ある地質学者は洞窟の中で発見された化石は300万年前よりは新しいものだと考えている[37]。
リー・バーガーはその解剖学的分析がホモ・ナレディは280-250万年前、ヒト属の始まりかあるいは始まりに近い時期に出現したことを暗示していると述べている[38]。これに対し、ティム・ホワイト(英語版)は化石が100万年前より古いかどうかを知るのは困難であると述べている[35]。 ウィスコンシン大学マディソン校で教える人類学者のジョン・ホークス バーガーらは洞窟内に遺体を配置する行為は儀式的な行動と象徴的思考
研究チームの仮説
儀式的な行動
バーガーは複雑な洞窟システム内で体の意図的な処分を行うからには暗闇の通路を通って再び戻るために種のメンバーの助けを借り、間隔を置いてたいまつを掲げたり焚き火をおこすなりして、明かりを必要としていたはずと推測している[2][42]。 南アフリカ共和国大統領のジェイコブ・ズマと同共和国副大統領のシリル・ラマポーサは研究チームを祝福した[45][46]。 一方で、ソーシャルメディア上では人種差別的な動機が背景にあったのではないかとの批判が噴出した[47]。マトール・モチェハ
他の専門家の意見
古人類学者ティム・ホワイトは年代測定が完了し、さらに以前から知られている化石との解剖学的比較が行われるまでは発見の意義が不明であることを示唆している[35]。また、ホモ・ナレディは初期の小さなホモ・エレクトス(原人)に非常によく似ていると述べている[35]。なお、研究チームのリーダーであるリー・バーガーは発表時の記者会見でホモ・エレクトスの化石である可能性を否定している[38]。
スミソニアン博物館群国立自然史博物館の古人類学者リック・ポッツ(英語版)は年齢もわからないのに、「私たちがこの発見の進化的意義について判断することはできない」と述べている[38]。発見された遺体については「単に穴の上から放り込まれ、処分された」ものと見ている[38]。
ニューヨーク大学の人類学者スーザン・アントンは古人類学には正確にヒト属を定義するために使われるコンセンサスが形成されていないため、おそらく年代測定をした後も、適切な結論が出せるまで専門家は多くの年月を費やすことになるだろうと指摘している[38]。
ジョージ・ワシントン大学の古人類学者バーナード・ウッドは遺骨が新種を示すものであることに賛同する一方で、インドネシアのフローレス島で発見された小脳種のホモ・フローレシエンシスがそうであったように比較的孤立して、南アフリカでその奇妙な特性を独自に進化させていった種かもしれないと考えている[21]。
ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の人類学者ウィリアム・ジャンガース(英語版)は「年代が分からなければ、これらの化石は人類史を書き換える発見ではなく、単なる骨董品です」と批判し[4]、骨が発見された空洞に到達するためのより簡単な方法が存在した可能性を示唆した[20]。ジャンガースは現代人よりはるかに脳の容量が小さいホモ・ナレディが埋葬を行っていたとする説についても否定的な見方を示している[20]。
人類学者クリス・ストリンガー(英語版)は「脳の容量の小ささ、湾曲した指や肩の形状、胴体と股関節は人類出現以前の猿人と初期人類のホモ・ハビリスに似ています。しかし、手首、手、脚、足はネアンデルタール人と現生人類のものに一番近いです。歯はいくつかの原始的な特徴がありますが、比較的小さく単純なもので、軽い造りの顎骨がはまっています。全体的に私の見たところ、物質はグルジアのドマニシの180万年前と年代測定された、小さな体をしたホモ・エレクトスの例に一番近いです」と書いた[31]。
ピッツバーグ大学の進化生物学者ジェフリー・シュワルツ(英語版)は回収された資料が単一種であることを表現するにはあまりにも多様性に満ちていると主張している[43]。
ルイス・リーキーの息子で自身も古人類学者であるリチャード・リーキーはヨハネスブルグを訪れて化石を調べ、洞窟奥深くに埋葬するには明かりが必要だったとするバーガーの仮説に対し、「(バーガーがまだ見つけていないだけで)もう一つ入り口があるはずです」と断言している[44]。
南アフリカ国内の反応
メディア「人類の夜明け」も参照
映像外部リンク
ホモ・ナレディの頭部模型を作成する作業(National Geographicによるアップロード)
6人の女性洞窟探検家が新人類の祖先の化石を回収した方法(National Geographicによるアップロード)
ホモ・ナレディの発見について解説するPBS NOVA(英語版) ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリー『人類の夜明け』が2015年9月10日にオンライン上で公開され、2015年9月16日にアメリカ全土でテレビ放送された[40]。