamy and MacLean 2005, 515.
^ “ ⇒German Musician Anna-Maria Hefele Demonstrates Polyphonic Overtone Singing, And It's Amazing”. Huffington Post. 2014年10月12日閲覧。
^ Perraudin, Frances (2014年10月10日). “Viral Video Chart”. The Guardian. https://www.theguardian.com/media/2014/oct/10/viral-video-chart-danny-macaskill-kangaroo-boxing-greenpeace-v-lego 2014年10月12日閲覧。 

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