ホメオパシー
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ただ、希釈震盪濃度を変えずに毎日多量のレメディーを飲み続けると、危険で重大な影響が起こるとハーネマンは注意している。またレメディは同時に一種類しか使用してはいけないとハーネマンはオルガノンの273段落で主張している。

ホメオパスは人が健康なら体も健康という基本的な考えの元に働きかけ、心理的、感情的、精神的な状態に適合したレメディを処方する。このため、ホメオパスとのセッション(面会)では、十分な時間(2時間程度の事が多い)をかけ、患者の心理的、精神的な状態や、成長の過程、とくに過去の大きな問題についてのインタビューが持たれる。そうして基本的な人のタイプを見て、現在の問題を判断しレメディが処方される。
ホメオパシーと科学

ホメオパシーの有効性を立証したと主張する論文が何度か発表されてきており、そのたびに議論になったが、いずれも対照群の設定や母集団の数、主観の入りにくい調査の実施などが不十分とされ信頼性は低い。

医学専門誌『ランセット』2005年8月号に、ホメオパシーに関する臨床検討の論文110報をメタ解析した調査[9]が報告され、ここでもホメオパシーの効果は偽薬と同等であると結論されている。このような証明のため、一般の医学の解釈としてはホメオパシーには有効性がないと結論づけられる。(#科学界の見解

そこでホメオパシー支持者側は、しばしばホメオパシーに偽薬効果があることを主張している[24]。偽薬効果というものはまったくのゼロではない。

en:Philip Stevens Jr.は、ホメオパシーを含む代替療法は類感呪術感染呪術に基づいていると指摘した[25]
日本での評価
普及状況

2001年の調査で0.3%である[26]。2000年代以降、タレント・著名人が自身のホメオパシーの利用に言及するケースも多く見られるようになった。また、ファッション誌や生活情報誌で取り上げられたり、オーガニックを売りにした専門店などで販売されてもいる。2000年代に様々な国内団体が発足をした事から利用率は増加傾向にあると推測される。一方でホメオパシー利用とそれに伴う現代医療拒否による医療事故も頻発し、複数の科学・学術団体が注意喚起の声明を出すに至った。

かつては助産院で使用されたケースがあった。2010年時点の日本助産師会の調査では、1割弱の助産院がホメオパシーを導入していた[27]琉球大学医学部保健学科でも2004年からホメオパシーが必修科目として教えられていたが後述する山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故をきっかけに2010年に取りやめられた[27]

2010年に、新生児に与えるべきとされるビタミンK2シロップの代わりにホメオパシーのレメディを与えたことで起きた山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故の事故を受け、ホメオパシーに対してさまざまな学術団体などが否定的な宣言を行っている。日本学術会議は2010年8月24日にホメオパシーに科学的根拠が無いとの声明を出し[11]、日本助産師会でも2010年8月26日に日本学術会議の声明に全面的に同意するとして「ホメオパシーを医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、勧めたりしないこと」とする見解を出している[28]

日本では公的保険の対象にはなっていない。

ホメオパシーを取り扱う大学は過去に存在した。2016年3月に廃校した吉備国際大学短期大学部専攻科メディカルビューティー専攻はホメオパシーに関する科目を開講しており、2011年度は、疑似科学と言われるO-リングテストとホメオパシーを扱う「代替医療(オーリング・ホメオパシー)」で3単位を設定していた(同時に終末期関連として江原啓之による心霊主義講座も開講されていた)[29][30]
ホメオパシー関連団体

由井寅子が2008年12月1日に一般財団法人日本ホメオパシー財団を設立した[31]。由井の関連組織は、日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)、ホメオパシー用品販売会社の株式会社ホメオパシージャパン、ホメオパシー関連書籍を扱うホメオパシー出版株式会社、ホメオパシー統合医療専門校(カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー、CHhom)などがあり、これらの企業群は一般に「ホメオパシージャパン系」と称される。(参考:由井寅子#組織)由井寅子は、患者の心の中にある「インナーチャイルド(幼い時に愛されずに傷ついた内なる子ども)」をホメオパシーで癒すという独自の民間精神療法を提唱しており、多くの病気の原因がインナーチャイルドであるとしている[32]。また、ホメオパシージャパン系では、ハーブ療法、ハーブチンキ(マザーチンクチャー)、ヨハン・ゴットフリート・ラーデマッハー(ドイツ語版)(Johann Gottfried Rademacher, 1772-1850)の臓器療法、エドワード・バッチ(Edward Bachm, 1886-1936)が提唱した花の露を利用するバッチフラワー、塩を使うシュスラーの生命組織塩療法(Schusler-Salze、ティッシュソルト)、近世以前のヨーロッパに見られた錬金術、人間の病気は天体の影響を受けていると考える西洋の医療占星術(英語版)、東洋医学も併用されている。

2012年1月28日J-CASTニュースが伝えた所によると、ホメオパシージャパンがクレジットカード会社のJCBに、加盟店契約を解除された。JCB側は「常識から考えて、ホメオパシーは効果がある健康食品とは思えない。むしろ消費者に心配を与える可能性を感じる。日本において社会的認知がないことが問題と感じている」とホメオパシージャパンに伝えたとされ、ホメオパシージャパン側は「これは事実を歪曲して一部マスコミが報道した誹謗・中傷情報を、調査もせずに鵜呑みにし、それを理由にしてクレジットカード決済サービスを一方的に中止したものであり、全く不当なものと考えており、断固抗議します」との声明を発表している[33]

日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)は1998年4月に任意団体として設立され、日本ホメオパシー財団の財団法人設立とともに、その下部組織として編入されている[34]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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